放送内容

第1366回
2017.03.12
間食 の科学 人間科学

 肥満を引き起こすイメージがあった間食ですが、実は最近、正しく間食をとれば、逆に太りにくい体質になると言われていて今、間食が注目されているんです。
 そこで、科学者が教える驚きの新常識「間食の科学」します。

夕食のドカ食いを防げ

 肥満になってしまう理由の一つ、ドカ食いスパイラル。昼食から夕食までの時間が長いと強い空腹感で、夕食をドカ食いしたりします。すると、血糖値が急上昇。インスリンが分泌され、余分な糖が脂肪に変わり、体に蓄えられて肥満になります。また急激に上昇した血糖値は急激に下がるので、強い空腹感が襲ってきます。その結果、またまたドカ食いをしてしまう。これがドカ食いスパイラルです。

 ドカ食いスパイラルを引き起こす、血糖値の乱高下がいけないんです。けれど、上手に間食をとると、血糖値の上がり方が緩やかになってドカ食いを防ぐことができ、スパイラルを断ち切ることができるのです。
 では本当に間食で、ドカ食いを防ぐことはできるのでしょうか?その効果を詳しく知る専門家を訪ねました。間食について研究している大妻女子大学・青江誠一郎教授によると、太っている人は、適切に間食をとれば、食べ過ぎを防ぎ、太りにくい体質になるというんです。良い間食方法とは、小腹が空いた夕方にナッツ類をおよそ30グラム、片手におさまるくらい食べること、およそ200キロカロリー以内におさめた量です。たったこれだけの間食で夕食のドカ食いを抑えることができるというのです。

 そこでこんな実験!間食をしない場合とした場合で夕食の量に変化はでるのか?検証。集まってもらった皆さんには、同じ時間におよそ1000キロカロリーの同じ昼食を食べてもらい、1日目は、間食はせず、2日目は、およそ200キロカロリーのナッツを間食してもらいます。昼食から8時間たった午後8時30分に夕食。夕食は6品ある料理から、好きなものを好きなだけ、自由に食べてもらいます。そして、間食の「ありなし」で夕食の量が変わるのか、比較します。皆さんには、夕食の量を計っていることは伝えていません!それでは実験開始!
 まずは、間食をしない場合。12時にお昼を食べてもらった後、散歩をしながら過ごします。
 昼食後から4時間が過ぎると、皆さん口寂しくなってきたようですが、この日は、間食せずに夜までぐっと空腹を我慢。そして、昼食から8時間たった午後8時30分、夕食の時間。皆さんには、心地よい満足感を得るまで、食べてもらいました。ある男性が食べた夕食のカロリーは、およそ1900キロカロリーこれは、成人の1日の摂取カロリーに近い量。まさにドカ食いです!
 ほかの二人は半分ほど残し、夕食のカロリーもおよそ1000キロカロリーほどでした。では間食をとった場合、夕食はどう変化するのでしょうか?
 前日と全く同じく、12時に同じ昼食をとり、食後も同じ過ごし方をしてもらいます。この日は、昼食から4時間後、ナッツ30gを間食。午後8時30分、いよいよ夕食です!間食をしなかったときは、ほぼ全品平らげたこちらの男性は間食なしのときと比べ、明らかに食べる量が減って、およそ1500キロカロリー。間食をしたナッツのカロリーを加えても、およそ200キロカロリーほど、減っていたんです。
 こちらの男性も夕食の量は減りナッツのカロリーを加えると、ほぼ同じカロリーとなりました。そしてこちらの女性は、間食の影響は少なかったのか、夕食の量に大きな変化はありませんでした。
 しかし、男性二人は少し間食をするだけで、どうして夕食の量に差が出たのでしょうか。専門家によると「ドカ食いをする人は、食事をしたときに、一気に血糖値が上がって、それが悪の循環になって血糖値がドンと上がって、下がりすぎて逆に空腹感を助長する。上手に間食をすれば、マイルドな血糖上昇を起こしていると、血糖値が急激に上がらず、空腹感もできませんので、満腹感が持続される」とのこと、こちらの男性の血糖値の変化を見てみると、間食をしなかったとき、血糖値が下がり切ってしまい、夕食でドカ食いをしてしまうのです。その結果、血糖値が急上昇、急降下し、強い空腹を感じ、再びドカ食いをしてしまう負のスパイラルが起きてしまいます。しかし、間食をすると血糖値が少し持ち直し、夕食を適度な量で済ますことができます。こうなると、夕食後の血糖値の上昇も抑えられ、なによりも下がる時もゆるやかになります。その結果、強い空腹感が抑えられるんです。

ポイント1

間食は、血糖値の急上昇、急降下を防いでくれるので、ドカ食いスパイラルから脱することができるのだ!

間食ベスト食材を探せ!

