放送内容

第1486回
2019.07.28
第7回 実験グランプリ[前編] 物・その他

 第7回を数える夏の恒例企画「第7回目がテン!実験グランプリ」。今回は前半戦をお届けします!
 あっと驚く科学実験を披露してくれるチャレンジャーたちが、全国各地からスタジオに集結!化学の力で作る不思議なアイスクリームや科学のお姉さんのサイエンスショー、憧れの人とキスをする実験!?など、今回もおもしろ実験が目白押しです!

アイスなのに暖かい!ホットアイスクリーム

 今年で7回目を迎える目がテン実験グランプリ。今年もどの実験が一番おもしろかったか、ジャッジしてもらうために小学生審査員として元気いっぱいな江戸川区立篠崎小学校の皆さんにスタジオに来てもらいました!
 1組目のチャレンジャーとして登場したのは、一関工業高等専門学校からきた仲良し三人組。岩手県の一関工業高等専門学校は、「ロボットコンテスト」の常連校で、昨年は全国優勝!電気、ソフトウェア、化学など、幅広い科学技術の知識を学ぶことができる学校なんです。今回、参加してくれるメンバーは、物質化学工学科4年生の、科学が大好きな仲良しグループ3人!
 手始めに、メンバーの一人、小峯くんに実験を見せてもらうことに。用意したのは、なにやら緑色の液体。部屋を暗くして、これに青い光を当てると・・・液体が赤い光を出しています!実は、この緑色の液体は、いろんな野菜をすりつぶし、葉緑素を抽出したもの。葉緑素とは、植物が光合成を行うための、重要な色素。光を当てることで、葉緑素が光を吸収。エネルギー出す時に、赤く発光しているのです。

 化学の不思議な反応を日々、実験している仲良し3人組。今回、実験グランプリで披露してくれるのは・・・「最新化学アイスクリーム」!普通のアイスと何が違うんでしょう?実際にみせてもらいます!

 用意したのは、普通の見た目のアイス。所さんが実際に食べてみると・・・味は普通のバニラアイスなのに温かい!実はこれ、科学の力で作った、特製の「ホットアイスクリーム」なんです。では、このホットアイスを冷やすとどうなるのでしょう?少しスプーンにとって、氷水で冷やしてみると・・・冷やしているのにアイスがドロドロに溶けていきます!

 ホットアイスクリームは、普通のアイスクリームとは逆で、温度が下がると溶けてしまい、溶けたものを温めると再び固まるのです。
 この不思議なホットアイスクリームには、実はある物質が入っていました。不思議なアイスを生み出す物質とは、メチルセルロース。水に溶いたメチルセルロースは、常温の場合、トロトロとしていますが、加熱していくと白く濁っていき、最終的に熱々の固体になります。逆にこれを冷やしていくと・・・、再び透明に戻り、ドロドロの液体になるという特殊な性質を持っているんです。
 常温の時、水溶液中のメチルセルロースは、水の分子とくっついて水に溶けている状態になっています。しかし、温度が高くなると、「熱運動」のため、水分子が激しく動き、メチルセルロースと離れてしまいます。すると、水に溶けていられない状態になり、固体になったのです。メチルセルロースが入っていたので、固まったアイスクリームのように見えるのに温かいという、不思議な食感になったのです。
 このメチルセルロース、身近なところでは、加工食品のクリームコロッケ、ハンバーグのソースなどに使われています。温めても、溶けずにドロドロとした状態を保つ性質が食品の世界でも利用されているんです。

空気の力で不思議な実験ショー!

 続いての挑戦者は、科学のお姉さん、五十嵐美樹さん。その正体は・・・実は、東京大学の大学院生なんです!さらに、ミス理系コンテストグランプリに輝くなど、まさに才色兼備のお姉さんなんです!全国各地でサイエンスショーを行なっている彼女。
 そんな五十嵐さんが今回見せてくれるのは・・・「空気の性質のおもしろさをダンスで伝える」サイエンスショー!
 まずは、割り箸をチョップで折っていくと言います。普通にテーブルの端に置いて折ろうとすると、割り箸が跳ねて飛んで行ってしまいますが、新聞紙を被せるだけで割り箸を折ることができるのだそうです。テーブル3つに割り箸を置いて、ミュージックスタート!五十嵐さん、ダンスをしながら次々と割り箸を折っていきます!見事大成功!

