放送内容

第1565回
2021.03.07
かがくの里・田舎暮らし の科学 場所・建物 地上の動物

 人と、自然や生き物が豊かに共存する里山再生を目指す、長期実験企画…かがくの里!
 今回、フクロウプロジェクトに新たな進展が!畑に落ちていたのはフクロウの羽根!?さらに!1年を通じて昆虫を調査し、かがくの里周辺の環境を調べるプロジェクト!これまで夏と秋に昆虫採集を行ってきましたが、今回は冬の昆虫調査!冬にどんな虫がいるのか?すると!昆虫の専門家が驚く、虫を発見!?
 今回は冬の里山大捜索!フクロウと昆虫調査スペシャルです!

里の畑にフクロウが来ていた!

 今年1月初旬。入社1年目の新人スタッフとともに冬のかがくの里にしばらく住み込むことになった阿部さん。不慣れながらカメラを回すスタッフを連れ、冬の里を探索。
 この日、朝の気温はマイナス1℃。そんな中、見つけたのは、「シロハラ」という鳥。夏の繁殖期はロシアなどの山地で過ごし、越冬のため、冬の日本にやってくる渡り鳥です。
 さらに、やはりロシアなどから冬、日本にわたってくるジョウビタキ。翼の白い模様が着物の「紋」に似ていることから、「紋付き鳥」とも呼ばれています。
 その後も冬しか会えない鳥たちを、かがくの里で見つけることができました。

 さらに、里の畑を歩いていると驚きの発見が!なんと畑にフクロウらしき羽根が落ちていました!
 一昨年からチャレンジ中の「里にフクロウを呼ぼうプロジェクト」!
 フクロウの専門家、守山先生の協力のもと、里の裏山の調査をしたところ、里の裏山は、阿部さんが頑張って間伐を続けてきたことで木々の間にスペースができてフクロウにとってすみやすい環境になっていたんです。
 そこで、林業家西野さんの手を借りて合計5か所に巣箱を設置!半年後、里の畑から100mほど離れた場所の巣箱で、フクロウが来た形跡を見つけていたんです。もし今回見つけた鳥の羽根がフクロウのものならば畑まで来ていたということ!

 そこで、守山先生とリモートで繋ぎ、羽根を見てもらいました。すると、畑に落ちていた羽根は、やはりフクロウのものだったんです!
 畑にフクロウの羽根があった理由として、エサをとりに来た可能性があるといいます。フクロウは音も立てずに獲物を仕留める最強のハンター!先ほど見つけたような冬鳥を襲っている可能性があるといいます。
 冬のかがくの里には、思いがけない発見がありました!!

フクロウの止まり木で畑を守る!

 かがくの里冬の住み込み生活が始まって10日目。阿部さんは、先生からの様々な仕事に大忙しの毎日。そんな中、阿部さんの周囲で、様々なミステリーが起きたんです。
 暗渠工事で竹と共に溝に埋める大量のモミガラを置いておいたところ、何かの動物の足跡を発見!
 その数日後、さらに、新たなミステリーが発生。水がくさい!?
 一体どういうことなんでしょうか?
 かがくの里の生活水は全て、井戸水でまかなっています。井戸になにかあったのかと、中を調べてみると、なんとイタチの死骸が井戸の中に!モミガラにあった足跡はイタチのものだったんでしょうか?

 しかもなんとこのイタチ、池のドジョウをエサにしていたよう。池にドジョウを放ったのは2015年。この6年で何世代にも渡って、池で増え続けています。ドジョウを食べて、イタチがたくさん増えすぎてしまうと、里の生態系のバランスが崩れる可能性が。そこで守山先生に相談。
 守山先生の作戦は里の畑まで来ているはずのフクロウを利用するもの!イタチなど小動物を捕まえやすいよう、止まり木をたててやれば、フクロウが畑で狩りを行う可能性が上がるそうなんです。

