知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


蒸し料理はヘルシーか
第1075回 2011年3月26日


 今、女性を中心に大人気の蒸し料理!タジン鍋など様々な蒸し料理のキッチングッズも売れ、蒸し料理専門店も急増中!そこで今回は、街で聞いた蒸し料理の魅力について科学で解明します。

蒸し料理の魅力①「お肉の脂が落ちる」
 蒸し料理でお肉の脂はどれほど落ちるのか、早速実験です!豚バラ肉を均等の厚さに切り、100gずつに分け、それぞれを、栄養士の先生に熱が通るまで、蒸し、焼き、茹での調理をしてもらい、研究施設に向かいます。そこで、特殊な機械でそれぞれのお肉に残っている脂の量を調べてみました。脂4本比較「蒸料理が1番脂が落ちていない!」すると…生のバラ肉の脂の量は、100g中43.4gだったのに対し、茹でた肉は、40.9gとわずか2.5g減っただけ。焼き肉は23.2gと、20g以上も減りました。そして注目の蒸し肉は…41.5g。なんと1・9gしか脂が落ちていなかったのです!
 さらに、牛バラ肉、鶏モモ肉でも同じ実験をしても、どちらも蒸し料理が、落ちた脂の量が一番少ないという結果に。専門家に理由を尋ねると、加熱する温度が違うためだといいます。そこで、調理中のそれぞれの肉の表面温度を測ってみると、焼き肉は143.6℃でしたが、茹で肉と蒸し肉は85〜90℃前後と、どちらも100℃以下でした。焼き肉のように高温で加熱すると、脂肪が液体に変わり流れ落ちやすく、さらに茹で肉が蒸し肉よりもやや脂が落ちた理由は、お湯の中に少量の脂が溶け出したため。つまり、蒸すと肉の脂が大量に落ちるというのは間違いでした。

蒸し料理の魅力②「野菜の栄養素が残る」
 蒸し料理はどれぐらい野菜の栄養素が残るのでしょうか?専門家に伺うと、加熱調理では、特にビタミンB群と、ビタミンCが失われやすいそうです。そこで、実験!野菜の中でもビタミンCを多く含むブロッコリーを先ほどのお肉の実験と同様に、均等に切り分け、100gずつを蒸し、焼き、茹での三種類で調理します。そしてビタミンCの量を量るため、試薬を混ぜてすり潰し、測定器の中へ。3日後、結果を聞きに訪ねてみると、生のブロッコリー100gあたりのビタミンC量は167mgでした。茹では108mg、焼きは114mg、注目の蒸しブロッコリーは、126mgと、一番ビタミンCが多く残っていたのです。確認のために、赤ピーマンでも同じように実験してみると、生の状態では100gあたり127mgだったのに対し、茹では108mg、焼きは111mg、ところが、蒸し赤ピーマンは105mgで、今度は最下位になってしまいました!さらに、カボチャでも同じ実験を行ったところ、蒸しは、焼きと茹でに比べ、最もビタミンCが失われていました。専門家に理由を伺うと、野菜のビタミン類の損失には野菜の種類や形、調理法など様々な要因があると考えられ、全ての野菜において、蒸し料理がビタミンCを一番多く残すとは言い切れないそうです。つまり、蒸し料理にすると、すべての野菜の栄養素を多く残すというのも、残念ながら間違いでした。

所さんのポイント
ポイント1
野菜のビタミン類が調理後に多く残るかは、野菜の種類や切り方などによって変わる。蒸し料理が特に栄養を残すわけではなかった!

蒸し料理の魅力③「野菜がたくさん食べられる」
 さて、栄養素が多少失われたとしても、その分、野菜をたくさん食べることができれば理想ですよね。そこで、同じ大学のサッカーサークルに所属するスポーツマン学生3人の協力でこんな実験です!彼らには、それぞれお碗一杯30gに計算した焼きもやし、茹でもやし、蒸しもやしを限界まで食べ続ける、わんこそばならぬ「わんこもやし」に挑戦してもらいます。調理に油は一切使わず、味付けは塩コショウのみ!一番多く食べた人には賞金一万円を贈呈します。スタートと同時に、3人は賞金欲しさにもやしを勢いよくかきこんでいきますが…最初に焼きもやしが33杯でリタイア。続いて、早くからペースダウンしていた茹でもやしが23杯でリタイア。そして、蒸しもやしは優勝が決まっても、自らの限界まで挑戦し続け、結果は43杯!わんこもやし、2回目の結果焼きもやしの倍近く食べ、見事賞金を獲得しましたが、実験はこれで終わりません。翌日、血液検査を行うためと、3人をウソの名目で呼び出し、もう一度わんこもやしに挑戦してもらうことを発表。3人の普段食べる量が違う可能性があるので、それぞれ昨日と担当を入れ替えて再び実験です。その結果…茹では38杯、焼きは45杯、そして、蒸しは57杯と、再び蒸しもやしの圧勝でした!
 一体なぜ蒸し料理はたくさん食べられるんでしょう?その答えは学生たちの感想に秘められていました。茹でもやし担当の学生によると、水分が多く、まるで2倍食べているように感じたとの事。つまり、茹でる時にもやしがたっぷりと水分を吸っていたのです。一方、焼きもやし担当の学生は、噛む回数が多くて、徐々に噛みたくなくなったそうです。つまり、焼きもやしは固くて歯ごたえがあるため、噛む回数が増えて、満腹感を早く感じてしまったようです。蒸し野菜はたくさん食べられるというのは本当で、結果的に栄養素を多く摂取できるのです。

所さんのポイント
ポイント2
蒸し料理は、野菜が水分をあまり吸わず、表面も固くならないので、最も野菜をたくさん食べられる調理法だった!




食べ物編へ
前週 次週
ページトップ

ジャンル別一覧 日付別一覧