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上司がセクハラする訳
第1082回 2011年5月14日


 会社で起こる様々なトラブルの中でも、近年大問題になっているのが、セクハラ。そこで今回は、職場のハラスメント研究所所長・金子雅臣先生をスタジオに招き、科学の力でセクハラ問題の実態を徹底調査。セクハラのつもりがないコミュニケーションでも、気がつかない間に会社にいる異性から白い目で見られてしまう理由を暴きます!

①気をつけていても、セクハラと思われてしまう秘密とは!?
 街行く30人の女性会社員に聞いたところ、なんと7割の女性がセクハラの被害を受けことがあるといいます。しかし、男性会社員30人に聞いたところ、全員がセクハラに気をつけているとのこと。そこで実験!男性会社員に、セクハラ調査であることは内緒にして、「仕事で大失敗した部下の女子社員を励ましてください」とお願いします。金子先生は別の場所で様子をウォッチングし、1分間、セクハラとみなされる言動の回数をチェック。まずは、20〜30代のサラリーマンに挑戦してもらったところ、なんと全員セクハラの回数はゼロ!続いては40〜50代の男性会社員に挑戦してもらいます。すると…部下役の女性にいきなりのボディータッチや、個人的に飲みに誘うなど、セクハラの嵐!結果、40〜50代の男性は15人中10人が1分間で1回以上、セクハラな言動が見られました。この理由を金子先生に伺うと、「40代以上のサラリーマンは、過去に職場に女性が少なかった時代を過ごしているため、職場で女性への接し方がわからない」のだそうです。そこで、コミュニケーションを知っている「娘」、「妻」、「飲み屋の女将さん」の3タイプの女性と同じように、会社の女性に接してしまうので、セクハラに思われてしまいがちなんだそうです。

所さんのポイント
ポイント1
女性が職場に少なかった時代を経験したサラリーマンは、職場でも、親しい女性と同じように接してしまうので、セクハラと思われてしまう!

②セクハラと感じるかどうかは、相手次第なの!?
 ちょっとした会話でもセクハラと思われることがあるというのですが…一体何を基準に女性はセクハラと感じるのでしょうか?こんな実験です!都内で働く現役女性会社員20名を10名ずつ、AとBの2チームに分け、それぞれ同じ紙芝居を見て、不快と感じた具合を0〜2ポイントの3段階の札で判定してもらいます。紙芝居の中身は、「最近キレイになったよね」、「今月誕生日だったよね」など、会社の中で起こりうる「微妙な会話」の場面が描かれた20問。最初のAチームには、この台詞を「同僚の男性から言われた」と思って判定してもらいます。すると…意外にも、20問中8問は不快度0ポイントと、不快に感じる言葉は少なかったようです。「ちょっと肩たたいてくれない?」など、よほどの言葉ではない限り、多くの女性は不快と感じる札を上げませんでした。「今月誕生日だったよね」札上げる女性たち続いて、Bチームには、先ほどと絵も音声も全く同じ紙芝居で、今度は同僚ではなく、「上司との会話」として不快ポイントを判定してもらいます。すると…Aチームでは不快度0ポイントだった会話が突然15ポイントを取るなど、状況は一変。なんと20問全てで不快と感じる人がいました。全問の平均を見ても、同僚の場合は「微妙な会話」の不快さは3.9ポイントでしたが、上司になった途端、12.8ポイントに大幅アップしたのです!
 この理由を金子先生に伺うと…会社で、仕事の評価や人事が絡む上下関係があると、「嫌とは言えない」ため、女性は上司からの言葉をセクハラに感じやすいのだそうです。上司から見ると、ちょっと驚きの結果ですが、上司が思う以上に部下が「セクハラ」を受けていると感じている可能性は大きい、という事実が浮かび上がりました。ただし、良好な人間関係を築いている上司ならば、同僚と比べても不快ポイントは変わらないのでご安心ください。

③女性が嫌がるボディータッチ、男性はなぜしがちなの?
 セクハラは男も女も被害にあうものですが、なぜ世の中で男性が加害者になりやすいんでしょうか?セクハラの中でも、男女で意識の違いが大きいものを探ってみると…「肩をもむ」などのボディータッチは、女性の皆さんはかなり嫌なようです。そこで、どれだけ嫌なのか実験!20代の男性の前に、アイマスクをした4人の女性が登場。まず、女性にはアイマスクを外した時の第一印象だけで男性4人の好感度ランキングをつけてもらいます。そして、男女でペアになり、大相撲の八百長問題についてトークしてもらい、きっちり5分後に席替え。全員と会話をしてもらいます。ただし、第一印象一番人気だった男性には、会話中「膝を当てる」、「肩を触る」、「髪を触る」という3回のボディータッチをするように指令を出してあります。彼の評価がどう変わるのかを見る…というのが実験の狙いなんです!さて、一番人気の男性は指令通りに全員にボディータッチを行い、実験終了。男性が退室し、女性たちに再び好感度ランキングをつけてもらうと…なんと全員が一番人気の男性を最下位に下げたのです!女性たちに理由を聞くと、やはり触られたことが印象をグッと悪くしたそうです。女性は、よほど好意を抱く相手や、親しい相手でない限りボディータッチは許せないようです。
 では、逆に女性が男性に対して行うボディータッチはどうなのでしょう?そこでさらに実験!別の男女8名に、今度は男性に第一印象で女性の好感度を順位付けしてもらいます。そして、最下位だった女性に、会話中、先ほどの男性と同じ、3つのボディータッチのミッションを行ってもらいます。女性は指令通り、全員にボディータッチ!すると、男性は全員嬉しそうです。そして、実験終了後、男性に再び女性のランキングをつけてもらうと…全員この女性のランクを上げ、中には4位から1位にした人も。男性たちに理由を聞いてみると、やはりボディータッチが好感度を大きく上げたようです。髪に触る女性「あっ ちょっと ごめんなさい」金子先生によると、女性は「よほど好意を抱く相手以外のボディータッチ許せない」のに対し、男性は、「よほど嫌いでなければ女性からのボディータッチOK」なので、自分が許すのと同じように女性も許してくれると勘違いして、思わずボディータッチしてしまうようです。この男女のコミュニケーションギャップにより、上司や年配の男性サラリーマンは、気を付けていても、セクハラ加害者になりがちなので注意しましょう!

所さんのポイント
ポイント2
男性は、女性からのボディータッチを嫌に感じないため、女性も同じように許してくれるだろうと、ついボディータッチしてしまうので要注意!




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