知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


簡単手作り ソーセージ
第834回 2006年6月4日


 サッカーのワールドカップ直前!ということで、前回の「生ビール」に続き、今回も開催地ドイツにゆかりのある食品「ソーセージ」を科学しました。

 まずは、佐藤アナが手作りソーセージに挑戦。しかし、実際に作ってみると、色々と不思議なことがあったのです。
肩肉と脂身のミンチ  ソーセージの主な材料は、豚の肩肉。そして、なんと大量の豚の脂身を使用するのです。その分量は、肩肉8割に対して豚の脂を2割!これを混ぜてミンチにします。続いて、肩肉と脂身のミンチに塩を加えて3日間寝かせます。実は、塩には味付けや保存性を高めるだけではなく、タンパク質を融かして肉をつなぐ役割があったのです。
 そして3日間寝かせたミンチにスパイスを加えて、ヒツジの小腸に詰めていきます。長い小腸に詰めた後、適当な長さでひねったらお馴染みのソーセージの形になりました。しかし、これで終わりではないのです。なんとこの後、ソーセージをくん製にするのです。実はソーセージはくん製にすると香りがつき保存性も高まるのですが、煙によって皮が固くなるので、あのパリッっという独特の食感が出るのです。
 最後に、ゆでれば手作りソーセージの完成です。しかし、なぜソーセージには大量の脂身を入れるのでしょう?そこで、脂なしのソーセージを作ってみると、なんと表面がシワシワ。さらに所さんが試食してみると、脂が入っている方のソーセージはジューシーなのですが、脂なしのソーセージはパサパサしていると言うのです。
 実は、ソーセージの中のタンパク質は加熱すると縮んでしまいます。すると、その時に中に含まれている水分が逃げてしまうのです。ところが、脂があると脂は熱で縮むことも無く、水分が守られて外に逃げていかないのだそうです。
 では脂なら何でも良いかといえばそうではなく、どんな肉を使ってもソーセージに入れる脂は、豚の脂だけなのです。その理由の一つは、におい。実は、ウシやヒツジの脂には豚の脂よりもケモノ臭い成分が多く含まれているので、クセが強くなってしまうのです。さらに、もう一つの理由は融点。実は、豚の脂の融点は約37度で、口の中に入れると脂が融けて美味しく感じるのです。しかし、ウシやヒツジの脂の融点はもっと高いために、食べても口の中に脂が残ってしまいます。つまり、お弁当にソーセージを入れて冷めても美味しい理由も、この豚の脂に秘密があったのです。

所さんのポイント
ポイント1
ソーセージの美味しさの秘密は、2割も入っている豚の脂にあった。
この脂が水分を保ち、ソーセージをジューシーにしていた!


 “腸詰め”とも呼ばれるソーセージですが、実は外側に使われているのは腸そのものではないというのです。 実は、ソーセージの外側に使われている腸というのは、小腸のさらに「基底層」という一部分。小腸の壁を作っている4つの層の、薄い1つの層なのです。
18mソーセージ  では、1頭のヒツジの小腸から、はたしてどれ位のソーセージが出来るのでしょうか?そこで、「目がテン!」がヒツジ1頭分の小腸を丸々使った、特製ソーセージを作ってしまいました。その完成した長さは、なんと18m。そもそも実際のヒツジの小腸は32m程度あるそうなのですが、胃や大腸とつながっている部分は固くて使うことができないので、1頭のヒツジから使える小腸は20m程度になるそうなのです。
 ちなみに、ヨーロッパでは盲腸やぼうこうの基底層を使ったソーセージもあるそうなのですが、長くて太さが一定で肉が詰めやすいということで一番小腸が使われるようになったのです。
 ちなみに日本では、ヒツジの小腸を使ったソーセージをウインナー、ブタの小腸を使ったものをフランクフルト、そしてウシの小腸を使ったものをボロニアソーセージと呼んでいます。この中で、一番生産量が多いのはウインナーです。

所さんのポイント
ポイント2
ソーセージに使われている腸は、基底層という腸の一部だった。
長くて太さが一定で、しかも食べられる優れものなのだ!





食べ物編へ
前週 次週
ページトップ

ジャンル別一覧 日付別一覧