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不思議な 錯覚 の科学
第1187回 2013年7月21日


 まず、下の2つのテーブルの天板を御覧ください。
 実はこの2つの天板、大きさも形も同じもの。このような現象を錯覚と言います。では、ナゼ、私たちは錯覚を起こすのでしょうか?今回は、とっても不思議な錯覚のヒミツに科学で迫ります!

①同じ色が違って見える!脳の驚きの仕組み
 こちらの女の子のイラスト、それぞれの眼の色は「左側が水色」「右側が灰色」に見えますが、実は全く同じ色なんです。
 秘密は赤いフィルター。イラストには左側は全体にフィルター、右側は瞳にだけフィルターがかかっています。どちらの瞳にも赤いフィルターがかかっているのに違う色に見えてしまうのです。一体なんでこんなことが起こるんでしょうか?専門家によると「私たちの視覚には照明が変わっても色の見え方を変えにくくする仕組みがある」とのこと。イラストの女の子の瞳はもともと水色ですが、左側には全体的に右側には瞳にだけ赤いフィルターがかけられていました。この時、私たちの脳はイラストの左側には赤い照明が当たっていると判断します。脳には、色の恒常性という機能があります。普段生活しているなかで照明の色が変わる事がありますが、見えた物をそのまま見ようとせず、その照明を差し引いて元の色を見ようとする、能力が備わっているんです。

 続いて、こちらも御覧ください。
 AとBのマスを見比べると、「A」の方が暗く見えますが、実は全く同じ明るさなんです。なぜ違って見えるのか?専門家に伺うと「AとBは物理的に同じ色ですけれども、白と黒が規則的に並ぶチェッカーボードとして認識するのであれば、Aは黒、Bは白と見る方が正しいということになる。私たちの脳は影の効果を無意識的に差し引いているんです。だからこそ影と黒い色を間違えることもないし、瞬時に正しく認識できる」とのこと。ちなみに、最先端のロボットでも、影を影として捉えるのは非常に難しく、黒い色として認識してしまうそうです。

所さんのポイント
ポイント1
普段は気付かないけど、脳は自然に驚くべき処理をしていたのだ!

②ミカンのネットの秘密…錯覚で美味しく見える!?

 スーパーでよく見かけるネットに包装されたミカン。実はこれにも錯覚が利用されていたんです。専門家によると「多くのミカンは赤やオレンジの同系色のネットに包装されて売られています。『色の同化』という錯覚を利用してより美味しく見えるように工夫されているんです」
 そこで実験!同じ色のミカンをAは「赤」のネットで包装します。一方のBは、赤の反対色の「緑」のネットで包みます。
 商店街で買い物中の主婦30人に2種類のミカンを買うとしたら、どっちを選ぶか聞いてみました。
 その結果…26対4で赤いネットのミカンの圧勝だったんです!なぜ「A」を選んだのか?理由を聞くと、「Aは完熟、Bはまだ青い」「Bはなんかすっぱそう」という答えが。ミカンは全く同じ色なのに一体なぜ?
 実はこの現象も、脳の驚くべき仕組みによって起きていたんです!専門家によると「目と脳がみかんの情報を獲得しようとする場合、ミカンとネットを一体化したグループとして見た方が処理が早くなる。その時ミカンの色とネットの色を同化させ認識する「色の同化」という錯覚が起こる」とのこと。
 ちなみに、網タイツのようなストッキングにも色の同化が利用されています。肌がストッキングの色と同化し生足よりも肌色が際立ちきれいに見えますよね。

所さんのポイント
ポイント2
ミカンのネットは「色の同化」で美味しく熟しているように見せていたのだ!

③世界錯覚コンテスト優勝! 坂を上る不思議なボールの秘密

 私たちは立体を認識する時にも錯覚を起こしやすいんです。
 こちらは坂が交差している立体です。坂の端にボールを置くと、重力に反してボールが坂を上りはじめました!これは一体どういうことなんでしょうか?
立体を回転させてみると…
 実は、上り坂ではなく全て下り坂だったので、実際ボールは下っていたのに、上っているように錯覚したんです。この立体を開発した専門家によると「映像には奥行きの情報がないんですが、私たちの脳は直角が大好きなので、机の面に対して柱が直角に立っていると感じて、長い柱ほど高いところを支えていると解釈するために斜面の向きを逆に認識してしまいます。人間の脳はたくさんの可能性の中から一番もっともらしい立体を瞬時に読み取る能力を持っているんです」とのこと。

所さんのポイント
ポイント3
私たちの脳は2次元の情報を3次元に瞬時に変換しているのだ!

④なぜ見落としてしまう?原因は脳が〇〇していた

 10人の老若男女に、多くの人たちが通り過ぎる映像の中で「白い服を着た人は何人出てくるか?」答えてもらう実験をしました。白い服の人数を正しく答えられたのは、10人中7人。
 しかし、この映像の中にはある秘密が…実はユージが全身タイツでパントマイムをしながら右から左へと通り過ぎていたんです。このユージの姿に気付いたのは10人中わずか3人で。7人は全く気付きませんでした。再度映像を見ると、ユージの姿にすぐ気づくのに…一体なぜ?その理由を専門家に伺うと「私たちはいつも目から入ってくる非常に多くの情報を処理しています。その中で注意を払える内容は限られています。だから重要でない情報は抑制されて見落とされやすくなります」とのこと。今、社会問題になりつつありますが、携帯画面に集中しながら路上や駅のホームを歩くことが、いかに危険かがわかります。

所さんのポイント
ポイント4
集中すると周りが見えなくなるのは、脳が他の情報を「抑制」していたのだ!




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