知識の宝庫!目がテン!ライブラリー


科学アート の科学
第1347回 2016年10月23日


 葉の光合成を利用して絵を浮かび上がらせたアートや、山梨大学の田中靖浩先生がバクテリアを使って描いた絵など、科学を使って様々なアート作品を作れるんです。
 そこで今回は芸術の秋にふさわしい摩訶不思議なサイエンスアートを徹底解剖します!



①NASAで開発された磁性流体のアート

 磁石を近づけるとまるで生きているかのように不思議な動きをする謎の黒い液体「磁性流体」。磁力によく反応する性質を持っており、例えるならオイルの中に砂鉄が溶け込んでいるようなもの。とげとげの形は、近づけた磁石の力が働く向きに沿って生まれています。磁石を当てる向きや距離を変えることで、生きているように動くんです。磁石を外すと、元の流体に戻ります。科学と芸術が融合した美しく幻想的な現象がみられる不思議な物質なんです。
 NASAで開発された磁性流体は、今、一部のテレビや車載用のスピーカーなどに使われていて音がよりクリアになるという。

所さんのポイント
ポイント1
磁石を近づけると変幻自在に形が変わっておもしろいのだ!


②研究者だけが知っているミクロアートの世界

 科学者ならではのアートを楽しんでいるという理化学研究所の豊岡研究員。普段は、植物を中心に細胞などの分析をしている方で、研究室には様々な機器が並んでいます。
 例えば、観葉植物コリウスの葉を顕微鏡でみたもの。ステンドグラスのようです。これは顕微鏡を使って、肉眼では見る事のできないものを覗くミクロアートと呼ばれるものだったんです。
 続いては、小松菜。葉の細胞を見やすいように染色すると、深海にありそうな幻想的な光景が。ミクロの目で見ると、まったく違う世界が広がっていたんです。
 そこで、豊岡さんもまだ見たことのないという魚や調味料、衣類などを顕微鏡で覗いてみます。
 まずマダイの尾の部分をそのまま拡大!パステルカラーの青と赤が織りなす芸術的な色合い!
 続いて、身近なしょうゆを乾燥させ、覗いてみると、まるで古代都市の航空写真のよう!
 今回、色々試した中で、ダントツに美しいミクロアートを発見!さらにストッキングは光沢を持った様々な色が神秘的に絡み合っています。

所さんのポイント
ポイント2
いつも目にしているものでも顕微鏡を通すと、驚くほど芸術的な世界が広がっていたのだ!


③大学生と一緒に製作「からくりマシン」

 今回、目がテンオリジナルのからくりマシンを作るため訪れたのは「ものづくり大学」協力してくれるのは香村誠先生。大学内で、からくりマシンの授業やコンテストを行うなどからくりマシン作りに精通している科学者です。香村先生の呼びかけで集まった学生の皆さんと協力しからくりマシンの製作開始!メンバーは「もの静かな熱き男」リーダーの佐野紀行さんを中心に5人の学生さんが名乗りを上げてくれました。
 まずは、どんなマシンにするのかアイデアを出し。その中から厳選したアイデアを組み合わせ、からくりマシンの設計図を作ります。テーマは「科学の仕掛け満載の目がテンになっちゃうからくりマシン」。
 後日、材料をそろえて再び集まり実際の制作に突入!
 まずは、からくりマシンのスタートを担う重要な仕掛け。リーダーの佐野さんが用意したのは、大学の課外活動で制作しているスターリングエンジン。これは温めると膨張し、冷やすと収縮する空気の性質を利用したエンジン。上に出た部分を熱することで、空気が膨張し、ピストンを押し下げます。その空気がもう一つのピストンの方に流れ、冷やされて収縮するのでピストンが上に押し上げられます。二つのピストンはつながっているので、二つの間に温度差がある間は、ピストンが動き続けるんです。
 このスターリングエンジンを使ってスタートでまず動かすのは観覧車のからくり。
 続いてのからくりは、見えないコース。ガラスをサラダ油の中に入れると見えなくなるという仕掛け。ガラスと油の屈折率がほとんど同じなので、光が同じように通り、ガラスが見えなくなる現象です。ガラスを加工して、玉が転がるコースを作っていきます。
 さらにニュートンビーズというからくり。高いところからチェーンを落とすと、重力に逆らうかのように、チェーンが上に一度持ち上がって落ちていく不思議な現象です。落ちたチェーンをボウルで受け、その重みでシーソーが動き、次のからくりへとつないでいきます。
 制作開始から、7日目。スタートのからくりである観覧車が出来上がっていました。この中の一つに球が入る仕掛け。さらに過酸化水素水とイースト菌の化学反応を利用した装置や、目がテンのロゴを光らせるからくりなど仕掛けが続々と出来上がってきました。
 そして15日目、本番の日。それぞれのからくりを設置、マシン全体が組みあがったところで最終調整です。何度も試して微調整。ちょっとしたズレが命取りです。しかし、完成に向け順調に進んでいた矢先、突然トラブルが!見えないコースで使うガラスが割れてしまったのです!急きょ、設計を変え、立て直します。組み合わせたからくりを動かし、何度も微調整を行いながら、成功のために、からくりマシンの精度を高めていきます。
 そして、目がテンオリジナルからくりマシン完成!
 完成したからくりマシンのコースは、スターリングエンジンで動く観覧車からスタート!チェーンが飛び出る「ニュートンビーズ」のからくりへそこから、屈折率を利用した見えないコースへとつながります。見事、球が棒を倒すと、電磁石のスイッチが外れ、空気砲から空気が放たれ、その空気がドミノに当たります!最後は化学反応が起こる仕掛けと目がテンの文字が見事に浮かび上がればゴール!全長10メートルの巨大からくりマシンです!
 結果は…見事、最後の仕掛け目がテンの文字が浮かび上がりました! 目がテンオリジナルからくりマシン大成功です。

所さんのポイント
ポイント3
リーダーの佐野さんは苦労が報われて思わず男泣きしたのだ!




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