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脳トレ の科学
第1291回 2015年9月6日


 厚生労働省によると、認知症患者は現在、日本におよそ500万人いると推定され、今後も、その数は増えていくと言われています。
 認知症は、記憶力や思考力といった脳の機能が低下し、日常生活を送れなくなる病気。そんな認知症は、脳を活性化することで、予防が可能だというんです。そこで今日は、脳に不安を抱えるという漫画家の蛭子能収さんが最新脳トレに挑戦!脳機能の改善を目指します!

①若者も要注意?脳は年々機能が低下していく

 漫画家の蛭子能収さん、67歳。最近物忘れが激しいという蛭子さん。
 脳は大丈夫なんでしょうか?そこで、さっそく病院で検査してもらうことに。まずは、問診票で自ら思い当たることをチェック。すると…やはり、記憶力に不安があるようです。続いて、MRIという機械で蛭子さんの脳の状態を検査。様々な角度から、脳に異常がないかを調べます。
 結果、同年代の正常な脳と比べても、蛭子さんの脳には異常は見られないとのこと。ひとまずは安心。それでも物忘れに悩む蛭子さん。大事なのは、今から予防を心がけること。そこで、現在何か対策をしているのか?本人に聞いてみると、クロスワードパズルをやっている程度だそう…。では、他に何か効率的な方法はないのか、認知症の専門家である国立長寿医療研究センター・柳澤勝彦さんに聞いてみると、「私たちが日常的に気をつけられることはあると思います。それは脳を大事にするということ。1つは食事であったり、体を動かしたり、他に生活習慣病があれば治療するのが大事。体を動かすということに関しても、楽しく体を動かすことは、色んな意味で脳に良い効果を招くことができると思う」と解説。


②運動と計算で脳を活性化!最新脳トレ"コグニサイズ"

 蛭子さんがやってきたのは、埼玉県にある老人ホーム。早速、中に入ってみると・・・高齢者の皆さんが集まり、何やら体操のような動きを指導されています。実はこれこそが、最近注目の脳トレ「コグニサイズ」だといいます。コグニサイズとは、2011年に、国立長寿医療研究センターが開発した、頭を使いながら、運動をするエクササイズ。国立長寿医療研究センターは、高齢者の心と体の自立を目指し、認知症を始めとした先進医療の開発など、高齢者医療の幅広い研究を行っています。
 コグニサイズの効果について、開発メンバーの1人、国立長寿医療研究センターの堤本広大先生に伺うと。「コグニサイズは、高齢者の脳を活性化して、認知機能の維持・向上を促すようなプログラムになっています。ひいては、認知症予防の効果が期待できると考えている」とコメント。埼玉県のこちらの老人ホームでは、月に数回、この脳トレを取り入れたレクリエーションを行っています。
 早速、蛭子さんもお年寄りに交じって最新の脳トレ、コグニサイズに挑戦することに。最初に教わったコグニサイズは「30回足踏みをして、3の倍数の時だけ手をたたく」というもの。蛭子さん、ちょっと怪しいですが、なんとかできたようです。でも一体なぜ、このエクササイズで脳が活性化するのでしょうか?
 堤本先生に聞くと、「デュアルタスク、いわゆる、二重課題で運動することによって、より脳が活性化されると言われていますので、例えば、体を動かしながら、計算をするといった課題を取り入れて実施している」と解説。たとえば足踏みのような運動をすると・・・脳の中の「運動連合野」が働き、活性化します。そして、数を数えるなど計算をすると、「前頭連合野」が活性化します。つまり、運動しながら数を数えると、脳の2つの部分が、同時に活性化するので、より効率良く、脳を鍛えることができるというわけなんです!
 続いて行うコグニサイズは、「30から逆に数えながら30回足踏みをし、3の倍数の時だけ手を叩く」というもの。今度は、全くついていけなくなる蛭子さん。どうですか皆さん、上手く出来ましたか?続いて蛭子さん、コグニサイズ中級編に挑戦!その内容とは...「真ん中2回、横に2回と順番に足踏み」。このステップを交互に繰り返します。そして、ステップを踏み、50まで数えながら5の倍数で手を叩きます。これには蛭子さんも四苦八苦…。まだあります!コグニサイズ中級編、続いては…「8の字に歩きながら、100から7ずつ引いていく」というもの。簡単そうですが、単純な計算でも歩きながらだと難しいんです。ではこのコグニサイズ、どのくらいで効果が出るのでしょうか?堤本先生に聞いてみると…「コグニサイズは実施すれば、どんな方でもおそらく脳は活性化されると思います。ただし、それを続けていくことによって、初めて機能の維持・向上の効果が得られると考えている」と解説。


③コグニサイズは"半年以上続ける"ことが大事!

 堤本先生によると…コグニサイズは週に2〜3回で、1回20〜30分程度行うことが大事。そして、最低でも"半年以上"は続けることが重要なんだそうです。では老人ホームでの体験から数日後…果たして、蛭子さんはちゃんとコグニサイズを続けているのでしょうか?本人の元へ行くと…なんと、毎日15分程度、体に無理のない範囲で、様々なコグニサイズを実践しているそうです。「体操と頭の計算を同時にできるようになれば、なんか良くなりそうな気がするので、がんばってやります!」と意気込む蛭子さん。今後の蛭子さんに目が離せません!



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