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体の芯から温まる方法
第1113回 2012年1月14日


 去年の11月、宇宙から帰還した古川聡さんは、開口一番「お風呂に入りたい!」とコメント。そう、日本人と言えばやっぱりお風呂。それも大きな湯船の銭湯はとても気持ち良いですよね!そこで今回は、とても寒いこの時期、体の芯から温まる、銭湯にまつわる疑問を徹底解明します!

①「裸の付き合い」は、人間関係に何か影響を与えるの?
 銭湯などの公衆浴場で、「裸の付き合い」で仲良くなるなんてよく耳にしますよね。では、「裸の付き合い」で何かが変わるのか?街で聞くと…「特に変わらない」という声が多数。そこで、裸になることで人間関係が変わるのか?実験です!まずは比較のため、「中にいる誰かに洗剤をもらって洗濯してきて下さい」と指令を受けた10人の男性が、1人ずつ、コインランドリーへ。室内の中心には、サングラス姿の恐い雰囲気の男性、その両脇には、見た目は普通の男性2人の仕掛け人が座っています。すると…誰一人、恐い人から借りませんでした。コインランドリー&銭湯 強面男性の結果まあ当然の結果ですが、ここからが本番!続いては銭湯で、別の男性10人で実験!出された指令は「浴室にいる誰かにシャンプーを借り洗髪して下さい」というもの。同じ仕掛け人の3人は、服を脱ぎ裸になり浴室で待機。先ほど同様3人の中心に座る、恐い服装だった人は、素顔でも恐そうな雰囲気。ところが…裸になった途端、なんと4人もの男性が強面の男性からシャンプーを借りたのです!恐い人に借りた男性は、「借りやすそうに見えた」との感想。この理由を専門家に伺うと…「人間は外見で人を判断する事があるので、服を脱いでしまうと職業や肩書きがわからなくなり、先入観なく接することができると考えられる」そうです。つまり、「裸の付き合い」という言葉は、仲の良い者同士が、より関係を深めるという意味ではなく、銭湯のような場所で見ず知らずの人が、気さくにコミュニケーションが取れるという意味もあるようなのです。

②公衆浴場のマナー、「掛け湯」の意味とは?
 さて、公衆浴場でお湯の汚れを防ぐ大切なマナー、「掛け湯」。しかし、銭湯などをあまり利用しない最近の子供達は、掛け湯をせずに湯船に入ってしまう子も多いそうです。ところが専門家によると…「掛け湯は汚れを落とすだけではなく、命を守る効果もあると言える」そうです!確かに寒い冬場は、主に急激な血圧上昇が原因とされる浴室での事故が増えるんです。そこで、掛け湯をすると、どれほど血圧は上がらなくなるのか?4人の男性で実験!まずは安静時、最高血圧120だった男性に、一般的な温度、約42℃のお風呂に掛け湯なしで入ってもらい、30秒後に血圧を測定すると…27も上昇して147に!次に、30分休憩して血圧を正常に戻してから、銭湯で調べたところ最も多かった「3回」の掛け湯をして実験です。掛け湯は下半身の汚れを落とすのが目的なので、下半身中心にお湯を掛け、再び湯船に入り30秒後…数値は143と、掛け湯なしとあまり変わりませんでした。他の3人でも試した結果、掛け湯3回では、高血圧とされる指標、最高血圧135を下回ったのは1人だけという結果に。この理由を専門家に伺うと…「3回程度の掛け湯では、皮膚への温度刺激が少なかったので、あまり効果がなかったと考えられる」そうです。ならばと、3回の2倍以上、7回掛け湯をしてみます。掛け湯なしの時は152、掛け湯3回でも135を上回った男性でもう一度確かめてみると…数値はなんと128!結果、全員が掛け湯7回で、血圧は正常範囲の135以下に!実は、掛け湯5回と9回でも実験した結果、5回で全員が135以下に下がりました。やはり、掛け湯というマナーには、「お湯を清潔に保つ」だけではなく「急激な温度変化から身体を守る」という隠れた意味があったんですね。ただし、普段高血圧の方は5回以上をオススメします。さらに、掛け湯の方法は、肩からお湯をかけるのではなく、プールで足先から水に浸けて体を慣らすように、心臓から遠い足先から、下半身を中心に掛けるのがポイント。また、「お風呂上りに体を浴室内で拭く」というマナーも、脱衣所を濡らさないためだけではなく、「湯冷めを防ぐ」という隠れた意味もあるそうなんです。小さなお子さんのいる方は、実はとても合理的な意味を持つ、銭湯など大浴場での入浴マナーをお子さんに教えてみては?

