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おなら連発(秘) 焼きイモ
第902回 2007年10月7日


 秋に美味しい食べ物と言えば、甘くてホクホクの「サツマイモ」ですよね。今回は今が旬の、サツマイモの秘密を科学します。

 最近はデパ地下で一本1000円以上する高級スイーツ並みの物も売られているというサツマイモ。そこで、現代の芋の異変を調べに、イモ侍、矢野左衛門が埼玉県で代々サツマイモを作っている農家を訪ねました。早速芋掘りをしてみると、立派に太った芋が掘れました。七福人参ちなみにサツマイモは植物の「根」が肥大したもので、「塊根」といいます。最初は白っぽいただの根が、約3ヶ月でだんだん成長していくのです。そして、農家の方が人参の色と香りがしてカロテンが含まれた七福人参、アントシアニン色素が含まれ紫色のパープルスイートロード、琉球紫など色のついたサツマイモを紹介してくれました。これらは、今では食用としても利用していますが、本来、加工食品に色を付けるための天然着色料の原料として広く使われています。サツマイモは品種改良しやすく、しかも大量に作ることができるのでとても便利な芋なのです。

 さて、サツマイモの美味しい食べ方と言えば石焼きいもですが、本当に一番美味しいのでしょうか?そこで、石焼き、蒸し、電子レンジで調理してどれが一番美味しいかサツマイモの本場、小江戸川越の商店街で聞いてみました。すると、老若男女問わず20人中17人石焼きいもが一番甘いと感じたのです。これはなぜでしょう?その秘密を探るために、老舗の石焼き芋作りを見せてもらうと、達人は釜で焼けて熱くなった石を芋にかけて、蓋をするだけの簡単な作業の後、なんとそこから45分も焼いたのです。一方、同じ畑で採れた芋を電子レンジで作ってみると、芯に熱が通るまでたったの6分でした。甘さを比較するために、2つの芋を10倍の水で溶かし、糖度を測定したところ、結果は、3.5倍も石焼きの方が甘かったのです。実は、その原因は、サツマイモの主成分であるデンプンにあります。デンプンは甘くはありませんが、加熱されるとサツマイモに含まれる酵素が働き始め、デンプンを細かく分解し甘い麦芽糖に変えてくれます。この酵素が活発に働くのがおよそ65℃から75℃の温度帯です。そこで、芋の内部の温度変化を測定してみると、電子レンジは、この温度帯を53秒かけて通過するのに対し、石焼きいもの場合は9分30秒もかけて通過しました。石焼きいもは電子レンジに比べ、酵素の反応時間が長いため甘くなったのです。石焼きは、温められた石からイモにゆっくり熱が伝わるので、甘くなる温度帯を時間をかけて通過していたのです。

所さんのポイント
ポイント1
石焼き芋が甘いのは、ゆっくり時間をかけて焼くことで、糖分を作ってくれる酵素の反応時間が長くなるからだった!

 ならば、究極に甘い焼き芋を作ろう!と、温度を酵素が最も働く70℃に設定し、1時間焼いてみました。甘さを比較するため10分焼いたイモも用意し所さんに試食してもらいましたが、この二つの甘さに大きな違いは感じられませんでした。実は、サツマイモを甘くしてくれる麦芽糖は増える限界があり、芋の内部で一定量まで増えると酵素反応しなくなるのです。これは芋の内部でデンプンと麦芽糖が均衡を保とうとするためなのです。
 さて、江戸時代に書かれたサツマイモの料理法が123種も載っている「甘藷百珍」という本があります。この本には、その中でも「塩竃蒸しいも」が一番絶品であると書かれています。この究極の芋料理を、当時に近い方法で再現してみました。まずは大量の塩に水を入れかき混ぜます。次にその塩の上にサツマイモを乗せ、塩でくるみます。最後に200℃のオーブンで石焼きより長く1時間〜1時間半かけて焼きます。焼きあがった塩竃を木づちで割り、食べてみると…塩竃に水分やうま味を閉じ込められ、酵素反応時間も10分以上あるため、その味は甘くてしなやかで正に絶品!と思いきや、所さんは塩で甘さを引き立てる食べ方が嫌いだとのことでした…。

オナラ映像化に成功!  ところで、女性に人気のサツマイモですが、気になるのはやはりオナラ。ではサツマイモを食べると本当にオナラが出るのでしょうか?専門家に聞いてみると、やはりガスは出やすいとの事。ちなみに普通の食事をした場合、ガスは一日平均13回くらい出ると言われています。そこで、A君B君の二人の男性に一日3食サツマイモだけを食べてもらい、ガスを測定する実験です。サツマイモの量は、成人男性が一日に必要なエネルギー量で計算した約1.5kg。ガスの測定には、音が出たらセンサーが反応し赤色灯が回る測定器を使います。さらに、音が出なくても、目に見えない空気中のものが映る装置も準備しました。食事が終わり1時間経過したところでB君が測定器の前にしゃがみ込むと、赤色灯が点灯。出ました!
 そしてお昼に食べた直後は2人ともガスがどんどん出て、実験から10時間、B君が平均値の13回に到達です。そして夕食の後、さらには寝ている間も布団の中に放屁モニターを入れ、24時間記録します。そして、一日サツマイモを食べてオナラの出た回数はA君が17回でB君が19回二人とも平均値よりも多く出ました
 このようにガスが多く発生する理由は、サツマイモに大量に含まれる食物繊維にありました。大腸に入った食物繊維は、腸内細菌によって分解されます。このとき大量のガスが発生し、貯まったガスを大腸はオナラとして排出するのです。しかし、サツマイモによって出たオナラを嗅いでみても全く臭くありませんでした。実は、オナラが臭い主な原因は、肉などに多く含まれるタンパク質を分解した時に発生する「硫化水素」なのです。ところがサツマイモはタンパク質が少ないのでオナラは臭くないのです。

所さんのポイント
ポイント2
食物繊維が多いサツマイモを食べると確かにオナラは出やすいが、タンパク質が少ないので臭くないのだ!




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