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京都 の科学
第1251回 2014年11月9日


 深まる秋。この季節に訪れたい場所「京都」。年間5千万人が訪れる大人気の京都は今まさに紅葉が見頃!でも一体、なぜ京都の紅葉は、色鮮やかに見えるの?調べてみると、そこには京都だからこそ美しく見える驚きの理由があったんです!さらに!京都を華やかに彩る舞妓さんの美しさの秘密は、舞妓さんの"装い"に隠されていた!?今回は、目がテン!は、秋の定番観光スポット!「京都」の美しさを科学で再発見しま〜す!

①京都の景色はなぜ美しい?

 京都の魅力といえば、やはり風情ある歴史的名所が挙げられますが、京都を訪れる観光客に聞いてみると、みなさん京都の"美しい景色"に魅力を感じているようです。実は秋の京都は、紅葉(こうよう)も色づき、1年で最も観光客が多い時期。でも、景色が美しい所は、京都以外にもたくさんありますよね。一体、京都の景色は、他の場所と何が違うのでしょうか?そこで!京都の観光客は、一体どんな景色を撮っているのか?
 写真をチェックしてみると、みなさんお寺の景色を撮影していました。たしかに、京都にはお寺が多く、その数なんと、市内だけで約1700!もしや、このお寺の風情が、京都の景色の美しさと関係があるのでは…?
 視覚心理に詳しい専門家に聞いてみると「お寺の風情と言うよりも、お寺の景色が黒っぽいということが景色を美しく見せている重要な要因なんです」と言うんです。お寺の"黒い色"が景色を美しく見せる?
 本当なのでしょうか?そこで目がテン!大実験。紅葉と共に写るお寺の色を薄く加工し、お寺が黒いままの景色と、色が薄い景色、どちらが美しく見えるのか?聞いてみると・・・結果、30人中29人が、黒いお寺が写るAの景色を美しいと答えました。
 お寺の色を薄く変えただけで、みなさん紅葉の色やコントラストまでも変わって見えるというんです。その理由を専門家に聞くと、そもそも黒い色というのは、隣り合う他の色を鮮やかに見せる効果があるということなんです。

所さんのポイント
ポイント1
景色の中に黒い色が入ることで、景色全体の色が鮮やかに美しく見えるのだ!

②舞妓さんが美しく見える装いの工夫とは?

 やってきたのは京都の花街。後藤アナも舞妓さんになって、美しさのヒミツを調査。舞妓さんになるには、まずメイクから。顔全体を白粉で白く塗っていきます。次に、眉や目元を赤く染め、口紅を引いて、メイクは完成!
 そして、着物を着つけてもらい・・・ついに!舞妓さん姿に大変身〜!
 でも舞妓さんはなぜ、顔を白く塗るのでしょうか?それは、舞妓さんが夜働いていることに関係しています。電気が無かった時代。部屋は行灯(あんどん)などの灯りのみで暗かったんです。薄暗い状況で、薄いお化粧だと、ロウソクの光だけではほとんど顔が見えません。しかし、舞妓さんのメイクでは、顔がうっすらと見えます。これは、白く塗ると光を多く反射するからなんです。つまり、暗やみで少しでも顔を美しく見せるための工夫だったんです。ではさっそく、舞妓さんの格好で京都の街をぶらり散策・・・。
 と、ここで問題が。舞妓さんの格好では歩きづらいことが発覚。原因は、舞妓さん特有の履物"おこぼ"。高さ10センチ以上と、非常に歩きづらいんです。では一体、なぜこんなに高い履物を履いているのでしょうか?
 そこで!お茶屋花ふさの舞妓さんに話を伺うと・・・「舞妓は今も昔も若い間だけのもんやさかいに"おぼこさ"を大事にしてるんやと思います」とのこと。"おぼこさ"とは、幼い・可愛らしいという意味。かつて、舞妓さんは10歳前後で入門することが多く、まだ幼い子供だったんです。そのため、舞妓さんの装いは、子供の可愛らしさを強調する工夫が散りばめられています。例えば、舞妓さんの着物は「肩縫い上げ」といい、肩や振り袖をわざと縫い上げ、成長途中の幼さを強調しています。さらに、舞妓さんの代名詞「だらりの帯」。長い帯を後ろに垂らす事で、体が小さくみえると言われています。
 そして、先ほどの"おこぼ"もその1つだそうですが・・・おこぼを履いたら、背が高く見えて逆に幼さは消えてしまうのでは?
 そこで目がテン大実験!普通の草履を履いた時とおこぼを履いた時、それぞれの"見た目の印象"で、年齢に違いが出るのか実験です。まずは32歳の女性に、普通の草履を履いて歩いてもらいます。判定してくれるのは、通行人の方々。女性が目の前を歩き、戻って行くまでを、ただじっくりと観察。その後、見た目の印象だけで、女性の年齢を当ててもらいます。そして、合計5人に聞いた結果・・・草履を履いた時の見た目の平均年齢は32.2歳と実年齢とほぼ変わらなかったんです。
 では、続いて「おこぼ」を履いて実験。別の通行人、5人に歩く姿をじっくり観察して見た目だけで年齢を当ててもらいます。そして、こちらも5人に聞いてみた結果・・・なんと!見た目の平均年齢は25.6歳。おこぼを履いただけで、およそ7歳も若く見られていたんです。一体なぜなのでしょうか?
 そこで、心理学の専門家に聞いてみると、「おこぼの場合は、歩きにくいので"ぎこちなさ"という印象を与える。その"ぎこちなさ"は拙さ、成熟をしていないと了解されるだから、幼い、若い、可愛らしいという印象に結びつきやすい」と言うんです。

