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香港 の科学[後編]
第1356回 2016年12月25日


 今回は、長寿シリーズ特別編!長寿世界一の香港、後編です。
 今回は…大都市香港の意外な一面を発見!!イメージを覆す香港の大自然と長寿の不思議な関係とは?さらに、これまでの長寿シリーズから選んだ4つの究極の長寿術も大公開! みなさん、今日からこれを実践して長生きしちゃいましょう!

①大都会のイメージを覆す"長寿術"とは?

 巨大なビルが立ち並ぶアジア有数の国際都市、香港。そんな大都市のイメージを覆す意外な長寿の秘訣があるというんです。
 やって来たのは、香港の町はずれ。こちらが梁全就(りょうぜんしゅう)さん、88歳。88歳にして、素晴らしい姿勢。その秘訣というのが…「山歩き」。実は、香港は町のすぐ近くにアジア有数のトレッキングコースが整備されています。しかも、その山々は全て1000m以下、中心部から1時間以内で行ける山が多いんです。近年では、健康意識の高まりからお年寄りも登る人が増えてきたといいます。
 そこで、どう健康長寿に良いのか?名古屋学芸大学大学院の下方浩史教授と実際に登ってチェック!実は山登りに行くこと自体に長寿の秘訣が!下方先生によると、「こういう非日常的な中で1日過ごすことは素晴らしいこと。それが心や体の健康に繋がる」と解説。さらに、普段の運動に加え、この山登りのような、少しキツイ運動を加えると、筋肉が刺激され、筋肉量を保つのに良いそうです。そして、風景は刻々と変わり、登り始めて40分、山の中腹にやってきました。香港とは思えない広大な緑の森が広がります。登り始めて1時間、ついにお目当ての絶景が!眼下には大都会、香港の町並みが広がります。下方先生によると、「都会から歩いて1時間でこの場所まで来られるのは素晴らしいこと。こういった景色を見るという目標を達成することが心や体の健康に繋がる」と解説。

所さんのポイント
ポイント1
大都会に住んでいても手軽に大自然を楽しめる環境が、長寿世界一に一役買っているのだ!


②究極の「食習慣」「生活習慣」長寿術とは?

 これまで様々な食習慣を検証してきたご長寿シリーズ。香港で見つけたのは、飲茶で朝からお肉を食べる習慣。実はこれ、徳之島の94歳のご長寿さんも一緒!朝からしっかり骨付き豚肉を食べていました。
 下方先生によると、「朝からこれだけしっかりお肉をとっているのは素晴らしいこと。どうしても歳をとるとお肉の摂取量が減ってしまい、タンパク質の摂取量が少なくなってしまう。タンパク質が少ないと、筋肉が衰えてしまう。歳をとればとるほどタンパク質をとるよう心がけた方が良い」と解説。
 さらに驚きだったのが、香港の人は魚を日本人よりも多く食べること。日本では、健康寿命日本一、海のない山梨県の人が魚好きでした。甲府市では、干しアジに払う年間金額が静岡に次いで全国2位。さらに、アサリの支出金額は全国1位。他にもマグロの消費量は全国2位と、意外にも海産物が大好きだったんです。甲府の90歳のご長寿さんも魚が大好き!朝から食べるのはアジの干物。これについて下方先生は、「アジのような青魚はスゴく良い。DHAとかEPAという動脈硬化を防いだり認知症を防いだりするような働きがある脂肪酸をたくさん含んでいる」と解説。
 そして、香港の人が毎日欠かさない温かいスープ。これにも長寿の秘訣が隠されていました。試しに飲んでみると…かなり薄味!そこで、スープを塩分濃度計で計測してみると、濃度0.4%から0.7%のうす味で塩分控えめでした。
 同じように減塩が長寿の秘訣だったのが、男性長寿日本一、長野県、松川村の90歳と85歳のご長寿夫妻。うまみ味成分がたっぷりの酒粕をお味噌汁に入れ、そのうま味で減塩するという工夫をしていました。この味噌汁を塩分濃度計で計測すると、確かにうす味で塩分控えめ。しかも、酒粕には驚きの効果が!下方先生によると「酒粕のアミノ酸というのは特に分岐鎖アミノ酸と言われる筋肉を作るのに非常に重要なアミノ酸をたくさん含んでいる。お肉をとれないような場合でも酒粕をとることによって、アミノ酸の成分を体に入れることができる」と解説。
 続いてのポイントは、生活習慣!元気なご長寿さんに共通するのが炊事や掃除、仕事など、やれることは自分でやる習慣。さらに、皆さん家に閉じこもることなくアクティブに外に出る習慣があったんです。実はこれにも長寿の秘訣が!下方先生によると「何よりいいのが、お日様に当たること。日光を浴びると体の中でビタミンDが合成され、そのビタミンDが骨を作ったり筋肉を作ったりするということに繋がる」と解説。そして、ここから導き出される究極の長寿術とは?
 まず食習慣の長寿術は…「タンパク質多め、塩少なめ、野菜マシマシ」。タンパク質をたくさんとることは、筋肉を作ったり体を丈夫にするために必要。そして、塩をなるべく少なくするために、レモンや酢などで減塩する。さらに野菜をたくさんとることも大切!しかし、1日の摂取量の目安350g以上をとるのはなかなか大変。そこで、煮たり・蒸したり工夫することでたくさんとることが大事なんです!続いて生活習慣の長寿術は…「KSST」。これは、生活習慣で積極的にやってほしいことの頭文字です、Kは「家事」、Sは「仕事」、Sは「趣味」、そしてTは「太陽を浴びること」です。家事は、結構いい運動になり、順番を考えなければいけないため頭も使う。仕事は生きがいにもなり、趣味も同じ。そして太陽に関しては、歳をとるとビタミンDを作る脳力が下がるため、日光を積極的に浴びたほうが良いんです。


③体と脳を鍛える長寿術とは?

