知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


田舎暮らし の科学
第1288回 2015年8月9日


 自然をテーマに研究してきた科学者たちが…田舎暮らしを実践する目がテン流科学者たちの田舎暮らし。今回は、ついに初収穫!

①カボチャが勝手に受粉

 5月にネギやサツマイモ、サトイモやカボチャなど様々な作物を畑に植え、6月には田植えが行われました。7月初旬には、田植えの時とは見違えるほどに稲が青々と茂りました。稲は、根から新しい茎が次々と出てきて大きくなります。これを分げつと言い、1本の稲から20本ほどの茎が出てくるそうです。
 畑では、1か月前に植えたカボチャに大きな変化が!風よけと虫よけを兼ねたネットが外れ大きな葉が!しかも、常陸太田でしか栽培されていない「里川かぼちゃ」がすでに大きく実っていました。さらに、里川かぼちゃと一緒に植えたもう一つのかぼちゃ。先生の教え子が務める会社が開発した最新の品種はもっとすごいことになっていました。この2種類のカボチャ、本来やる人の手で行う授粉作業を、代わりにアブがやってくれていたのです。

所さんのポイント
ポイント1
田舎暮らしの土地には虫がたくさん!ハナアブがカボチャを実らせてくれたのだ!


②ジャガイモの収穫

 多くの作物が順調に育っていることが確認できましたが、ジャガイモの葉だけ枯れてしまっていました。実は、収穫の時期になると、ジャガイモは枯れているのです。つまり、葉が黄色く枯れ始めたというのはジャガイモを掘ってくださいというサイン!松村先生が掘り返すと田舎暮らしの土地初の収穫物、キタアカリがゴロゴロ!芽の部分が少し赤くなっているのが特徴です、続いては、隣のうねに植えた男爵イモ!この日は、区画のおよそ4分の1を掘り返したところで終了。男爵イモとキタアカリ、合わせて20キロ近くを収穫できました。

所さんのポイント
ポイント2
3か月前から成長を見守ってきたジャガイモだから嬉しさも格別なのだ!


③電気のいらないエコ冷蔵庫

 ジャガイモ収穫を終えた松村先生と後藤アナのもとへ、自然エネルギーの専門家、根本先生がナゾの箱を持って登場。実は根本先生、真夏の農作業を快適にするため大学の研究室で自然エネルギーを利用した冷蔵庫作りを進めていたのです。先生の秘密兵器は尿素。農業では肥料として使われ、ホームセンターなどで購入できるものですが、実は、尿素は水に溶ける時に熱を奪う性質があるのです。例えば、ペットボトルに入った普通の水。温度は23度。そのペットボトルに尿素を入れると、一瞬で5℃に!18℃も下がったのです。
 これが尿素の吸熱反応。根本式冷蔵庫の作り方は、まず断熱効果のある発砲スチロールに尿素を入れ、その中に冷やしたい飲み物が入ったステンレスの容器を埋め込みます。容器の中には、飲み物を早く冷やすため水を入れ、熱伝導率を良くしてあります。そして、敷き詰めた尿素に水を加えます。最後に冷気が漏れないよう、フタをしめて完成です。試しに、21.7℃の水をこの冷蔵庫の中に入れて1時間後、水は11.3度に!電気を使わず、これほどの冷却効果が得られたのです。しかも、この冷蔵庫には、驚きの利点が!根本式冷蔵庫は炎天下でも電気を使うことなく飲み物を冷やせる上に、尿素を天日で乾燥させれば、何度でもリサイクルできるという優れものなのです。尿素は、薬局やホームセンターで手に入ります。一度買えば、リサイクルできるので経済的です。

※注意点:尿素は直接触ると手が荒れる場合があります。また、不要になった尿素は下水に直接流すと環境に悪いので、肥料などに活用して処理して下さい。

所さんのポイント
ポイント3
電気を使わないで手がしびれるほど冷える!尿素ってスゴいのだ!


④ジャガイモとビールで乾杯!

 根本先生が持ち込んだ、電気がいらない冷蔵庫でビールを冷やしつつ、採れたてのジャガイモを調理します!使用するのは、こちらのロケットストーブ。昨年11月、田舎暮らしの土地を初めて訪れた時、根本先生が持ち込んだもの。ロケットストーブは、一斗缶の中に煙突が入っていてそれを断熱材で囲ってあります。この煙突内部で熱せられた空気が強い上昇気流となって上がっていきます。すると、煙突内部に空気が必要になるため燃やしている入口から空気が吸い込まれます。これは、火に息を吹きかけるのと、同じ現象が起きているということ。そのため、火力はとても強力!
 早速、調理スタート!待つことおよそ10分。ロケットストーブから鍋を降ろし少し蒸らして・・・科学者特製ふかしイモの出来上がり!皆さんジャガイモの味を絶賛!収穫直後のジャガイモにはデンプンが多く含まれているためふかしイモのおいしさの肝、ホクホク感を強く感じます。一方、しばらくジャガイモを貯蔵しておくと、デンプンがアミラーゼの働きで糖へと変わり、甘みを強く感じるようになるのです。
 ここで、電気を使わずに、冷やしたビール!松村先生、のどが渇いていたのか、一気飲み!ホクホクの採れたてジャガイモと飲みごろビール!田舎暮らしの土地の恵みに感謝しながら、最高のひと時を過ごしました。  後日、ジャガイモを全て収穫し、合計75kg採れました。最初に300キロ採れると予想をしましたが、スタッフの種芋植えの失敗や天候不順で予想の4分の1になりました。これらのジャガイモは、土地の改良でお世話になった工務店の方やイノシシの罠作りに協力してくれた猟友会の方々などお世話になっている近所の方に配りました。

所さんのポイント
ポイント4
キタアカリと男爵イモ、どちらもあまりの美味しさにびっくりしたのだ!




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