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実は痛くない予防注射
第1068回 2011年1月29日


 冬の寒い時期、風邪やインフルエンザなどで体調を崩し、多くの人がお世話になる病院。そこで今回は、病院に関する疑問を科学で解明します!

 病院といえば、子供はもちろん、大人になっても苦手な人が多い注射。一体どれほどの痛みなのか、専門家に聞いてみると…なんと、注射の針自体は細いので、それほど痛くないとの事。そこで実験!インフルエンザの予防接種を行う病院で、注射で泣いてしまった、注射嫌いの子供4人に、内緒で協力してもらい、痛みを感じなくなるという画期的な方法で注射をして反応を確かめます。イラストの左腕に注射 4人全員が泣かなかった!何も知らない子供たちがやってきた部屋で待っているのは、優しそうな絵描きのお姉さん。子供たちには目隠しをしてもらい、まずは右腕にボールペンで小さな絵を描きます。目隠しをとった子供たちは絵を見て嬉しそうですが、これはトラップ。再び目隠しして、左腕にも絵を描き、最後にお医者さんと入れ替わり、こっそり注射をすると…子供たちは痛みに軽く反応したものの、なんと全員が泣かなかったのです!

 実は、予防接種などの皮下注射はボールペンで押された時の痛みより少し強い程度。でもなんでみんな注射を嫌がるんでしょうか?理由を探るため、子供に色々な刺激を与え、脳の働きを見てみることに。まずは、お母さんに腕をつねってもらい、実際に痛みを与えると…痛みがあると反応する前頭前野の部分が活発に働きました。続いて、ボールペンの先を強く押しあて、注射と同じ程度の痛みを与えてみると…前頭前野はごく弱い反応でした。そして、いよいよ注射器の登場!しかし、刺してもいないのに、子供の脳は注射器を見ただけで前頭前野が活発に反応!専門家によると、注射器を見ただけで恐怖と共に反応しているそうです。脳の様子をよく見ると、注射器を見せた瞬間、記憶に関係する海馬という部分も反応していました。つまり、子供は注射の痛みを思い出すだけで痛く感じていたのです。この理由は、人間の皮膚の痛点は、赤ちゃんの頃は間隔が狭く、注射を打つと、当たる痛点の数が多いため、大人より痛いと感じるといわれています。だから、成長しても、当時の恐怖の記憶がよみがえり、痛みも感じてしまうと考えられるそうです。

所さんのポイント
ポイント1
皮下注射は、さほど痛くない!痛点が集中していた赤ちゃんの頃に受けた注射の記憶がよみがえり、見ただけで痛く感じてしまうのだ!

 ところで、お医者さんといえば白衣のイメージですが、手術のときは緑や青の手術着を着るのは、一体なぜでしょう?手術医の方に理由を尋ねると、手術は長時間赤い血を見るので、白衣では色々危険があると言います。一体どういうことなのか?手術の代わりに、箸で器にある豆をつまみ、型に並べていく、豆つまみゲームで実験です。真っ赤な血液の代わりに、赤い光を5分間見つめた直後に挑戦してもらい、タイムを計ります。まずは1人目の女性が手術着に合わせた、全て緑に塗ったセットで挑戦すると…順調に進み、タイムは1分32秒。続いて、赤い光を5分見た後に、白衣と同じ白いセットで挑戦してもらうと…先ほどとは違い、序盤でミスを連発!タイムは27秒も遅い1分59秒でした。計3名に挑戦してもらったところ、全員が白のセットで、なぜかタイムが落ちたのです。その理由とは?色残像の実験をする所さんそこで、スタジオで所さんにこんな実験をしてもらいました。左半分が赤、右半分が緑の画面の真ん中にある白い点を、10秒見つめてもらい、10秒後に、画面が何色に変わったか答えてもらいます。すると…左側が水色、右側が薄い紫と答えた所さん。しかし、実は画面は真っ白になっただけ。実はこれ、「色残像」という現象で、同じ色を見続けた直後、その色の反対色が目に移るのです。
 実は、白いセットでタイムが落ちたのも、この色残像が邪魔をしていたため。つまり、お医者さんは、赤い血を長時間見た後、白衣だと反対色の緑の残像がちらつくため、手術着には赤の反対色である緑や青が使われるようになったのです。

 さて、病院といえば健康診断を受ける場所でもありますが、午前の健康診断の場合、前日は禁酒し、夕食は夜9時までに済ませるなど、注意事項を守るのは大変ですよね。では、これを守らないとどうなるのか?20〜40代の男性6人に協力してもらい実験です!6人は、注意事項を守った上で受けた血液検査では、何の異常もありませんでした。しかし、今回の実験では、同じ日の夜、焼き肉屋でそれぞれカルビを4人前、ビールをジョッキ4杯飲んでもらい、深夜0時に食事を終えます。注意事項を破りまくって、翌朝9時、血液検査を実施すると…20代の3人はほとんど変化がなく問題なしでしたが、40代の3人は中性脂肪が数倍にも上がり、危険な値に達してしまったのです!中性脂肪が増えた理由は、焼き肉に多く含まれる脂肪と、ビールのアルコールが脂肪の分解を遅らせたためと考えられますが、なぜ40代だけ異常値になってしまったのでしょう?理由を専門家にうかがうと、40代は20代に比べ基礎代謝と肝機能が衰えているため、前日の飲食に血液が影響を受けやすいとの事。やっぱり、健康診断の注意事項は必ず守るべきなんですね。

所さんのポイント
ポイント2
40歳以上の人は、脂肪を分解する能力が衰えているので、健康診断前夜の絶食は、必ず守らなくてはならない!(※若い方も守ってください)




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