知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


カフェ の科学
第1234回 2014年7月6日


 90年代半ば。日本に、新たなカフェ文化を定着させたおしゃれなコーヒーチェーン最大手のチェーンはここ10年で売り上げを2倍に!
 そして最近、郊外で見かける大きめのカフェ。オリジナルのメニューや、ゆったりとした空間も相まって幅広い世代から大人気!
 そこで本日の目がテンは、人が集まる癒しの空間「カフェ」の魅力に科学で迫ります!

①カフェで仕事をすると作業がはかどる?

 カフェといえば、コーヒーを飲みながらゆったりくつろぐ場所というイメージがありますが…最近では、仕事をする人が増えているというんです。
 東京新宿にあるカフェ。平日の日中、店内を覗いてみると…パソコンを持ち込み仕事をする人たちを発見!また、渋谷のカフェでは…やはりここにもいました!最近は、このような人たちを「ノマドワーカー」と呼ぶんだそうです。
 カフェで仕事することについて街で聞いてみると、やはり「カフェで仕事をするとはかどる」という声が多かったんです。でも本当に仕事がはかどるのでしょうか?
 専門家に聞くと…「カフェのように他の人がいるっていう場面の方が作業がはかどるという現象があります」。
 他の人が周りにいる方が作業がはかどる!?そこで実験!男女6人を3人ずつに分けて平仮名の書き写しを行ってもらいます。それぞれチームごとに1人で作業する場合と3人一緒に作業する場合の2つの環境で行います。青チームは、まず1人で書き写しを行い、その後、今度は3人一緒に行ってもらいます。一方、赤チームは青チームとは逆の手順でまず3人一緒に書き写しを行い、その後、1人で行います。それぞれ15分ずつ作業を行ったところ…結果は、1人で書き写しを行った時の合計は2063文字。一方、3人一緒に書き写した時の合計は2430文字。なんとその差は367文字!3人一緒に作業をした時の方が、15%も多く書き写す事が出来たんです。
 では、なぜ人がいた方が作業がはかどるのか?専門家に聞くと…「人間は1人でいるよりも他の人がいる時の方が、自分と同じ行動を取っていると自分もさぼってはいけない、周りの人と同じように頑張らなくてはいけないという心が働いてさらにパフォーマンスが上がっていくんです。これを、社会的促進と言います。」

所さんのポイント
ポイント1
カフェで仕事をすると、周囲から刺激を受け「社会的促進」の効果が働き、作業がはかどる事があるのだ!

②カフェvs部室vs図書館 作業がはかどるのはどこ?

 普段カフェで仕事をする人達は、いったいどんな作業をしているのでしょうか?とあるアンケートでは、「アイデア出しやアイデア整理」が最も多かったんです。
 そこで!発想力が求められる作業を、周囲に人がいる様々な場所で行い、比較実験!協力してくれるのは、大学の学生、男女9人。取り組むのは、バラバラに並んだ文字を入れ替え1つの単語を作るという、まさに発想力が試される作業。実験は、彼らがよく過ごすサークルの「部室」、そして大学の「図書館」、さらに「カフェ」の3カ所で行い、3人ずつに分かれて作業をして貰います。作業は1人ずつ行い、場所ごとに3人の合計点を出します。まずは「部室」。普段、仲間と過ごすこの場所は、いわばオフィスのような環境。途中、他の学生が部屋に出入りしたり、会話をしていましたが、黙々と作業を続け…1時間後、実験終了。他の2人も同様に作業を行ったところ…結果、部室で作業を行った3人の合計は「330個」でした。
 続いて「図書館」。周囲には読書や勉強をしている人がいます。結果、図書館の合計は「327個」。
 そして最後は「カフェ」。周囲にはノマドワーカーをはじめ、思い思いに過ごす人たちがいます。果たしてはかどるのでしょうか?その結果、カフェの合計は「614個」。なんと!カフェでは他の場所の倍近い単語を作る事ができました。
 では、なぜカフェだと、作業がはかどるのでしょうか?専門家に聞いてみると…「カフェでは静かすぎず、うるさすぎず周りにいろんなものがあるのが、アイデアを生み出すきっかけにもなりますし、カフェの快適な場所がポジティブ感情を作りだして創造性を高めると思う」。では、カフェ以外では作業にどんな影響があるのか?部室の様子をのぞくと…周囲の会話を気にしている様子が伺えます。
 専門家「自分の周りに知っている人、面識のある人がいれば気になってしまいますし、更にその人達が自分に関連する話題で何か話しをすれば、当然そちらに意識がいってしまうので、集中力が途切れてしまったのだと思います」。では図書館ではどうでしょうか?専門家によると…「図書館のような公共の場所は静かすぎる場所で、行動に制約があって音を立ててはいけないので、作業効率を下げる原因になったのだと思います」。確かに、図書館では、消しゴムをそっと置くなど、音を立てないよう気を遣いっていた様子。

所さんのポイント
ポイント2
同じ様に周囲に人がいて「社会的促進」が期待できる環境でも、ヒラメキや発想力が必要な作業を行う場合は、カフェが向いているのだ!

