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お好み焼き の科学
第1214回 2014年2月16日


 まだまだ続く、寒―い季節。そんな時、食べたくなるのがアツアツのお好み焼き!
 実は、お好み焼きや焼きそば、たこ焼きを売る店は全国でおよそ1万9千店!なんと、これは全国のハンバーガーショップの合計の3倍以上にもなるんです。そこで今回は、みんな大好き「お好み焼き」を科学で徹底調査!

①どんな具を入れてもおいしいのはなぜ?

 お好み焼きの魅力の一つが、「好きな具を入れられること」。肉類、海鮮類、餅にチーズに納豆とどんな具を入れても美味しく食べられますよね。では、なぜお好み焼はどんな具を入れても美味しく食べられるんでしょうか?食品研究の専門家に伺うと「"お好み焼き用ソース"がお好み焼の大きな要素です」。お好み焼き用のソースの原材料を見てみると、昆布やしいたけ、さらにはオイスターエキスなど、実にたくさんのうま味がブレンドされている事が解ります。ソースの中には複雑な多様なうま味がいくつも入っており、Aの食材でも、Bの食材でもうまくその味を引き立ててくれるというんです。さらに、お好み焼き用のソースにはもう一つ特徴が!
 そこで実験!一般的な中濃ソース、トンカツソース、お好み焼き用のソースを斜めにしてとろみを比較してみると・・・。お好み焼き用のソースが最もとろみが強いことがわかりました。このとろみの素が、「デーツ」というナツメヤシの果実。糖分を多く含むデーツはシロップなどに加工されるもので、お好み焼き用のソースに多く含まれています。この"とろみ"があることによって食べた時も口の中にいる時間が長く、よりソースの味を口の中で楽しめるというんです。そしてソースと共にかけるマヨネーズにも秘密がありました。
 専門家によると「マヨネーズっていうものは多くが油であり、油の少ない食材をお好み焼きの具に入れても口当たりのなめらかさを補ってくれるので、お好み焼きをおいしくする要素の1つだと思います」。

所さんのポイント
ポイント1
うま味ととろみタップリの「ソース」と「マヨネーズ」のコンビが、お好み焼きにどんな具を入れても美味しく食べられる秘密だったのだ!

②キャベツがお好み焼きをおいしくする?

 お好み焼きに必ず入る具といえば「キャベツ」。一体どうしてキャベツは欠かせないんでしょうか?シェアNO1のメーカーとお好み焼き用ソースの開発に携わり、お好み焼きに関する研究著書もある専門家に話を伺うと、「キャベツと小麦を一緒に混ぜ焼きにすると、よりおいしく感じるようになる」。そこで実験!まずキャベツを細かくして搾った汁と、同じ量の水を用意。それぞれを小麦粉に混ぜて生地を作り、都内のお好み焼屋さんにお願いして、焼いてもらうことに。お店にいたお客さんに、二つを食べ比べて貰い、キャベツの汁入りと水だけの違いを聞いてみることに。すると・・・。多くの方がキャベツの汁を入れて焼いた方が食感がモチモチしていると答えたんです!
 そこで、食品の食感を測る装置で、キャベツのみと水だけの生地の粘度をそれぞれ計測。結果は、キャベツのみで作った生地は、水だけよりも粘度、つまりモチモチ感が高い事が解りました。
 では、なぜキャベツが、お好み焼きの生地のモチモチ感を生み出すのでしょうか?専門家に伺うと「キャベツに含まれる硫黄成分が、小麦の粘り成分グルテンの生成を促すために食感が良くなる。つまり小麦の美味しさを引き出す調理法だということです」。

所さんのポイント
ポイント2
お好み焼きにキャベツを入れることで、焼き上がった時、生地がモチモチになり美味しくなったのだ!

③お好み焼きを美味しく焼こう!

 美味しいお好み焼きの焼き方を教わるべく、やって来たのは東京八丁堀にあるお好み焼屋さん。今回は家で作れるお好み焼きという事で、市販のお好み焼き粉を使います。

 まずは生地づくり。お好み焼き粉を水で溶き、しっかりと混ぜていきます。粉のダマが無くなったら、冷蔵庫で2〜3時間寝かせ、水と粉を馴染ませたほうが美味しくなるそうです。1人前の生地に、キャベツと具材を入れかき混ぜます。しかし、具と生地がなじむよう、よーく混ぜていたところ主人から「混ぜすぎですね。頑張って混ぜてもよくないので」とダメ出しが。では一体なぜ、頑張って混ぜすぎてはいけないのか、実験です。
 同量の生地とキャベツを2セット用意し、一方は10分間、よーくかき混ぜます。もう一方は僅か30秒だけかき混ぜます。そして、それを焼いてみると…10分間混ぜた生地は、30秒のものに比べプレートの上で広がってしまいました。一体なぜでしょう?
 そこで、混ぜ時間の違う、焼く前の2つの生地を最新のCTスキャナーで見てみると、30秒だけ混ぜた生地には具材の間にたくさん空気が入っている事が解りました。続いて10分混ぜた生地を見てみると、空気がほとんど入っていません。そう!この"空気の入り方"が焼き上がりに大きな影響を与えるんです。さらに断面を見てみると・・・。混ぜ時間30秒は、焼きあがった生地に適度な隙間がありますが、混ぜ時間10分の方は、中がみっちり詰まっています。実は生地と具材を混ぜ過ぎると、出来上がりが堅くなってしまうんです。

所さんのポイント
ポイント3
生地と具材をかき混ぜる時間は"30秒"が目安!

 かき混ぜ時間30秒の生地を作り直し、再スタート!家庭の場合、ホットプレートなら、火力は220度から250度、フライパンなら十分に熱して中火で焼いてください。そして、お好み焼き作り最大の難関が、生地をひっくり返すタイミング!  では、ひっくり返すタイミングを科学の力でみきわめることはできないか?食品の専門家に伺うと「鉄板で接している面の生地の中のタンパク質が変成した状態。タンパク質が変性してくると、卵でもそうですけど、色が濁ってきたような色になってくる。生地が出来上がってくる様子が端なんか見てると分かります」。
 そこで、生地が焼ける様子を見てみると…確かに小麦粉や卵が固まっていき、色も最初と比べ、黄色くなっています。さらに専門家は「それから生地の中のデンプンが糊化という状態になって、いわゆるすごく粘度がでる状態になる」というんです。
 試しに、水に溶いた小麦粉を加熱していくと、70度を超えたあたりで粘り気が出て、糊の様になります。こうなれば生地がバラバラになることはありません。ふち全体の色が変われば、お好み焼きの下半分は70度に達しているので、ひっくり返しても大丈夫なんです。

所さんのポイント
ポイント4
ひっくり返すタイミングは"フチの色の変化"で見極めろ!




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