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1冊30分!! 速読 の弱点
第1006回 2009年10月24日


 読書の秋。ですが、書籍の売り上げはここ10年、毎年下降しているんです。そこで今回は、激変する読書の最新事情を科学します。

①ケータイ小説の秘密
 近頃の若者は、本は読みづらいけど、携帯電話を使ったケータイ小説なら読みやすいと言います。そこで、本VSケータイで、読みやすさ対決です!普段本を全く読まないギャル3人に、「シャーロック・ホームズの冒険」の中から、わずか40ページの短編を読んでもらいます。普通なら30分とかからず読み終わるはずですが…3人は平均で50分もかかってしまいました。
ギャルのケータイ読み、平均約60分 (3面)  続いては得意な携帯にページ数がほぼ同じ短編をダウンロードして読んでもらいます。しかし、携帯の方が平均で10分も長くかかってしまったのです。特殊なカメラで、読書中の視線の動きを比べてみると、本では視線が大きく自由に動いているのに対し、携帯は画面が小さいため視線を大きく動かすことができず、代わりに画面が動いています。本来人は数文字を行き来しながら視野の中で文章を理解していますが、携帯では次に何が出てくるかスクロールしないとわからないため、本よりも読みづらかったのです。

所さんのポイント
ポイント1
若者に大人気のケータイ小説。しかし、画面が小さく視線を自由に大きく動かせないので本より読みづらいのだ!

②驚異の技!速読
 本を読まない若者が増える一方で、読書を極めるスゴい若者たちもいます。それが速読!試しに速読大会で優勝した大学生の大久保さんと、普通の大学生に紀行文の名作「深夜特急」を読んでもらいました。すると…速読家は見開き2ページをおよそ15秒で読み、200ページの本をたったの26分で読み終わりました。一方普通の大学生は1時間半以上かかってようやく終了。しかも、2人に本の内容からクイズを出題したところ、速読家の方が優秀な成績でした。内容もちゃんと頭に入っていたのです。そこで、2人の視線の動きを比べてみると、普通の大学生は1行ずつ目で追っていくのに対し、速読家はブロックでまとめて読んでいました。これは、広い視野で文章を一気にとらえているということ。ならば、速読家の視野はどれくらい広いのか、その実力を検証!100人分の顔写真を貼った大きなボードの中に所さんの写真を貼り、2m離れた場所から、所さんをできるだけ速く見つけてもらいます。普通の人は、所さんの写真の場所を変えて5回挑戦した結果、平均タイムはおよそ8秒でしたが、速読家は驚異的なスピードで見つけ続け、5回の平均はなんと約3秒!速読家は、この視野の広さを使って、速く本を読むことができるのです。
所さん、パソコンの図形で視幅のトレーニング  スタジオでは、所さんがパソコンの画面で広がる図形や、バラバラに表示される文字をまとめて読む速読のトレーニングに挑戦。初心者にはなかなか難しいようでしたが、こうした訓練を積めば1週間で効果が出ることもあるそうです。
 しかし、速読には意外な弱点があるといいます。そこで感動的な話を集めた短編集を速読家の秋葉さんと、読書の好きな一般男性2人に読んでもらいます。すると…普通の男性2人は物語に入り込み、なんと涙を流し始めました。一方、どんどん読み進む秋葉さんは無表情で一向に表情を変えません。専門家によると、速読は、情報を詰め込むことを優先するため、感情移入しづらいんだそうです。普通私たちは、文章を頭の中で無意識のうちに音に変換していますが、速読の場合は、映像としてとらえるため、内容は理解できても、心に刻むのは難しいのです。速読家も泣きたい時などは、盛り上がる場面を普通の読み方に切り替えて読むそうです。

所さんのポイント
ポイント2
速読は、情報を詰め込むことを優先させるため、感情移入しづらいという弱点があった!

③読み聞かせの力
 誰もが経験のある、本を読んで聞かせる「読み聞かせ」はどれほど効果があるのでしょうか?そこで小学2年生を2つのグループに分け、自分での黙読と読み聞かせでの理解度を比較します。読む本は「りゅうの目のなみだ」。挿絵に影響を受けないように文字以外は隠してあります。まずは、黙読チームが読み終わったところで、一番盛り上がったシーンを絵に描いてもらうと…盛り上がる手前のシーンを描いたり、中身を間違えて理解してしまった子もいて、5人全員不正解でした。続いて読み聞かせチームに、朗読の先生が読み聞かせると…同じ質問に対してなんと5人中4人が正解。実は、子供は読む力より聞く力の方が先に発達するため、読み聞かせの方が、イメージが広がり理解しやすいのだそうです。さらに、大人も黙読より、自分で声を出して音読する方が、耳で聞いて情報量が上がるため記憶に残りやすいそうです。では、人の声ではなく、最新の音声合成ソフトを使うとどうなるのでしょう?そこで、同じ物語を音声に変換して別の5人に聞かせ、同じ質問を出すと、正解したのはたったの1人。実は、機械の音声だと表情もなく、呼吸も子供と合わせることができないため、子供たちは集中できず感動もしづらくなるそうです。読み聞かせは、読み手が感情を込め、抑揚もつけて聞かせることが大事なんですね。



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