所さんのポイント
ポイント1
お風呂のマナー「掛け湯」は、お湯の汚れを防ぐだけではなく、5回以上掛けることによって、入浴時の急激な血圧上昇を防ぐのだ!

③銭湯のような大浴場と家庭のお風呂、お湯に違いはあるの?
 さて、大きな銭湯などのお湯と、家のお湯は違うなんてよく聞きますよね。そこで、銭湯の常連さん20人に聞いてみると…なんと全員が違うと回答。聞けば、「銭湯の方が、お湯が柔らかい」と言うのです。そこで実験!Aの容器には家の風呂のお湯を、Bの容器には銭湯のお湯を入れ、湯煎をして、AB共に同じ温度に揃えます。ただし、どちらも入浴前の新しいお湯。10人の常連さんに、2つのお湯を触り比べてもらい、銭湯のお湯と思う方を選んでもらうと…なんと正解は4人だけ。水の専門家に伺うと…「銭湯や家庭の風呂で使われるのは、水道水、もしくは地下水なので、お湯の違いを肌触りで感じるのは難しいと思われる」そうです。ならば、人がたくさん入ればお湯が柔らかくなるのでしょうか?そこで、開店から4時間後、お客さんが入った湯船からお湯を採取。同じく、手触り実験をしてみると…正解者は、10名中6名と、今度もほぼ五分五分。一体なぜ?実は、銭湯では、浴槽へとお湯を循環させるパイプの途中にある「ろ過器」内のフィルターで汚れを取り除き、さらに塩素で自動的に殺菌。常にお湯を衛生的に保っているので、さら湯でも、人が入った後でも、お湯の質は変わらないのです。でも、なぜ常連さんたちは違うと実感しているのでしょう?さらに話を聞くと…皆さん口々に「身体が温まる」と言います。家庭と銭湯、湯上りの瞬間 サーモ比較そこで実験!まずは比較のため、室温約20℃の部屋に、男性4人が裸で10分間待機したあと、42℃の家庭のお風呂へ10分間入浴してもらいます。その後、同じ条件で42℃の銭湯にも10分間入浴し、湯上り直後の体表面温度をサーモグラフィーで見比べてみます。すると…なぜか全員、銭湯の方が家のお風呂より明らかに温まっていたのです!さらに、20分後も観察すると、銭湯の湯上がりの体温は高いままで、湯冷めしにくい事も分かりました。
 入浴時間も湯の温度も同じなのになぜでしょう?専門家に伺うと…「銭湯はお湯の量が多いので、簡単にお湯が冷めないからよく温まる」そうです。そこで、実験中の家の風呂と銭湯の湯温を見比べてみると…10分後には家のお風呂は40.6℃と1.4℃も下がっていたのに対し、銭湯は41.6℃と0.4℃しか下がっていなかったのです!さらに銭湯は、湯温が0.5℃以上下がると、自動的に沸かされ、一定の温度を保っているので、銭湯などの大きい湯船は身体がより温まるんですね。

所さんのポイント
ポイント2
銭湯は湯量が多いので、人が入っても冷めにくく、さらに常に自動で湯温が保たれているため、一般的な家風呂よりも身体が温まりやすい!




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