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なぜ スイレン は睡蓮?
第839回 2006年7月9日


 水上で可憐な花を咲かせるスイレン。これから見ごろを迎えます。そのスイレン、漢字で書くと“睡蓮”と書きますよね。いったいスイレンの何が“睡る(ねむる)”というのでしょう?今回はスイレンの知られざる意外な正体に迫りました。

 スイレン(睡蓮)とハス(蓮)、両方とも「蓮」という字を使っています。さらに、水面に浮いている葉も似たような形。いったい、スイレンとハスは、どこがどう違うのでしょうか?
 実は、葉をよく見てみると、ちょっと違います。ハスの葉はまん丸いのですが、スイレンの葉には切れ込みがあります。また、ハスの葉は水面に浮いている葉もありますが、大きくなると水面よりも高い位置に上がります。一方、スイレンの葉は、水面に浮いているものだけ。
睡蓮とハスの葉  このように、水面より高い位置に葉があるハスのような植物を抽水植物、それに対して、水面に浮いている葉だけのスイレンのような植物を浮葉植物と言い、種類が全く違うのです。
 他にも、ハスの根のように見える地下茎、いわゆるレンコンは、大きな穴が開いています。一方、スイレンの地下茎はまるでワサビのような形をしていて、ハスのように大きな穴が開いていません。それも、違うところなのです。

所さんのポイント
ポイント1
一見、スイレンとハスは似ているが、葉や地下茎を比べてみると、全然違う別の種類の植物だった!

 漢字で睡(ねむ)る蓮(はす)と書いて、“睡蓮”。いったいどこが眠るというのでしょう?そこで「目がテン!」が固定カメラでスイレンの1日を観察してみました。
スイレン(昼・夜)  すると、夜の間はツボミだったスイレンの花が、朝になると咲き始めました。そして夕方には、また花が閉じてしまったのです。さらに、観察を続けてみると、2日めの朝もまた花が咲いたのですが夕方になるとまた閉じて、そして3日めも同じように朝に咲いて、夕方に閉じました。ところが、3日め以降、水の中に沈んでしまい、2度と花が咲くことはなかったのです。
 実は、スイレンは日中花を咲かせ、夜になると閉じるという行動を、約3日間繰り返します。そのため、あたかも夜になると睡っているような状態になる花なので、睡る蓮の葉に似た植物ということから「睡蓮」という名前が付けられたのです

所さんのポイント
ポイント2
スイレンは日中に花を咲かせ、夜になると花を閉じる行動を3日間続ける植物。そのため、睡蓮という名前がついたのだ!

 世界最大の葉を持つ植物、オオオニバス。実はこの植物もスイレンの仲間なのです。そこで、日本にもオオオニバスがあると聞き、現場にやってきた矢野さん。葉の直径を測ってみると、なんと1m60cmもありました。
 これだけ大きいと人も乗れるのではないかと考えた目がテン!そこで、「オオオニバスの葉に人は乗れるのか」大実験を敢行してしまいました。
 まず、葉にのるのは矢野さんの次男・楓己くん。体重は約21kgです。その楓己くんと、さらに葉が破けるのを防ぐための板の重さが12kgで合計33kgをオオオニバスにのせます。すると、見事成功!
 さらに、調子にのって今度は、ディレクターがのることに。大人であるディレクターの体重と板の重さとを合わせると約70kg。なんと、これも成功!
 そこで、無理を承知で一番体重が重い矢野さんも挑戦。矢野さんの体重と板を合わせた重さは103kg。恐る恐る矢野さんがゆっくり葉の上に乗ると、なんと大成功。見事、乗ることができたのです。しかし、やはりギリギリの重さだったのか、水が徐々に入ってきてしまい、とうとう沈んでしまいました。
 しかし、スイレンの仲間であるオオオニバスの葉は、なぜこのような重さに耐えることができるのでしょうか?
 実は、オオオニバスの葉は、縁が立ちお椀のような形になっていることで浮力を生み出しているのです。さらに、葉の裏側を見てみると、葉脈が一面に広がっており、その葉脈の中はスポンジ状になっていて隙間がたくさん開いていました。実は、この部分に空気を多く含んでいることで、水に浮く浮き輪のような働きがあるそうなのです。



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