所さんのポイント
ポイント2
おこぼを履くことで、自然と"ぎこちない歩き方"になり、結果、幼く可愛らしい印象を与えるのだ!

③京菓子の名前に隠された秘密とは?

 京都1200年の"文化の結晶"とも呼べる「京菓子」。色鮮やかで素材にもこだわった京菓子は、お土産や贈り物としても大人気。こんなにも美味しい京菓子。そのヒミツは一体どこにあるのか?
 老舗の京菓子屋さんに話を伺うと、「京菓子は名前まで味わうお菓子なんです」と言うんです。例えば、春の桜をイメージした京菓子「里桜」。そして、夏の青空の下で大輪を咲かせる「ひまわり」。このように、京菓子には、季節感を表した美しい名前が付けられているんです。でも本当に、名前が味わいに影響する事があるのでしょうか?
 そこで!こちらのお店で実際に販売している京菓子を使って実験です!実験で出す京菓子は、秋をイメージした、その名も"紅葉(もみじ)"。この"紅葉"を、別の名前にして食べたら味わいに違いは出るのでしょうか?被験者5人に見た目が似ている試作中の京菓子を食べ比べ、どちらがおいしいか判定してほしいと説明しています。
 まずは本当の名前"紅葉"として提供。"紅葉"を一口ずつ、しっかりと味わいながら食べる5人。全員が食べ終わった所で、試食終了。5人には、一度お茶を飲んでもらい口の中をリセット。休憩後。2つ目の試作品として、先ほどと、見た目も味もまったく同じ京菓子を食べてもらいます。しかし今度は、京都の方言にちなんで「ドスエボール」という名前で提供します。Aの紅葉同様、しっかり味わって試食してもらうと、まったく同じ味のはずですが先ほどとは違う味に感じている様子。そして試食後。5人には、どちらがおいしかったか札を上げて判定してもらうと・・・結果はなんと!5人中4人が本当の名前"紅葉"の方が美味しいと判定!また、別の5人で順番を入れ替え、今度は"ドスエボール"を先に、"紅葉"を後に試食してもらいましたが、結果は同じ。一体なぜ、味の感じ方に違いが表れたのでしょうか?
 専門家に伺うと、「心理学ではプライミング効果と呼びます。頭の中を巡る活性化されたイメージに合うようにいろんなものを解釈していくという傾向が私たちにはあります。京菓子も紅葉というイメージに合う味わいに変化した」と言うんです。

所さんのポイント
ポイント3
同じ京菓子でも、"名前"によって違う味わいに感じるのだ!




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