放送内容

第1438回
2018.08.12
第6回 実験グランプリ[前編] 物・その他

 見れば科学が好きになる、夏休み恒例スペシャル企画!
 第6回「目がテン実験グランプリ」。
 小学生審査員の心を掴む実験は!?今日からお家でマネできる、オモシロ実験も満載!そして後藤も参戦!驚きの科学マジックをお見せします!
 2週に渡ってたっぷり放送!実験グランプリ、開幕です!

永遠に飛び続ける紙飛行機 工学博士 丹波純さん

 最初のチャレンジャーは滞空時間を競う、全日本紙飛行機選手権大会の元チャンピオン丹波純さん。その実力を見せてもらうと、飛ばしたのは、手作りの組み立て式飛行機。ぐんぐんと上空を旋回、全然落ちてきません!なんと滞空時間、およそ35秒!
 丹波さんによると、翼の角度で飛びかたも変わり、腕の振りも最適なところで振り切れないとダメ、どこで手を離すか、リリースポイントがいいところじゃないとどこに行くか解らない、緻密なものだといいます。

 丹波さんは、大学では機械工学を専攻。本物の飛行機についても造詣が深い丹波さんが作る紙飛行機は、まさに科学的理論に基づいたもの。紙飛行機を探究するあまり、ご自宅には紙飛行機部屋まで。ぶら下がっているのは、自作の紙飛行機300機。これでも、ほんの一部なんだとか。そんな丹波さんが、とんでもない紙飛行機をスタジオで披露!それは、永遠に飛び続ける紙飛行機。

 その前に、まずは、科学的によく飛ぶ紙飛行機「おへそ飛行機」をご紹介。折り紙のような正方形でなく、コピー用紙のような長方形の紙を使うのがポイント。

 まず紙を横長において半分に折り、角を三角に折り、同じ様に裏も折る。これを一旦開き、三角の部分を上に2cmくらい隙間を開けて折ります。そして、両側を外から内に折って、上に出た三角「おへそ」を下に折ります。この「おへそ」は折った飛行機が開かないようストッパーの役目。下にも一回り小さい三角を作り、半分に折ります。翼は、両端の中心が結ばれる斜め線で折り、反対側も同じように折って仕上げに翼を一旦広げ、正面から見ると「Y字」になるように整えたら完成。さらに、翼の後ろの部分を少し上向きにひねる。すると軽く投げる程度でよく飛びます。
 なぜ、翼を曲げたくらいでよく飛んだのでしょうか?
 紙飛行機が飛んでいるときは、翼は空気の流れに対して、少し上を向いています。このとき、翼の上と下で、空気の流れ方が変わり、上の空気の流れが速くなって気圧が下がる。すると、翼が上へと引き上げられる「揚力」という力が生まれ、この力のおかげで飛ぶことができるんです。

 さらに、翼の後ろの部分を上にカーブさせると、翼の上側を流れてきた空気が、カーブした部分に当って機体の後ろを押し下げて、紙飛行機の先端はさらに上向きになります。これで、滞空時間の長い紙飛行機になったというわけなんです。

 そんな丹波さんが見せる永遠に飛び続ける紙飛行機とは。丹波さんによると、永遠に飛ぶ紙飛行機のヒントになったのは、「アルソミトラ」という植物の種。

 アルソミトラという植物は、東南アジアなどに分布している植物で、サッカーボールよりも少し小さいくらいの実を付けます。その中に300枚以上の翼がついた種が入っています。数十メートル上のところに、実がなって、成長すると、実が裂け始めて、隙間から一枚一枚、種が落ちていくんです。翼のちょっとした曲がり具合の差でいろいろな方向に飛んでいき、この植物の生息域を広げるという仕掛け。

 これをヒントに作ったのが、薄くて軽いこちらの紙飛行機。横にして半分に折り、角を三角に折ります。反対側も同じように折り、折った方をハサミで切り取ります。広げると長方形に。折り目に沿って両側を折り込み、全体が三角形になるように折ったら、上部分の真ん中あたりを目指して下から上に折り、頂点の部分を内側へしまうように折り込みます。これを半分に折り、翼は下と平行になる位置で折っていきます。両側を同じように折って広げたら出来上がり。
 今回は、飛行機を強化。厚手の広告などの紙を飛行機の外側に沿って、細く切り取り一旦開いて中に入れ込みます。芯が入った強い紙飛行機の完成です。

