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北米(秘) ブルーベリー
第898回 2007年9月9日


 ケーキや関連商品などで現在大人気なのが「ブルーベリー」。今回は身近なのに意外に知らなかったブルーベリーを科学します。

 ブルーベリーと言えばジャムですよね。是非自分でブルーベリージャムを作ってみたいと佐藤アナが千葉県のブルーベリー畑に収獲へ行きました。しかし予想外にもブルーベリーは高さ2m以上にもなる立派な木に成っていたのです。実は、ブルーベリーは低い場所になるストロベリーとは違う種類なのです。ベリーはベリーでもブルーベリーはツツジ科の木。ストロベリーはバラ科の草で全く違う仲間なのです。ベリーの定義は果肉が柔らかく水分の多い果実と意味。日本でとれるのは品種改良された栽培種で、主に生食用やケーキなどに使われます。
 そして、佐藤アナが摘みとった栽培種のブルーベリーはジャムには向いていないというのです。そこでジャムに向いている「野生種」のブルーベリーが獲れるというカナダに矢野さんが飛びました。
日本とカナダのブルーベリーの成り方の比較  カナダ東部のアトランティック・カナダと呼ばれる地方の広大な農場にやってきた矢野さん。足元をよく見るとブルーベリーが成っていて、そこは見渡す限りのブルーベリーの草原でした。日本では2m以上の樹木でしたがここカナダでは、わずか15センチほどの高さでした。おまけに実もとても小さかったのです。
 このブルーベリーの収獲には「レーキ」 と呼ばれるちりとりのようなものを使い、実だけをすくいとります。しかし、一体この畑全体で何粒あるのでしょう?そこで1m四方で何粒くらい取れるのか数えてみることに。丁寧に摘み取りマスの中に一粒一粒ブルーベリーを置き数えたところ、なんとその数、1m四方に2617粒9エーカーあるこの畑では実に9421万粒。ジャムにすると約40万本もとれるのです。
 ところでなぜ野生種の方がジャムに向いているのでしょう?そこで現地の家庭におじゃまして本場のブルーベリージャムの作り方を見せてもらうことに。しかし、その手順は、ブルーベリーの量に対して半分の砂糖を加え鍋で火にかけて、15分煮て冷やすだけで、見事なジャムが完成したのです。これに対抗して佐藤アナが栽培種のブルーベリーで全く同じようにジャムを作ってみたところ、水っぽい状態でジャムとは呼べるようなものにはなりませんでした。そもそもドロっとしたジャムになるためにはペクチンと呼ばれる成分が必要です。ペクチンとはほとんどの果物に含まれる多糖類で、細胞と細胞をつなぐ接着剤のような役目をしています。そこで野生種と栽培種のペクチンの量を比較してみることに。まずはブルーベリーの実をしぼり果汁を抽出します。そしてその果汁に同じ量のエタノールを加えよく振ると白い物が浮かんできます。これがペクチンで、比べると明らかに野生種の方がペクチンの量が多かったのです。
 しかし、ジャムになるためにはもうひとつ条件が、ありました。それはです。pHが7に近い中性の時、ペクチンはばらばらですが、pH2.9〜3.4の酸性になるとペクチンはつながってドロッとしたジャムになります。果汁を絞って酸を測定して比較すると、栽培種がpH3.7なのに対し、野生種のpHは3.1と、ジャムの条件にピッタリの数値。酸が足りない栽培種をジャムにしようとすると大量のペクチンを加えたりレモン汁で酸度を強くしたりする必要があるのです。

所さんのポイント
ポイント1
ペクチンが豊富で酸性も強い野生種のブルーべリーは、おいしいジャムを作るのにぴったり適した果物だった!

 では、なぜ野生種はカナダでしか栽培されていないのでしょう?実は、アトランティック・カナダの土壌に秘密がありました。この地域の土壌はほとんどが赤土で形成されています。赤土といえば酸性土壌の特徴で、測ってみるとpH3.4と、とても強い酸性だとわかりました。そこで実験です。pH3.4の強酸性の水と普通の植物がよく育つpH6.5の水にブルーベリーを入れて観察します。すると通常の水ではブルーベリーの木が枯れてしまったのです。やはり強酸性の土壌でなければ野生種は育たないのです。今から約200万年前の氷河期、この地方は分厚い氷河に覆われていて、その後この氷河が溶けるとき、土の中の水に溶けやすかったアルカリ性の成分だけを洗い流してしまい、世界でも珍しい強い酸性の土壌が形成されたのです。

所さんのポイント
ポイント2
他の植物が嫌う強酸性の土地に根付いた野生種のブルーベリーは、北米の限られた一部にしか育たないのだ!

 さて、ブルーベリーの青い色はアントシアニンという色素によるものです。この色素は強い太陽の日差しによって発現するらしいのです。そこで、色づく前のまだ成熟してない果実をアルミホイルで包み、日光を遮断してみました。そしてそのまま2週間放置しておくと、見事美白ブルーベリーが出来たのです。実は、ブルーベリーは、強い紫外線を浴びて種子の生育を阻害されるのを防ぐためにアントシアニンの青い色素を出して紫外線から種子を守っていたのです。ブルーベリー染めジーンズを履いて登場した所さんこのブルーベリーの綺麗な色に着目した矢野さんは所さんのお土産に、ブルーベリー染めのブルージーンズ作りに挑戦しました。30キロのブルーベリーを潰し、出てきた果実を3時間煮込んでホワイトジーンズを投入しました。そしてスタジオで世界初のブルーベリー染めジーンズを履いて登場した所さん。しかし、色が薄く出来ばえはいまいちでした。その原因は、アントシアニンは水に溶けやすく太陽光に弱いので染料として耐久力がないためでした。



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