知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


重曹でエコ掃除&洗濯
第1116回 2012年2月4日


 昔からホットケーキのふくらし粉など、料理に大活躍の重曹。近頃は、掃除や洗濯など家事にも使える「魔法の粉」として大人気!そこで「目がテンエコ研究所・第5弾」の今回は、安全で環境にも優しい、重曹に関する疑問を徹底解明!

①重曹はどれほど消臭効果があるの?
 街行く女性に、「重曹に消臭効果はあると思うか」尋ねてみたところ、なんと30人中24人もの方が、「ある」と回答。そこで、重曹を使っているというご家庭を訪ねてみると、重曹を生ゴミに直接ふりかけていました。そこで実験!肉・魚・卵・野菜などを混ぜ、2日間放置して作った生ゴミを2つに分け、片方にだけ、重曹をたっぷりと振りかけます。そして2時間後…10名の若者に、中身を知らせず、1人ずつ箱に入った2つの生ゴミのニオイを嗅いで、どちらがクサイと思うか判定してもらいました。すると…重曹なしが6人、重曹をかけた生ゴミは4人と、ほぼ五分五分という結果に…。実際にニオイセンサーでニオイの強さを測定してみると、そのままの生ゴミの数値は1520で、重曹をかけたものは1309と、消臭効果はわずかだったのです。そこで今度は生ゴミではなく、靴の消臭に使っているというお宅を訪ねてみると、げた箱の中に紙コップ入りの重曹を置いたり、紙に包んでブーツの中に入れたりしていました。靴下匂い実験 男性 重曹なしを嗅いで「うっ」では、重曹は足のニオイには効果があるんでしょうか?実験です!用意したのは、番組AD3人が、3日間履き続けた強烈なニオイの靴下。この靴下を全て半分に切り、片方はそのまま、もう一方の靴下は重曹を入れたお皿に乗せ、上からも重曹を振りかけ箱の中へ。これを先ほどとは違う10人に、1人ずつどちらがクサイか判定してもらうと…なんと10人全員が重曹なしの靴下の方がクサイと判定!ニオイセンサーでも、そのままの靴下は459でしたが、重曹を振りかけた靴下は168と、約3分の1にニオイが減っていたのです!
 靴下のニオイだけが消えた理由を専門家に伺うと…「靴下のニオイは酸性物質で、弱アルカリ性の重曹と中和反応したため、ニオイが消えたのに対し、生ゴミは酸性やアルカリ性、それ以外と様々な悪臭成分が混ざっているので効果が薄かったと思われる」そうです。つまり、トイレなどのアンモニア臭もアルカリ性のため、ただの重曹を置いてもほとんど効果はなし。(※消臭効果が期待できる重曹入りの商品もあります)なお、げた箱では重曹をコップに入れておくより、直接振りかける方が効果的だそうです。

所さんのポイント
ポイント1
重曹は、弱アルカリ性なので、靴下などの酸性物質のニオイには、特に優れた消臭効果を発揮するのだ!

②重曹で衣類の汚れはどれほど落ちるの?
 続いて、重曹は洗濯に効果があるのかを検証します。街で、「重曹で衣類の汚れは落ちると思うか?」と尋ねてみると、30人中28人が「落ちる」と回答。そこで、洗濯に重曹を使っているお宅に伺ってみると…環境に優しいという理由で、昔ながらの「粉石けん」に重曹を混ぜて洗濯していました。では、重曹を入れると、粉石けんだけの時よりどれぐらい汚れが落ちるのか?実験です!まずは、卵の黄身に水を入れてよくかき混ぜ、2枚の白いTシャツに垂らし、丸いシミを作ります。さらに上からアイロンを当て、調理された卵を食べこぼした場合の、タンパク質汚れを再現。このTシャツを、それぞれ2台の同じ洗濯機に入れ、片方には粉石けんを規定量、もう一方には同じ量の粉石けんと、その10倍の重曹を入れ、同じコースで洗濯。洗い終わったシャツを乾かして見比べてみると、どちらも黄色い汚れが残り、あまり変わらず…。実際に、数値が100に近いほど、白いことを示す、表面反射率を計測してみると、粉石けんだけの場合は80.06%、重曹を加えた方は74.86%と、むしろ粉石けんだけの方がマシという結果に…。皮脂汚れ洗濯結果2面「汚れが落ちている!」そこで、今度は皮脂汚れを薬品で再現し、先ほどと全く同じ要領で2枚のTシャツを洗ってみると…今度は重曹を加えた方が、粉石けんだけで洗ったTシャツよりも明らかに汚れが落ちていたのです!表面反射率も、粉石けんだけでは82.83%だったのに対し、重曹を加えた方は、85.48%と、より白に近づき、汚れが落ちていることがわかりました。実はこの秘密は、粉石けんと重曹の関係にあります。皮脂汚れの場合は、粉石けんも重曹も同じ働きをして、その相乗効果で汚れ落ちがアップしますが、卵などのタンパク質汚れの場合は、逆に重曹が粉石けんの働きを邪魔してしまうのです。(※洗浄効果が期待できる重曹入り商品もあります)

③重曹は、家の汚れをどれだけ落とせるの?
 続いては、重曹の掃除での効果を検証します。街で、「重曹で家の汚れは落ちると思うか?」と尋ねると、30人全員が「落ちる」と自信を持って回答!そこで、皆さんがよく使っているという、キッチンの油汚れで実験です!まずは、廃棄処分の油まみれになった換気扇の羽を一枚ずつ切り取ります。スポンジが電動で回転するポリッシャーという器具を使い、水だけをかけ、力を入れずに1分間こすり洗いしてみると…ほとんど汚れは落ちず。続いて、粉のままの重曹を振りかけ、その上から水をかけて同じようにこすり洗いします。途中で一度重曹を追加し1分後…油汚れが落ち、水だけの時と比べてみると違いは明らか!ところが、専門家によると、「重曹には油汚れを溶かす力はほとんどない」と言うのです。そこで、先ほどとは別の羽根にたっぷり重曹を振りかけ、その上から水をかけ、そのまま30分間放置してみます。すると…油汚れは落ちず、見た目も全く変化なし。つまり、重曹がこすり洗いで役に立つのは、「研磨剤としての作用」だったんです。念のため、クレンザーでも1分間こすり洗いをしてみたところ、油汚れの落ち具合は、重曹よりも上でした。(※洗浄効果が十分に期待できる重曹入り商品もあります)
 ただの重曹だけでハッキリと効果がある場合と、思ったほどの効果がない場合があるようですが、重曹が環境に優しいのは間違いなし!今回の実験のように、効果のある無しをきちんと見極めて、正しい使い方をしましょう。

所さんのポイント
ポイント2
重曹には、油汚れを溶かす力はほとんどない。こすり洗いで汚れが落ちるのは、研磨剤として作用しているからなのだ!




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