 実はこれ、空手ではなく、空気の力を使った現象なんです。その秘密は、「大気圧」!普段、私たちは気づいていませんが、空気には重さがあります。実は、その重さが空気の圧力となって、私たちの上にのしかかっているんです。1平方センチメートルにかかる大気の重さは、およそ1キログラム。広げた新聞紙の大きさは、およそ4500平方センチメートルなので、新聞紙にはおよそ4.5トンもの大気の重さがかかっているのです!

 だから、新聞紙にかかった大気圧で割り箸が跳ねにくくなり、割り箸に手の力が伝わって、折れたのです。

 続いての実験は、このボウル2つを重ね合わせて人を持ち上げる、というもの。普通、ボウルをそのまま合わせてもすぐに外れてしまいますが、“あるもの”を使うと、この二つのボウルが強くくっつくと言うんです。使うのは、リング状にカットした厚紙、ティッシュ、そして冷たい水。まず、リング状にカットした工作用紙を水で濡らし、片方の半球のへりに載せます。次に、丸めたティッシュ入れて火をつけ、すぐに片方の半球を重ね合わせます。そして、重ね合わせたものを冷水で冷やすと・・・見事にくっつきました!五十嵐さんがボウルにぶら下がってもびくともしません!

 実はこれも空気の力なんです。2つをただ重ねただけの時は、空気が外側からボウルを押すのと同じ力で、内側からも空気が押しています。しかし、ティッシュを燃やしてボウルをかぶせると、ボウルの中の空気が温められ、体積が膨張し、中の空気の多くが外に追い出されます。その後、冷やされることで、少なくなった空気の体積が小さくなります。その結果、内側から押す空気の力が小さくなり、外側からの空気の力で二つのボウルは密着。簡単には外せなくなるのです。

 ちなみに、紙の役割は、中に空気が入らないよう隙間をなくすためのもので、隙間から細いものを入れるなど、空気を入れてやれば簡単に外すことができるのです。

憧れの人とキスをする実験!?

 3組目のチャレンジャーは、青森県にある松風塾(しょうふうじゅく)高等学校、科学コミュニケーション部のみなさんです!この学校で活動するのが、科学コミュニケーション部、通称SCC!部員は5人の少数精鋭です!「科学を通じて、たくさんの人たちを喜ばせる!」をモットーに、週末には県内の保育園や老人ホームなどでサイエンスショーを行なっているんです。学校のある平日は、ほぼ毎日部活動を行なっていて、この日は、次のショーに向けて、実験を準備中。
 発明が得意な岩倉くんが、新しいものを完成させたようです。なにやらメカを腕に装着すると・・・なんと腕から糸が!まさにスパイダーマン!

 実はこの装置、ボールペンのペン先を押し出すバネを利用し、糸を飛ばしていたんです。糸の先端には磁石がついているので、黒板にもくっつきます。
 身近なものを使い、お客さんが喜ぶ実験を日々研究している科学コミュニケーション部、今回、実験グランプリに向けて新実験満載のサイエンスショーを考えてくれました。披露してくれるのは、「光の屈折の不思議な実験ショー」!
 まず披露してくれたのは、卵と水を使った実験。まず、トングで生卵を掴み、ロウソクの火で真っ黒になるまで炙っていきます。白かった卵が黒くなるまで炙り、それを水の中に入れます。すると・・・不思議なことに卵が水の中でメタリックな銀色に輝きました!

 そして、再び水から取り出すと、黒い卵に戻ります。
 この黒い卵がメタリックに光り輝く現象の秘密は、光の「全反射」にあります。卵の表面についている黒いものは「スス」。ススは、水を弾く性質があります。人間がものを見る時、光が物に当たって、反射した一部の波長の光を目で感知し、色を認識しています。しかし、この卵を水の中に入れると、卵と水の間に空気の層ができ、その表面で、ある角度から入ってくる光が全反射します。それが目に入って、メタリックに光り輝いて見えるんです。

 続いての実験は、「憧れの人とキスをする」という実験!
 どういうことでしょうか?部長の憧れの人、佐藤真知子アナを実験の対象にします。用意するものは、中には水が入った大きな円柱の水槽。佐藤アナを円柱水槽の後ろに立たせ、部長は同じ方向を向いてしゃがんでいます。

 同じ方向を向いて、まったく向き合っていない状態ですが、佐藤アナがしゃがむと・・・水槽に映った佐藤アナが反転して、部長とキスをしているみたいに!

 この実験のポイントは、水の入った円柱の水槽。実は円柱の曲面により、光が水槽を通る間に左右が交差します。そのため、目に入るときは左右逆になって見えるんです。

 この現象の結果、顔が反転、キスしているように見えたんです。