知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


グルメ研究所① ケーキ
第1136回 2012年6月23日


 今回から新シリーズ「おいしいを科学する!目がテン!グルメ研究所」がスタート!寿司、ラーメン、焼肉など、みんなが大好きな人気メニューを最も美味しく食べる方法を、科学で解明します!第1弾は、不動の人気を誇る「ケーキ編」です!

①ケーキをキレイに切り分けるコツとは?
 ケーキを食べる時の悩みを、街行く人に聞くと…柔らかいケーキは、キレイに切り分けるのが難しいという声が多数。そこで、上手に切る秘訣を探りに、ユージさんがケーキ店を訪ねました。すると、パティシエは、刀身が長くて薄い、カステラ包丁という専門の包丁を使ってカットし、頻繁に研いで常に切れ味を保っているそうです。ユージさんも大根を試し切りさせてもらうと、その切れ味に驚き!そこで実験!日々料理を作っている主婦の方4人に、ホールのショートケーキを、このカステラ包丁で8等分に切ってもらいます。すると…なぜか皆さん、切れば切るほどケーキが潰れていってしまい、グチャグチャになってしまったのです。この理由を専門家に伺うと…「温度がポイント」だと言います。実は、パティシエは、包丁を熱湯につけて温めてから、切っていたんです。温めていない包丁では、刃にクリームがまとわりつき、キレイに切れませんが、包丁を温めることで、周りのクリームが熱で溶けるため、スムーズに刃が入り、キレイに切れるのです。さらに、ケーキ自体の温度も重要!パティシエは、ケーキを1度冷蔵庫で冷やし、固めてからカットしていたのです。先程、主婦が切った時は、ケーキがあまり冷えていなかったので、クリームが柔らかくなり、刃について崩れてしまったんです。ちなみに、伺ったお店のキッチンの室温はおよそ17度に設定され、パティシエはしっかりとケーキを冷やした状態で、熱い包丁を使っていたのです。カットしたケーキ 2面比較そこで、同じ条件ならば、ケーキは簡単に切れるのか?先程の主婦4人が再挑戦!包丁を温める熱湯を用意し、今度はケーキをしっかり冷やし、冷蔵庫から出してすぐに切ってもらいます。すると…全員が先程とは違い、ケーキが潰れずにスムーズに切れ、切り口も最初の実験と比べると雲泥の差!  スタジオで、所さんに温めた家庭用の包丁を使い、冷やしたケーキを切ってもらうと、所さんも、その切れ味にビックリ!そこで、目がテン流!ケーキの美味しい食べ方、その1は、『ケーキは冷やし、包丁は温めて切るべし!』

②ケーキの一番美味しい食べ頃は?
 街で、ケーキをどのタイミングで食べれば美味しいと思うか聞いてみたところ、やはり、「作り立て」という声が多く聞かれました。では、出来たてはどれ位おいしいのでしょう?そこで、こんな実験!製菓学校の先生に、スポンジと生クリームだけの、シンプルなケーキを作ってもらいます。比較のため、あらかじめ同じ材料と工程で作り、冷蔵庫で3時間置いたケーキと、12時間置いたケーキも用意。ケーキが大好きな女性20人に、何も伝えずに食べ比べてもらい、3つの中で、1番おいしいと思うケーキを選んでもらいます。皆さんには、じっくりと味見してもらい、他の人の意見に影響を受けないよう、一度退室してから、1人ずつ判定してもらいました。すると…出来立ては7人、3時間が10人、12時間が3人と、なんと出来立てよりも、3時間置いたケーキがおいしいと選んだ人が最も多かったんです!この理由を専門家に伺うと…「ケーキはある程度、時間が経つとケーキのクリームがスポンジに浸み込むので、しっとりして、おいしさが増す」というのです。そこで、人気のパティシエ10人に、作って何時間経ったケーキが一番美味しいと思っているか、聞いてみたところ…1時間〜5時間と、ばらつきはあったものの、出来立てと答えた人は1人もいなかったんです!ただし、ケーキ屋さんの冷蔵庫やショーケースは一般的な家庭の冷蔵庫より温度が低く、およそ3℃から6℃、さらに湿度は60〜80%と高く保てるようになっています。なので、出来立てを買い、家に置いておく場合、特に乾燥に注意が必要です。少しでも乾燥を防ぐコツとして、ケーキの箱ごと、ラップをかぶせ、冷蔵庫に入れておくのがオススメです。と、いうことで、目がテン流!ケーキの美味しい食べ方、その2は、『ケーキは、ちょっと時間を置いて食べるべし!』

所さんのポイント
ポイント1
ケーキは作りたてより、少し時間を置いた方が、クリームと生地が馴染んで美味しくなる!ただし、家庭用の冷蔵庫では乾燥に注意!

③クリームの多いケーキが、崩れやすいワケとは?
 せっかくのケーキも、家で開けると、クリームが崩れていた…なんてことありますよね。でも、パティシエによると…「崩れにくいケーキを作ることもできる」そうです。コーヒーカップ高速回転実験そこで実験!パティシエに、スポンジ生地にクリームを山盛りにした、崩れにくいケーキと、普段のケーキを作ってもらいました。そして、ユージさんがこの2つのケーキを持って訪れたのは、遊園地。箱に入れたケーキを、コーヒーカップに固定。グルグル回し、崩れずに耐えられるか検証します!さらに、回転を加えるため、カップはアームレスリング選手の吉原さんに回してもらいます。そして…実験スタート!カップはスタートと同時にフルパワーで高速回転!
 1分後、今度は逆回転で回してもらい、計2分間の高速回転実験が終了。箱の中身を見てみると…普段のケーキはグチャグチャになっていたのに対し、崩れにくいケーキは、見事原型を留めていました!2つのケーキの違いをパティシエに伺うと…「崩れにくいケーキには植物性、普段のケーキには動物性のクリームを使った」そうです。では、なぜ植物性のクリームは崩れにくいのか、専門家に伺うと…「植物性のクリームには、泡立つ力を与えるために乳化剤、泡を保つために安定剤を使い、添加物の力を借りて、動物性よりも崩れにくい性質を得ている」そうです。一方、動物性のクリームは、温度や振動に影響を受けやすいので、崩れやすいのです。では、植物性と動物性の味にはどんな違いがあるのでしょうか?街行く方々に2つのクリームを試食してもらい、どちらが好みか聞いてみると…動物性を支持した方は「味が濃い」という声が多く、植物性を選んだ方は「あっさりしている」という感想が目立ちました。この違いについて、パティシエに伺うと…「味の濃厚さが足りないので、自分の店では植物性のクリームだけでケーキを作る事はあまりない」そうです。つまり、植物性のクリームは崩れにくいが、コクが少ないのに対し、動物性のクリームは、崩れやすいが、味にコクがあり、濃厚という性質があるのです。ケーキ屋さんは、このそれぞれの特徴を踏まえて、2つのクリームをブレンドするなど、使い分けていたんです。と、いうことで、目がテン流、ケーキのおいしい食べ方、その3は、『味が濃厚なケーキほど、持ち運びに注意すべし!』

所さんのポイント
ポイント2
植物性のクリームは、崩れにくいが、味はあっさり。一方、動物性のクリームは、崩れやすいが、味は濃厚。それぞれに特徴があるのだ!




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