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みんな大好き!カレーライスの科学
第1161回 2013年1月19日


 まずはクエスチョン!  「カレーライス」と「ライスカレー」の違いは何か知っていますか?
 諸説あるようですが、一説によれば、ライスカレーはライスとカレーが別々に出てくるもので、カレーライスは、ライスの上にカレーがかかった状態で出てくるものなんだとか・・・。
 今回は「カレーライスの科学」です。カレーの発祥はインドですが、明治期にインドからイギリス経由で日本に伝わってから、日本独自のカレー文化を育んできたもはや日本の国民食と言えます。毎日食べる人はいなくとも、週に1回、あるいは月に1回は食べるという人がほとんどなのではないでしょうか?
 身近なカレーライスの不思議をお伝えします。

①カレーかカレーでないかを決めるスパイス
 カレーに欠かせないものは、スパイス。
 本場インドなど世界には700種以上のスパイスがあると言われています。そのうち日本の多くの家庭で使われているカレールーには11種類程度が使われています。
 カレー作りのプロによれば、その中で、絶対欠かせないスパイスは3つだといいます。
  『ターメリック』 → 色をつけるスパイス。
  『レッドペッパー』 → 辛味をつけるスパイス。
  『クミン』 → 香りをつけるスパイス。
 そして、これがないとカレーにならないというほどに重要なスパイスがクミンだといいます。
 クミンがないとカレーにはならない?半信半疑で実験してみました。
 同じ材料、クミン以外は同じスパイスを使って2つのカレーを作ります。
 一方はクミンを抜いて作りました。ただ、見た目はまったく同じカレーです。
 A:クミン入りカレーとB:クミン抜きカレーで違いは出るのか。街頭で目隠しをしてAとBを試食もらい、何を食べたと思うか聞いてみました。すると試食した全員が Aをカレーといい、Bをカレーと言った人は一人もいませんでした。
 なるほど、クミンがないと人はなぜかカレーとは感じないようです。
 さらにカレーの香りの素、クミンには驚きの効果がありました。
 カレーの香りを嗅ぐと食べたいと感じるのは経験的にわかるのですが、実際に何が起きているのかを確かめてみました。
 カレーの香りを嗅いだ被験者の胃の動き(ぜんどう(蠕動)運動)をレントゲンで観察すると何もしない時に1分間に3回の蠕動が起きたのに対し、カレーの香りを嗅いだ後は1分間に6回と胃の動きが活発になりました。空腹時に胃の動きが活発なることは食欲が高まった証拠といえます。ちなみに、やはり匂いで食欲が刺激されるうなぎでは、1分間に4回の蠕動運動が起きました。
 カレーのクミンの香りには、食欲を高める効果があることがわかりました。

②カレーは頭にいい?
 朝からカレーを推奨する「朝カレー」のCMを見たことがあります。
 いくつかの新聞や雑誌の記事にもカレーを食べると頭がよく働くようになるというものもありました。ですが、朝からカレーを食べると頭が働くようになるのでしょうか。
 ホントであれば、試験やテストの朝にカレーを食べると、いいということにもなるのでは?
 そこで、こんな実験をしてみました。
 20代の男女各3人計6人に協力してもらって、起き抜けにカレーかトーストセットを食べてもらって直後に百ます計算を行い、その成績をチェックしてみました。
 初日は男性3人がトーストセットを食べ、女性3人はカレーを食べてテストしました。
 翌日はその逆。結果は、男女6人のうち実に5人が朝カレーを食べた時の方が頭がよく働き、成績がアップしました。漢方の専門家によれば、「カレーを食べるとあっという間に脳の血流量が増えていきます。血流量が増えたことで、脳がよく働いて成績がアップしたと考えられます。カレーに含まれるカルダモンというスパイスが脳の血流量を増やす作用を持っていて、カルダモンは生薬にも使われます。」とのこと。
 試しにテストの朝ごはんはカレーライスを食べてみてはいかがでしょうか。

③作りたてと一晩寝かせたカレーはどちらがおいしいか
 もちろん味の好みは様々ですが、街頭で聞いてみると、一晩寝かせたカレーの方がおいしく感じるという人が圧倒的に多かったのです。では何が違うのか?
 まったく同じ材料、同じ作り方で作った2つのカレーの違いは、一晩寝かせたかどうかだけ、一晩の間に何がおきているのでしょうか。まずは美味しさの尺度であるうま味成分を量ってみましたが、ほぼ変化なし。見た目も変わりません。
 次に2つのカレーから具材を全部取り出して、比べてみたところ、変化があったのは具の一つじゃがいもの数。一晩寝かせると半分以下に減っていました。
 カレーの中に溶けてしまったようです。そこで粘度を量ってみると、一晩寝かせたカレーには作りたてのおよそ6倍の粘度が出ていました。
 専門家は、「人はおもに味を舌で感じているが、とろみがあると舌の上に味がとどまる時間が長くなって、おいしさを長く味わうことになるので、それが一晩寝かしたカレーをおいしく感じる原因の一つになってのではないか」といいます。
 じゃがいもを入れないカレーでも、一晩寝かせることで、具材にカレーの味がより染み込んで、一体的においしさを感じることになると専門家は言います。
 やはり、時間をかけて一晩寝かせるといいことがあるようです。



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