 江戸時代、農家で生まれた村役人が記した“農事遺書”という本に「“あぜに杭を立て、稲株をつないで夜鷹を止まらせ、ネズミやヒキガエルを獲らせようとする」と書かれています。止まり木は、江戸時代から明治時代畑の害獣対策としてフクロウを利用してきた、里山で暮らす先人の知恵。
 さっそく、畑に止まり木を設置してフクロウに里の畑を守るサポートを行ってもらうことに!
 まず、里の裏山で畑に設置する止まり木となる木を探すことに。
 選んだのは細い杉の木。慣れた手つきで伐採!設置する場所は、畑のちょうど真ん中。ショベルカーで穴を掘っていきます。畑の真ん中に置くことで、フクロウがエサとなる小動物を探しやすくなり、止まり木にやってくる可能性が高まるそうです。
 掘った穴に木を立て、最後に穴を埋めて、作業開始から3時間!阿部さんの止まり木が完成。

 しかしこの止まり木、西野さんによると、止まる部分が細すぎるとのこと、そこで、フクロウが止まる確率を上げるため太い幹のネムの木をもう1本植えました。
 これで今後、フクロウが畑をエサ場にすれば、イタチなどの被害が抑えられるはずです!
 そして、もう一つ!もし止まり木にフクロウが来るならその姿をカメラに収めたい!ということで、熱を感知して撮影ができるカメラも設置!
 カメラを仕掛けてから2日後。止まり木に飛んできた鳥の姿が!エサを咥えたモズです。畑に来たフクロウを撮影できるのか?フクロウプロジェクト、ますます楽しみになってきました!

冬の里山で昆虫を探す!

 冬のかがくの里でやっておきたい調査がもうひとつ!それは、昆虫採集!昆虫は生物多様性を保つ上で大事な生き物。生態系を支える色んな役割をしています。その昆虫を通してかがくの里の環境を調べるため、昆虫の専門家斉藤先生とともに、春夏秋冬、季節ごとに昆虫調査を実施しています。
 これまで、夏と秋、昆虫採集を行いましたが、季節が変わっても、多種多様な昆虫を見つけられれば、かがくの里の環境が豊かである証拠!

 そこで、今回、阿部さんは冬の昆虫調査を1人で行うことにしたんです。
 遡ること2日前。阿部さんは冬の昆虫調査のコツを斉藤先生に聞いていました。越冬を行う昆虫は、成虫や幼虫の形で、倒木など腐った木の中で冬眠して春を待ちます。そんな倒木を探し、冬眠中の虫を捕まえる作戦。

 早速調査開始!
 見つけたのは、何年も里に放置されていた朽木。教わった通り木の皮を剥がしてみると、開始3分で1匹目の昆虫ゲット!
 その後、2時間半探したところ、色んな昆虫を発見することができたんです!

 見つけた昆虫は瓶に入れ持ち帰って早速斉藤先生に何の昆虫なのか聞いてみることに!
 初めに見つけた昆虫はキマワリの幼虫。

 成虫になると体が丸く足の長い虫になるのが特徴で木の周りをくるくる歩くことから“キマワリ”と名付けられたんだそうです。
 続いては発見してから全く動かないこの昆虫。斉藤先生によると、ヒラタカメムシ。ヒラタカメムシは天敵から逃れるために死んだふりをするのが特徴だそう。そこで捕まえたヒラタカメムシを室内で放置してみると、すぐに触角が動き出しました!そして観察を続けることおよそ5分。やはり死んだフリをしていたようでちゃんと動き出したんです!

 そして3匹目は阿部さんが大興奮したこちらの昆虫!マイマイカブリ!カタツムリを、頭から突っ込んで食べるのでマイマイカブリというそうで、実は日本にしかいない固有種。マイマイカブリはオサムシ類の中でも最大級で、首が長い形がカッコいいということで世界の昆虫ファンや研究者に人気なんだそうです。

 他にもコメツキムシなど様々な昆虫を発見することができました!
 冬でも阿部さんが簡単に虫たちを見つけられたのは、かがくの里に豊かな自然がある証拠なのかもしれません。
 一歩づつ、豊かな生態系を取り戻しているかがくの里。どんな生き物がみつかるのか、これからも楽しみです!