③コーヒーの匂いでストレス解消!?

 仕事や待ち合わせなど、様々な目的で利用されるカフェですが…実際にカフェに関するアンケートをみてみると…なんとその大半が「リラックス」効果を求め、カフェを訪れていることが分かります。
 実際に街で聞いてみると…中には、コーヒーの香りでリラックス出来るという声が。もしや、コーヒーの匂いに、リラックス効果が隠されているのでは?そこで実験!こちらの男女8人を2つのチームに分け、ある作業をさせてストレスを与えます。その後、コーヒーの匂いをかいだ状態と、そうでない場合のストレス度の変化を比較します。
 ストレス度は、唾液に含まれる、ストレスを感じた際に放出されるホルモンで測定します。まず、ストレスを受ける前の4人の平均ストレス度は49・75。この値がストレスを受けるとどう変化するのか?
 実験内容は、このつるつるの玉を左の皿から右の皿へ箸でつまんで移動させるといういかにもストレスがたまる作業。右の皿へすべて移動させたら、再び左の皿へと戻してもらいます。実験の終了時間をあえて伝えず、そのまま1時間続けてもらいます。そして実験終了後、ストレス度を測ってみると…青チームのストレス度は作業前と比べると、平均値が上昇しました。
 その後、4人にアイマスクを付け、休憩してもらいます。5分後…休憩後のストレス度を量ってみると、ストレス度はほとんど変化しませんでした。一方の赤チームにも、同様にストレスがかかる作業を行ないます。作業時間は同じく1時間。終了後にストレス度を測ると…青チーム同様、ストレス度が上昇しました。こちらのチームではストレス測定をしている間にコーヒーをいれて…アイマスクをつけ、休憩をはじめたら、すかさずそのコーヒーをカップに注ぎ…4人の鼻先に置いて、その匂いを感じてもらいました。
 休憩時間は、先ほどと同じく5分間。そして、ストレス度をチェックしてみると、なんと!作業直後よりもストレス度が下がっていたんです。被験者の方も、コーヒーの香りの効果を実感していたようです。では、いったいなぜこのような結果になったのか?癒しの専門家に聞いてみると…「実験が終わったあとコーヒーの匂いを嗅ぐとストレスホルモンが減ったと言う結果が出ているんですよね。ところがコーヒーの匂いを嗅がないとストレスが持続したということです。もともと、香りというものは敵味方を見分ける手段だったんですよ。つまり、人が誕生した時から良い香りは人をくつろがせるということなんです。それは香り自体が脳に働きかけて気持ちをくつろがせてくれるという大事な働きをもっているからなんです」。

所さんのポイント
ポイント3
カフェに漂うコーヒーの匂いは、人間の本能に働きかけ、リラックス効果を生んでいたのだ!

④コーヒーは認知症予防に効果がある?

 近年、コーヒーに含まれるある成分が認知症の予防に繋がる可能性があるということが分かりました。富山大学の研究チームが、人工的にアルツハイマー型認知症の状態にしたマウスにその成分を投与したところ、その症状に改善が見られたのです。その成分とは、「トリゴネリン」というアミノ酸の一種。食べ物の中でも特にコーヒーに多く含まれる物質です。
 そもそも認知症とは、信号を伝える脳の神経細胞が死んでしまい、信号が途切れた状態のことです。トリゴネリンは脳の神経細胞の突起をのばす作用を持っています。なので脳の神経細胞が死んでしまっても、別の神経細胞同士が繋がって新しい信号のルートが出来るためその症状が出づらいとされているのです。さらに、マウスだけでなく人間でもその効果があるかどうか、鳥取大学の浦上先生が臨床試験を行なったところ…認知症予備軍の方、7名にトリゴネリンを多く含むコーヒーを毎日3ヶ月間、飲んでもらった所、6名の方に症状の改善傾向が見られました。

所さんのポイント
ポイント4
コーヒーに含まれる成分「トリゴネリン」は、認知症予防につながる可能性があったのだ!




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