 そして、丹波さんが手に持ったのは厚紙。障害物や風のない広い体育館で飛ばしてみると、体力が続く限り、永遠に飛び続けています。これはなんででしょうか?重力があるので、飛んでいる紙飛行機の高度は普通は、徐々に下がっていきます。けれど、紙飛行機の後ろから、厚紙を斜めにして追いかけると、空気の流れが上方向に曲がり、上昇気流が生まれます。紙飛行機は、上向きの空気の流れに乗って飛んでいるので、いつまでも落ちずに飛び続けていられるというわけなんです。

火を使わずに、お湯を沸かす 親子サイエンティスト ぱぱとはる

 続いてのチャレンジャーは、親子サイエンティスト「ぱぱとはる」。昨年、全国から集まった実験の達人たちが腕を競う「科学の鉄人」でも、人気ナンバーワンに!
 父・亮治さんは、現在、大阪成蹊大学で理科教育を教える講師。はるさんは、高校1年生。スーパーサイエンスハイスクールに指定されている進学校に通っています!そんな二人が見せてくれる、実験は、火を使わずに、お湯を沸かします!

 使うのは、ビニール傘とヒモ。

 傘の先の金属の部分にチューブをつけて、水が入りやすいようにします。ここに水を注いでそこに紐を巻きつけます。そして紐で金属を擦ると一気に、30度、50度、60度、70度、80度、あっという間にお湯が沸いています。これは、紐で金属を擦った時の摩擦熱で熱くなっているんです。
 さらに、もっとたくさんの水を湧かせるという手作り湯沸かし器。1mのパイプにロープが巻き付いていて8人で一斉に摩擦熱を起こすことができます。パイプに水を流し、反対から出てくるとお湯になるという仕組み。

 助っ人は、チームワーク抜群。東京工業大学のボート部の皆さん。今回は本当にお湯ができるのか、証明するために、ナスのフリーズドライのお味噌汁を作りたいと思います。
 それでは、スタート!東京工業大学のボート部の皆さんが擦るパイプに水を通すと、あっという間に湯気が。完成したお味噌汁を食べてみると、ちゃんとお味噌汁に!これは、非常時でも温かいものを食べることができるんじゃないかなと思い作ったといいます。

ガラスのコップが机を貫通 マジシャン晴菜

 続いてのチャレンジャーはマジシャン晴菜!今回、後藤アナが訪ねたのはプロのマジシャン、ナカノ・マクレーンさん!実はナカノさん科学マジックからクロースアップマジックまで、多彩な技を持つお方。そんなマジシャンが後藤アナに伝授するのは科学の力を使ったマジック。

 マジックに使うのは酒井さんのスマートフォン。このスマートフォンに、タコ糸を結び付け、鉛筆にタコ糸を引っ掛けます。右手を離したら、酒井さんのスマートフォンはどうなるのか?
 3,2,1と手を離すと、しっかりと鉛筆にタコ糸が巻き付いています。そしてタコ糸には5円玉がついているのがわかります。

 マジックをスローで見てみると、5円玉が付いたヒモが振り子のように動き、勢いよく回転してすごいスピードで鉛筆に何度も巻き付いているのがわかります。では5円玉がなかったら、どうなるんでしょうか?同じように、ヒモは回転して鉛筆に巻き付きますが、最後はスルスルッとほどけて落ちてしまいました。ヒモの先に5円玉という重りがあることで、ヒモが鉛筆にギュッと巻き付いて、緩まることなく止まったのです。

 どうして、5円玉は強く巻き付くのでしょうか?かがくの里でもお世話になっている、物理学の専門家、川村教授に伺いました。
 川村教授によると、スマホが落下したことで生まれたエネルギーが、ヒモを通して5円玉に伝わります。その結果、5円玉の回転の勢いは強まり、巻きつく回数も増え、しかもしっかりと巻き付いたんです。

 そして今日大一番のマジック。後藤アナは「百円玉が机を貫通します!」と宣言。まず百円玉を机に置き、そしてガラスでできたグラスでフタをします。さらにこの新聞紙で、目隠し。コレで、100円玉を見ることも触ることもできません。
 すると3・2・1!百円玉ではなくグラスが貫通してしまいました!
 実はこちら、視線誘導と心理学を駆使した科学マジック。まずは貫通させると言って視線を100円玉に集中させます。グラスと新聞で隠し、合図で消したと思ったら、まだ消えていません。その100円玉にみなさんが集中している時、実は裏で新聞の中から、グラスだけを手前に落として抜きました。新聞がグラスの形状を保っていたためそこに「グラスがある」と思い込ませ、驚かせるというマジックでした!

 今週はここまで!後半は、東大合格者を続々輩出!超進学校からの刺客が見せるサイエンスショーとは!?すぐマネできるおもしろ実験も目白押し!果たして優勝は誰の手に!?