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深海魚 の科学
第1191回 2013年8月18日


 深い海の中に暮らす深海魚はミステリアスな生き物ばかり。
そこで今回は夏休み特別企画「深海魚」の謎に満ちた生態を科学します!

①青く光る深海生物の不思議な生態とは!?

 4億年前から姿を変えず生きている深海生物「オウムガイ」。恐竜が出現するよりもずっと前から生息し続ける深海生物で、その形から貝と名付けられていますが実際はイカやタコの仲間。口の周りにあるおよそ90本のネバネバとした触手でエサを捕えます!
 こんな不思議な生物がいる深海。一般的に太陽の光が届くのは水深200mまで。それ以上の深さ、水深200mより深い世界のことを深海といいます。光の届かない暗闇の世界に住むために特殊な能力を持っている生物がたくさんいます。
 例えば、真っ暗な空間にうごめく無数の青い光の正体ヒカリキンメダイ。深さ200mほどのところに棲む深海魚。目の下の発光器官が青く光るんです。他にも深海600mの暗闇にいる青い光を放つ魚が。
 これは目の横に大きな発光器官をもつムラサキホシエソ。キレイな光とは対照的にその姿はなんともグロテスク。続いては深海のイルミネーション!こちらは深海2000mほどに棲むペリカンアンコウ。体長は大きいもので20cmほどですが…その特徴は何といっても頭についた突起物が放つ光の点滅。
 それにしてもなぜこんなふうに光る必要があるのでしょうか?専門家に伺うと「身体の一部を発光させる魚は、エサの少ない環境でエサを探したり、エサをおびき寄せたりする為に発光する。発光する魚には発光バクテリアという細菌を共生させて光らせる魚が多いんです。バクテリアの力で青く光るんです」。
 例えば、ペリカンアンコウの場合は…突起物の中に海中に漂う発光バクテリアを数百万匹も取り込み培養し、発光器の口を開け閉めすることで、点滅しているように見せているんです。

所さんのポイント
ポイント1
深海魚は暗闇の世界でわずかなエサを効率よく捕獲する為に光を放っていたのだ!

②深海の高水圧で深海魚が潰れない理由とは?

 静岡県焼津市にある小川漁港。ここでは深海魚を狙った漁が行われています。この道49年の大ベテラン深海魚専門の漁師さんの漁に同行!漁場は最深部が2500mにも達する日本一深い駿河湾!エサに使うのはサンマの切り身。
 およそ250個の仕掛けを海の中へ。待つこと2時間、仕掛けた縄の巻上げを開始すると…、釣り上げたのはヨロイザメ。肝臓の脂が健康食品に利用されるそうです。他にもトウジンという形がグロテスクですが肝が美味しい深海魚や、頭の先が靴べらのような形をしたヘラツノザメを釣り上げました。

 ところが、釣り上げたばかりなのにどの魚もぐったりしています。海は潜れば潜るほど高い圧力がかかります。水深1000mでは1平方センチあたり、およそ100kgもの圧力がかかる計算になるそうなんです!
 そんな水圧の実態を探るためにやって来たのは、海洋研究開発機構。こちらにある、深海の水圧を再現できるという水圧実験装置で実験!野球の金属バットを入れて少しずつ水の中に潜っていく状態を再現。すると、水圧はどんどん上がり水深390mで硬い金属バットがペシャンコに潰れてしまいました!浅い場所に棲む魚は浮き袋に気体が入っているため、もし深海に行けば、先ほどの金属バットの様に水圧で潰れてしまいます。ところが深海魚は浮き袋や内臓に気体の代わりに脂を入れています。だから深海の高い水圧にも耐えられるんです。

所さんのポイント
ポイント2
深海魚は高水圧に耐えられるよう、浮袋に気体じゃなくて脂を体内を貯めているのだ!

③深海魚のたっぷりの脂で自動車が走るか?

 アブラボウズという深海魚、見た目はさっぱりとした白味魚のようですが・・・その味は脂がのって濃厚。調べてみると脂が多いと言われるサバと比べるても、アブラボウズの方が4倍以上も脂が多かったんです。そんなたっぷりの脂を有効活用できないか・・・アブラといったら燃料!深海魚にたっぷり含まれる脂で自動車を走らせることができるのか!?前代未聞の実験に挑戦です!

 実験に協力していただいたのは、筑波大学で食品バイオマスの研究をしている北村教授。深海魚をたくさん集めるため沼津市にある深海魚の食品加工会社で使用済みのアラを25kg分けてもらいました。
 早速、筑波大学に戻り、魚を煮込んで脂を取る方法で抽出します!鍋の中にアラを入れて煮込むこと30分。すると、表面に脂が浮いてきました!この作業をひたすら繰り返すこと5時間、1・6リットルの油の抽出に成功!この油にメタノールと苛性ソーダを混ぜた液体300mlを油に加え撹拌。こうして、およそ1・3リットルの深海魚から作ったバイオ燃料が完成!果たして車は走るのでしょうか?
 実験の舞台は筑波サーキット!1周800mのコース。運転してもらうのは、元F1ドライバーで沼津出身、深海魚を釣った事もあるという高木虎之介さん!果たして深海魚燃料で車は走るのか?実験に使用するのは、ワンボックスカー…ついに実験開始!
 深海魚燃料を積んだ車が走り出し、アクセル全快で時速70kmまでスピードUP!快調に飛ばす深海魚燃料カー。1周800mのコースを回り、間もなく3周…ここで燃料が無くなり実験終了〜!マフラーから少し魚の臭いはしますが深海魚の脂で作った燃料で見事車を走らせる事ができました!
 でも、燃費を計算すると、リッターあたり1.85km!燃費悪すぎ!今回は燃料が少なかったのでエンジンタンクではなくエンジンに直接、供給したことも、燃費が悪くなった理由と考えられます。

所さんのポイント
ポイント3
深海魚燃料は、距離は走れなかったけど、パワーもあるし加速も十分なのだ!




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