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カブトムシ (秘)有機農法
第946回 2008年8月10日


 夏休みの自由研究の定番といえば昆虫採集。中でも子供達に人気なのは、カブトムシ!そこで今回は昆虫の王様、カブトムシの秘められた生態に迫ります!

 なんでも、カブトムシは養殖が簡単で安く買えてしまうので、最近の子供は外で捕らずにデパートなどで買うほうが多いんだとか。そこで、矢野さんは自然の中での虫捕りを味わってもらうべく、都会っ子を連れて森にカブトムシ採集へ。とその前に、カブトムシが何を好むのか実験で確かめてみました。エサの定番、甘い「スイカ」、しょっぱい「塩辛」、辛い「カレー」、酸っぱい「酢の物」、お酒の「焼酎」を用意し、30匹を一斉に放ちます。そして10分後、なんとトップは焼酎で11匹が集まり、2番目が酢の物で5匹。カレーは0匹で、塩辛と大本命のスイカには1匹という驚きの結果に!では、自然界のカブトムシは一体何を食べているのでしょうか?木の根元で食事中のカブトムシをよく観察してみると、木から染み出た樹液をブラシ状の舌でふき取るようになめていました。矢野さんも樹液を舐めてみると、その味は酸っぱく、お酒のような匂いがしたのです。成分を分析してみると、なんと樹液にはアルコールと、お酢の成分である酢酸が含まれていました。しかし、専門家によると、カブトムシはアルコールと酢ではなく、樹液に含まれる糖分を栄養にしているというのです。さらに、先ほどの実験を見返してみると、なんと焼酎と酢の物に向かったカブトムシだけ、ヒゲのような触角の先端がパカッと開いていたのです。実は、カブトムシはこの触角を広げ匂いでエサを感知していたのです!樹液に含まれる糖は、大気中の酵母や微生物によって発酵し、一部がアルコールやお酢になるので、カブトムシはこの匂いを頼りに樹液を探していたのです。そこで、焼酎200cc、黒砂糖200g、お酢大さじ2杯をまぜた究極のエサを作り、それをクヌギの木に塗り、さらにガーゼに染み込ませてぶら下げます。夜を待ち、矢野さんは子供達と再び森の中へ。すると、なんと4匹ものカブトムシが木に集まっていて、作戦は大成功!

所さんのポイント
ポイント1
匂いでエサを感知するカブトムシをおびき寄せる究極のエサは、焼酎、黒砂糖、お酢を混ぜたものなのだ!

 ところで、カブトムシが飛ぶ姿ってあまり見かけませんよね?そこで、紐を角に付けてグルグル回して飛ばさせてみると、なんとも不格好な姿で飛び、すぐに飛ぶのをやめてしまいました。そもそもカブトムシはどれぐらい飛べるのか、1周すると1mになる、くるくる回る棒の先にカブトムシをセットし、飛ぶ距離を測ってみました。比較のため同じ甲虫類の虫にも挑戦してもらいます。そして、5回測った飛行距離を平均すると、カブトムシはわずか42mで、甲虫類の虫は5倍以上の218mでした。なぜカブトムシはこんなに飛べないのでしょうか?専門家によると、カブトムシは体が大きいわりに羽が小さいので、飛ぶのが難しいのだそうです。実際に、カブトムシの羽1cm2にかかる重さは他の昆虫に比べて40倍近くもあったのです。羽ばたくカブトムシのスローそこで、この重い体で飛ぶメカニズムを解明するために、最新のカメラで飛ぶ姿を撮影しスロー映像を見てみると、前羽はあまり動かず、後ろ羽を大きく羽ばたかせているのが分かりました。実は、カブトムシは後ろの羽で揚力と推進力を生み出し、広げた前の羽は、飛行機の翼のように揚力を上げる役目を果たしていたのです。

 では、飛ぶのが苦手なカブトムシはいつ飛ぶのでしょうか?そこで矢野さんは1匹のカブトムシに黄色いリボンを付け、「カブト太郎」と命名しその生活に徹底密着しました。夜、エサ場で樹液を吸い続けるカブト太郎は、その場からほとんど動きません。すると、そのエサ場にやってきたクワガタや他のオスカブトとの格闘が始まりました。その光景はまさに昆虫界最強を決めるK−1対決!そして、数々のライバルを投げ飛ばし続けたカブト太郎は日が昇ると、体温が上がるのを防ぐために木の下の落ち葉に移動し隠れてしまいました。そして日が暮れると、落ち葉の下から同じエサ場へと再び移動しました。つまり、カブトムシは闘いに負けず、エサ場を独占していれば、飛ぶ必要がなかったのです!カブトムシ、クワガタ  レントゲン筋肉比較そんなカブトムシの強さの秘密を探るために、カブトムシをレントゲン撮影してみると、角の付け根と脚の付け根に大きな筋肉がありました。クワガタと比べてもその筋肉量の差は一目瞭然。
 実はこの筋肉にこそ、木につかまる足腰と、最大の武器である角で相手を投げ飛ばすパワーが秘められていたのです。さて、相変わらずライバルを蹴散らし続けるカブト太郎のエサ場に、3匹のメスカブトが現れました。すると、カブト太郎は追い払わずに交尾を始めたのです。オスカブトがエサ場を独占する理由は、メスを誘い込み交尾するため。つまり、子孫を残せるのも強いオスの証だったのです。そして、その結果生まれた卵から孵化し、10ヶ月間土の中で腐葉土を食べて育つ幼虫にも驚きの秘密が!幼虫をたくさん放した腐葉土と、ただの腐葉土に小松菜の種をまき、10日間観察してみると、なんと幼虫がいる腐葉土の小松菜の方が断然大きく成長したのです。腐葉土の表面に残っていた幼虫の糞を分析してみると、植物の成長に欠かせない窒素が腐葉土に比べおよそ4倍多く含まれていました。実は腐葉土に含まれる窒素とリンは、幼虫の体内で分解され、植物が吸収しやすい水に溶けやすい形になるのです。カブトムシと樹木は共生関係にあったのですね。

所さんのポイント
ポイント2
樹液が主食のカブトムシ。その幼虫は、腐葉土を食べて樹木の栄養になる糞をするので、カブトムシと木はお互いに与え合う関係なのだ!




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