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女性に人気 極上 プリン
第832回 2006年5月21日


 スイーツの定番といえば、プリン。最近では、とてもなめらかなプリンなど様々な種類のプリンが人気を集めています。そこで今回は、プリンのおいしさの秘密に科学で迫りました。

 まずは、料理が大の苦手の佐藤アナが、レシピ無しでのプリン作りに挑戦しました。すると予想通り、塩を入れたり小麦粉を入れたりと間違いの連続。結局、最後に自分で作ったプリンを試食しても、「全然美味しくない」と認めていました。
 驚くことに、プリンの材料は意外にシンプルだったのです。なんと、砂糖と卵と牛乳を1:2:4の割合で混ぜ、バニラエッセンスを少々加えればプリンの素の出来上がり。そして、混ぜ合わせたプリンの素を、カラメルの入ったカップに入れます。
 実は、ここからがポイント。オーブンの天板の上にキッチンペーパーを敷き、その上にぬるま湯をかけ、プリンの素を蒸し焼きにするのです。オーブンの温度は140度で、30分間蒸し焼きにします。プリンは加熱されることで、卵に含まれているタンパク質が網の目構造になり、水分がその中に閉じ込められるので固まるそうなのです。この状態を、「ゲル」と言います。
 しかし、なぜ蒸し焼きにしなくてはならないのでしょう?そこで濡れたキッチンペーパーを使わずに、そのまま140度で30分間プリンの素をオーブンで焼くと、なんとプリンは固まらなかったのです。
 実は、「蒸し焼き」という調理法にはプリンを作る時に必要な3つのポイントがあったのです。まず1つは、早くプリンに熱が伝わるということ。実はプリンが固まりだす温度は約80度なのですが、水を入れずにそのまま140度のオーブンで焼いたプリンの表面は、30分たっても80度に達していなかったのです。熱伝導率の良い水蒸気があることで、早くプリンに熱を伝えられるのです。
プリンの温度変化グラフ  また「蒸し焼き」にすると、早くプリンに熱が伝わる上に、さらに80度付近で温度を保つことができるのです。一方、そのままオーブンで焼いてしまうと、プリンはなかなか80度に達しない上に、達した後もどんどん温度は上昇し続け100度近くになってしまいます。実は、プリンは100度近くで熱すると卵の中の水分が蒸発し、「す」が入ってしまうのです。
 さらに「蒸し焼き」という調理法には、卵の中の水分を外に逃がさない効果もあり、プリンを美味しく作るにはこの「蒸し焼き」がポイントだったのです。

所さんのポイント
ポイント1
プリンの材料はいたってシンプルで、砂糖と卵と牛乳くらい。
プリンを美味しく作るコツは、「蒸し焼き」にすることだった!


 最近話題なのが、バケツで作る「バケツプリン」。2リットルという巨大なサイズのプリンも出来てしまうそうなのです。しかし、このバケツプリンを蒸し焼きにするような、大きなオーブンなんてありませんよね。一体、どうやって固めているのでしょうか?
 実は、このバケツプリンは「ゲル化剤」と呼ばれる、ゼラチンや寒天と同じような働きをする材料を使って固めているのです。2種類のプリンこれを入れると、蒸し焼きにすることなく、冷蔵庫で冷やすだけでプリンが固まってしまいます。ゲル化剤を使っても、ちゃんとタンパク質の網の目構造が出来るのです。
 このように、世の中には「蒸し焼きにして固めるプリン」と、「ゲル化剤で冷やして固めるプリン」の2種類があります。今、スーパーやコンビニで売られているプリンは、この冷やして固めるプリンが多いのです。ちなみに、ゲル化剤で作ったプリンは、加熱すると溶けてしまう性質があります。

所さんのポイント
ポイント2
プリンには、「蒸し焼きにして固めるプリン」と「ゲル化剤で冷やして固めるプリン」の2種類があった!

 最近、今までのプリンとは食感が違う、なめらかなプリンが人気を集めています。でも、どうしてあんなになめらかなのでしょう?その秘密は、なんと普通のプリンの材料から、あるものを引くと出来るというのです。
 実は、なめらかなプリンは卵全体を使わずに卵黄だけを使っていたのです。その理由は、卵黄と卵白に含まれるタンパク質の違いによるもの。主に、卵白のタンパク質は固める「凝固」の作用が強く、卵黄のタンパク質は水と油を混ぜる「乳化」の作用が強いという性質があるのです。つまり、なめらかなプリンは、固まる性質が強い卵白を使わずに卵黄だけを使っているので、あんなになめらかになるというわけだったのです。



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