 これまで様々な科学機器を使ってご長寿さんの体を検証してきました。  香港の89歳のご長寿さんで検証したのは、足の力。4色のランプが点滅しながら流れ、一つのランプで止まる。その時、足元の同じ色のマットを素早く踏みます。その反応速度で、反射年齢がわかるマシン。実験すると、実年齢より何歳も若い結果に!その理由は、香港にある、多くの急な坂道にありました。香港は海のすぐそばから山裾が広がるため、狭い場所を利用しようと山の斜面に建物が多くあります。そのため、外に出る時は、急な坂を上り下りする必要があり、自然と足腰が鍛えられるんです。
 これと同じく、坂道で自然と足が鍛えられていたのが、男性長寿日本一の長野県、松川村のご長寿さん。山間部の傾斜にある畑を上り下りしたり…、畑で立ったり座ったりの繰り返しで足腰が鍛えられていたんです。健康寿命日本一の山梨県では、脳年齢を検証。数字をなるべく早く押すテストで、脳年齢を測りました。実年齢80歳のご長寿さんが挑戦すると…なんと、実年齢より脳年齢が10歳も若かったんです。
 その理由が、「無尽」と呼ばれる月1回、特定のメンバーが集まる食事会。普段会わない人と会って話をすることで脳が活性化、老化を防げるそうです。長寿の島、徳之島の91歳のご長寿さんで検証したのが骨の密度!使ったのは、かかとの骨に超音波を当て、骨の強さから骨年齢が割り出せる機器。その結果は…骨年齢はなんと25歳相当の若さでした。その理由が意外にも"島の水"にありました。実は島の水はカルシウムがたっぷりの硬水。その証拠に電気ボットの棒にはカルシウムがびっしり。硬水の理由は"島の成り立ち"にありました。徳之島の南側はサンゴが島と共に隆起してできたもの。そのため、島の水はカルシウムを含む硬水となり、それを飲み続けたお年寄りの骨が丈夫になったんです。
 さぁ、体の検証で分かった究極の長寿術とは?それは二人でおしゃべりをしながら屈伸で足腰を鍛え、運動後30分以内に牛乳を飲んで骨や筋肉を作ること。しかも、おしゃべりをしながら運動をすることは、2つのことを同時に行うことになるため、頭の訓練につながります。


④長寿のスペシャリストが教える"長寿食の秘密"とは?

 数々の長寿食を調べてきたこのシリーズ。徳之島で見つけたのが、1株食べれば1日長生きすると言われる長命草。セリ科のボタンボウフウという植物です。昔から、島では栄養豊富と伝えられ、病気の予防に食べたそうで、今では、天ぷらなどにして食べたり、苦味を抑えるため、バナナと合わせてスムージーにして飲むそうです。栄養価は、ほうれん草と比べてもミネラルが豊富!中でも血管や肌などの老化防止に効果があるというビタミンEは25倍以上もあったんです。でも、なぜミネラルが豊富なんでしょうか?その理由が、潮風吹き付ける環境に育つこと。実は、海水の塩分は排出し、豊富なミネラルを取り込んでいたのです。実際、ボタンボウフウを栽培する農家もわざわざ海水をまいて育てていました。
 健康寿命日本一、山梨で長寿食として食べられていたのがアワビの煮貝。作り方は新鮮なアワビをじっくりボイルします。後は手作業で砂などを丁寧に取り除き…、特製の醤油ダレに漬けて、完成。
 煮貝にすることでアルギニンという筋肉を作ったり、老化を予防する成分が効率よくとれるそうです。男性長寿日本一、長野県、松川村の長寿食が田鯉のすずめ焼き。田鯉とは田んぼで育てた鯉のこと。貴重なタンパク源として米の収穫時期にあわせて、調理して食べるそうです。作り方は鯉を背開きにし、内蔵だけを取り除き、骨や皮、頭付きのまましっかりと焼いていきます。さらに、これをそのまま素揚げ。醤油、酒、砂糖で味付けすれば完成。実はコイには疲労回復に役立つビタミンB1が豊富。一般的な海の魚と比べても圧倒的に多く、あのウナギよりも上でした。これを長年、ご長寿さんたちは食べ続けていたんです。さぁ、謎の長寿食を調べて分かった究極の長寿食とは…それが「ミネラルとEとB1、アルギニン」。
 特に下方先生がオススメする食材は、アーモンドと豚の角煮。アーモンドにはビタミンEが豊富で、手に入りやすい。
 そして豚の角煮は、ビタミンB1だけでなく皮の下のゼラチン部分にたくさんアルギニンが含まれているため、両方とることができるんです。
 これら様々な長寿術を若いうちから行うことが、非常に重要なんです!



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