東京
渋谷
の地下に川!?
第780回 2005年5月8日
日本の流行の先端を生む、若者の街、
東京・渋谷
。スクランブル交差点の映像はニュース等でも全国的におなじみですよね。しかし、そんな大都会渋谷には、色々知られざる秘密があったのです。
渋谷には、
日本で一番古い地下鉄の銀座線の始発駅
がありますが、地下鉄というくらいなので地下を走っているのかと思いきや、なんと
地上3階にある
のです。なぜわざわざこんなに高い所に作っているのでしょう?
実は
渋谷は、次の駅がある表参道に比べて、およそ20m、マンションにして6階分も低い位置にあった
のです。さらに調べてみると、表参道方向だけでなく、
ほとんど全ての方向と比べて渋谷は低い位置にあり、文字通り渋谷は谷になっていた
のです。
そのため渋谷は、大雨が降るとすぐ冠水してしまい、車もつかってしまうほど雨水が溜まってしまうのです。現在、その対策として下水道局が
渋谷の地下25メートルに4000トンの雨水を貯める巨大貯水槽を作っています
。
小学校でよく歌われる
「春の小川」は、大正時代、渋谷にある渋谷川という川の支流を歌ったものだった
のです。しかしそれから約100年、渋谷川はたびたびはんらんを起こすために、昭和30年代にフタがされ、現在は地下を流れているとか。果たして、渋谷川は現在どういう状態で、一体どこから流れてきているのでしょう?
そこで
矢野さんが特別に許可を頂いて、渋谷の地下を流れる渋谷川の川上りに挑戦
。さらに佐藤アナが地上から同じルートをフォローしました。
調べていくと、まず
渋谷川は渋谷にある2つの大きなデパートに影響を与えていました
。1つは、東急東横店東館。デパートの案内図を見てみると、東館だけが1階フロアまでで地下フロアがありません。実は、
地下に渋谷川が流れているので、東館だけ地下フロアを作ることができなかった
のです。
さらに、渋谷川は西武デパートにも影響を与えていました。実はこの西武デパート、
A館の地下フロアから隣り合っているB館の地下フロアへ移動しようとしても、デパートによくある地下の連絡通路が無く、一度外に出て移動しなくてはなりません
。実はこの西武デパートのA館とB館の間には、
渋谷川の支流である宇田川という川が流れている
ので、地下に連絡通路が作れなかったようなのです。
さらに矢野さんは、
地下を流れる渋谷川の天井に鍾乳石を発見
しました。普通、自然の鍾乳石とは、石灰岩の割れ目に雨水が染み込んで岩の石灰分を溶かし、それが染み出して再び石灰分が固まって石になったもの。実は、
渋谷川の壁や天井のコンクリートにも石灰分が含まれているので、自然の鍾乳石と同じ理由で雨水が染み込んで鍾乳石ができていた
のです。
そして渋谷川をずっとさかのぼっていくと、たどり着いたのは
新宿御苑
。実は、園内のかたすみにある
玉藻池という池から湧き出る水が渋谷川の出発点
だということが判明したのです。
渋谷は、現在は地下を流れている渋谷川によって作られた谷だった!
渋谷川は新宿御苑から始まっている!
確かに渋谷は谷でしたが、
なぜ「渋い」谷なのでしょう
。その由来には諸説あるのですが、
昔の渋谷川の色がシブ色だった
からという説があるのです。シブ色の水とは鉄分を多く含んだ赤茶色の水のことをいいます。
そこで実際に、今でも湧いている
渋谷の井戸水を調べてみると、なんと日本の平均的な湧き水に比べて約24倍も鉄分が多く含まれていた
のです。
その理由は、渋谷一帯の地層にありました。まず、渋谷の地下には鉄分を多く含んだ、火山灰によって作られた
関東ローム層
という地層があります。
さらに、その下には
渋谷粘土層
という水を通しにくい厚い地層があります。そのため、
関東ローム層の鉄分を多く含んだ雨水が渋谷粘土層の間に溜まるので、渋谷の水には鉄分が多く含まれる
と考えられています。よって、昔の渋谷川の色がシブ色だったのではないかと考えられているのです。
番組では、掘り出した渋谷の粘土から、かつて実際に作られていた
渋谷瓦
の再現に挑戦。半分くらい陶土を混ぜたところ、見事瓦は焼きあがりました。
渋谷の地下水は鉄分を多く多く含み、シブ色。これが渋谷の「渋」の名の由来となった!?