 太りにくく、間食に向いているおやつとは?間食のメニューについて研究している専門家の足立香代子先生によると、間食に向いているおやつの条件は食べても、血糖値が急激に上がったり下がったりせず、緩やかに変化する食べ物だそうです。
 そこで、どんなものが間食にいいのか実際に検証。実験に協力してくれるのは、顔も背丈もそっくりな一卵性双生児の二組。事前に血糖値の変化を測定したところ、双子なのでほぼ同じでした。双子には、それぞれ違うおやつを食べてもらい、どちらのおやつが血糖値の変化が緩やかで、間食に向いているのか?検証します!
 最初は、和洋のおやつ!シュークリームとおまんじゅうを比較。どちらも200キロカロリー程度、ほぼ同じカロリーのものを用意。食べる前の血糖値は、93と88であまり差がありません。間食をしてからおよそ1時間後、おまんじゅうの方の数値は「139」、血糖値が50ほど増加。シュークリームの方は「104」わずか10程度の上昇でした。意外にも、おまんじゅうの方が、血糖値が大きく上昇したんです!その後も30分ごとに測定していくとおまんじゅうの方の血糖値は急激に下降していったのに対して、シュークリームの方の血糖値はその後も急上昇はせず、緩やかに下降していきました。空腹具合を聞いてみると、おまんじゅうを食べた方は早くも空腹を感じていたんです。検証の結果、血糖値の変化が緩やかだったシュークリームの方が間食に向いていたんです。

 その理由を専門家に伺うと、シュークリームは、卵や牛乳、バターなどタンパク質と脂質が多く含まれるため、消化吸収に時間がかかり血糖値の変化が緩やかになります。一方、おまんじゅうは、タンパク質も脂質も少なく、糖質が多いため、変化が急激になったのです。
 続いては、肉まんと野菜サンドイッチを比較!肉たっぷりの肉まんと、ヘルシーな野菜サンドイッチを先程の同じように比較すると、肉まんも野菜サンドイッチと血糖値のグラフはほとんど変わりません。間食に向いてないと思われがちの肉まんですが、肉にタンパク質と脂質が多く含まれているため、血糖値の変化も緩やかになるのです。
 他にも、チーズケーキとモンブランならチーズケーキの方が、せんべいとビターチョコレートならチョコレートの方が、タンパク質と脂質が多く含まれているため、間食に向いているといえるそうです。

ポイント2

糖質の量をコントロールし、タンパク質と脂質を上手に取り入れることが太りにくい間食のポイントだったのだ!

間食の効果で太りにくい体質に

 実験には、間食の効果が期待できそうなポッチャリさんに集まってもらいました。皆さん、普段から夕食の時間が遅く、ドカ食いをしてしまう、ドカ食いスパイラルに陥っているといいます。実験前、ドカ食いスパイラルの結果とも言える4人の体重、そして、お腹回りのサイズを測定。ルールはたったの2つ。

ルール①
昼食後、小腹がすく夕方に、糖質が少なくタンパク質と脂質を多く含んだ、およそ200キロカロリー程度の間食をすること。

ルール②
毎日の食事に、食べる量、カロリー制限はありません。ただ、ご飯、おかず、汁物などの定食スタイルで食べること。

 実は、定食は、血糖値の急激な上昇が起きにくいんです。丼や麺類などの単品は、炭水化物が多く、さらに短時間で食べ終わり、血糖値が急上昇するので禁止。これで、食欲のコントロールができ、適正体重に近づくはず。検証期間は2週間!検証2日目。こちらの女性は、間食に高脂肪のアイスを選択。検証期間中の日記には「アイス好きの私には本当に嬉しい美味しい」と書かれていました。こちらの女性も、「チョコを8粒食べられたから満足感◎」と、しっかりと間食しています。
 検証5日目で食事の量に変化が。こちらの女性は日記に「ちゃんとお腹がすかないようになってきた」「ごはんの量が最初より少ない!」と書いています。最初は、ご飯、おかずとしっかりと食べていましたが、5日目は、全体的に量が減っています。こちらの男性も「ごはんが少量でも満足できるようになった気がする」。丼で食べていたご飯も通常の茶碗で満足できるようになってきたようです。みなさん、食欲をコントロールが出来てきたみたい。
 果たして、体重に変化はあるのでしょうか?2週間経ったので、一人ずつ体重を計測。まずは、こちらの女性から!体重はなんと、マイナス4.2キログラム。お腹回りもマイナス3センチ、少し細くなっています!続いて、こちらの男性は、体重がマイナス3キログラム!お腹回りは、マイナス4.5センチ。ぽっこりしていたお腹がへこみました。こちらの女性も 体重が、3.3キログラム減り、お腹回りも4センチ細くなりました。こちらの男性は、マイナス4.7キログラム。お腹回りは、マイナス4センチ!皆さん、体重が減り、お腹回りが細くなっていたんです。

ポイント3

感想を聞いてみると“そこそこ食べると満腹感がくる”“暴飲暴食したい気持ちにならない”ということだったのだ!