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田舎暮らし の科学 ①
第1258回 2015年1月11日


 現代人の多くが憧れる都会の喧騒を離れた心安らかな生活。自然の中で過ごす豊かな田舎暮らし。都会から田舎への移住に関心がある人はおよそ4割に上るというデータも!しかし、憧れはあっても、実行に移せない人も多いようです。
 そこで目がテンは考えました!自然をテーマに研究を続ける科学者たちが様々な分野から集結!知識と経験を駆使し、田舎暮らしをしたら、そんな不安も解消できるはず!驚きのヒント満載の「科学者だけの田舎暮らし」に密着!

①田舎暮らしにベストな場所は?

 田舎暮らしは、どんな場所が最適なんでしょうか?訪ねたのは、人が自然の中で豊かに暮らす研究をしている専門家のお宅。茨城県つくば山麓の田舎で、実際にご自身も、自然に囲まれた生活をされています。こちらがその専門家、筑波大学の安藤名誉教授。自然の恵みを受けて、豊かな暮らしをしていたという、かつての日本人。そこには、里山の資源を循環的に大切に使う事で生活が持続してきたのがポイントだそう。先生が言う「里山」とは、人が暮らす地域のすぐそばにあり、人の手が入った森林のこと。国土のおよそ70%を山林が占める日本。人々は古くから山を切り開き、森の恵みを活用してきました。かつて日本人が暮らした古民家はまさにその象徴なんだそうです。先生が里山の恵みを使って建てた家は、タイムスリップしたような茅葺屋根のお家!目に入るのは、草と木、そして土だけ。家を支える大黒柱とハリに使われているのは、松の木。土壁の中で、ビルにたとえると鉄筋の役割をしているのが竹。そして屋根は、すすきの茅葺。この辺の里山の風景は基本的には松林とカヤ。竹林が裾野にあります。つまり、茅葺ぶきの家は全て近所の里山から得た材料で出来ていたんです。
 中でも屋根に使われるススキのカヤがポイント。カヤは最終的には肥料になるのですが、刈り取ったカヤをそのまんま肥料にするのではなくて、いったん屋根に吹きます。そうすると夏涼しく冬あったかい家が出来て、人間はそこで快適に暮らせます。そして30年くらいで傷んだ時に、カヤをまた田畑に返してあげるんです。こうした循環できるエネルギー資源が豊かなのも里山の特徴。食の分野では、キノコなどの食べ物。それから火を起こすのに使う薪や炭は、里山を管理してきた人々が分けあってきた大切な資源だったんです。

所さんのポイント
ポイント1
目がテン流!科学者たちの田舎暮らし実験を行うは『里山』がある場所がベストなのだ!

②田舎暮らしをする「里山」探し

 科学の力で、憧れの田舎暮らしを実現する壮大な実験の舞台にピッタリの「里山」探しがはじまりました。目がテンスタッフは日本各地の「里山」がありそうな場所を徹底リサーチすると、東京都の日野映像支援隊からふさわしい場所があるという一報が!そこは、85歳の柴田さんが3年前まで仙人のような生活をしていたという土地。今はご高齢のため、娘さん夫婦が暮らす日野市内に住んでいます。柴田さんに案内してもらいその場所に行ってみると、到着した場所は、茨城県の常陸太田市。かの水戸黄門が隠居生活をしていたことで知られる土地です。そこには、私たちが探していた雄大な自然が広がっていました。土地の広さはおよそ2000坪、この広大な敷地を自由に使っていいというんです。家の前は雑草がのび放題ですが、かつて畑として使っていた場所。そして家の裏手には、里山の恵みも豊か。まさに実験にうってつけの場所です!「俺はもう使わねぇから」と柴田さんが家のカギを預けてくれました。

所さんのポイント
ポイント2
科学を使って、みんながやってみたくなる田舎暮らしができるか大実験!目がテン流科学者たちの田舎暮らしを行う場所は、ここに決定なのだ!

③あこがれの田舎暮らし実験に協力してくれる専門家登場!

 茨城県常陸太田市にある柴田さんの2000坪の土地で、田舎暮らしを実践する科学者は、東京農工大学の松村先生。昨年退職するまでのおよそ30年、東京農工大のフィールドサイエンスセンターという、科学の視点から農業に取り組む機関で、様々な作物の研究をされてきました。まさに、今回の企画にピッタリの農業の専門家です。
 この荒れ果てた土地を見た先生は「調べてみないとわかりませんけど、楽しくできるんじゃないですか?」と意外なほどの余裕の表情。そしていきなり土のPHを調べ始めました。PHとは水素イオンの濃さを表す指数。ややこしい話ですがPHが低いと水素イオンが沢山あり逆にPHが高いと、少ない事を示しています。作物にとっては6.0くらいが一般的に良いとされるそう。
 松村先生が行ったPHでほうれん草の育ち方がどう変わるのかを検証した実験。PH5.0の土を入れたプランターを2つ用意。片方にだけ石灰を加えPHを5.6にしました。pH5.0、水素イオンが多い元の土のままで育てたほうれん草は葉が黄色く枯れ、十分に育っていません。一方、石灰を加え、水素イオンが少ないPH5.6にした土だとほうれん草はすくすくと育ったんです!実は水素イオンが沢山あると土の中のアルミニウムを溶かし出し作物の根に有害なアルミニウムイオンを増加させてしまうのです。逆にPHが高すぎると、鉄やホウ素のような作物にとって必要な養分が充分に吸収されなくなってしまいます。このため、土のPHが6.0付近というのは作物の根が生育する様々な条件の中で一つの重要な要素なのです。
 目がテン流田舎暮らしの土地のPHの計測結果は5,9!土のPHは問題なし!私たちの目には、ただの荒地ですが、松村先生にとって、ここは豊かな可能性を秘めた土地のようです!

所さんのポイント
ポイント3
拠点となった里山は、土のPHは問題なし!農業的にも素晴らしい場所であることがわかったのだ!




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