放送内容

第1653回
2022.12.04
かがくの里 の科学 場所・建物 地上の動物

 人と自然が共存する里山で巻き起る科学的な驚きや発見!さらに!さまざまな喜びをお届けする長期実験企画!目がテンかがくの里!秋深まる里に再びやってきたのが、解剖学者の養老孟司さん!今回、里でのんびりマイペースに昆虫採集!
 今回は、養老孟司さんが秋の里で昆虫採集スペシャルです!

養老孟司さんが秋の里で昆虫採集!

 10月初旬。秋のイベント、収穫祭も終わったかがくの里では、ちょうど、秋そばが収穫の時期を迎えていました。サツマイモ、ベニハルカも大豊作で、残すは自然薯の収穫ぐらい。 そんな秋の実りに恵まれたかがくの里に、バカの壁の著者にして、現代日本の知の巨人養老孟司さんが再びやってきました。前回、来てくれたのは、半年前の初夏。所さんと昆虫採集をしました。
 養老さんの虫好きは、物心ついた小さな頃から。昆虫愛は、成長しても変わることなく、大学生の時も、昆虫採集に明け暮れたそうで、採取した昆虫は、なん十年にわたって自分で標本にしてコレクションしてきました。中でも、長い間、情熱を注いできたのが、「ゾウムシ」。

 長い鼻のゾウのように見えることから名前がつけられたゾウムシ。長い鼻に見えるのは鼻ではく、口吻と呼ばれる器官で、先端に口がついています。体長数mm程度とかなり小さい部類の虫ですが、全世界に数万種、日本でも千種以上いると言われ、種類の数としては甲虫類最大。
 養老さんの別邸、養老昆虫館には、幼少期から集めた標本が10万点以上所蔵されていて、中でも、もっとも多いのがゾウムシの標本だそうです。今でも、日々いろんなところでゾウムシを採集しては分類する作業に没頭しているんです。

 養老さん、まずは秋の里に残っているゾウムシを探します。枝や葉を叩いて落ちてくるゾウムシをキャッチするビーティングネットで、養老さんの、静かな静かな昆虫採集、スタート。アシスタントはバグボーイズの2人。今回は、養老さんのゆったりゾウムシ探しに、静かに寄り添います。ゾウムシは木の枝や葉にいることが多く、根気よく枝や葉を叩くのが大事。早速、「カシワクチブトムシ」を見つけました。
 ゾウムシ探しはひと段落して、次は畑で虫探し。見つけたのは「ウラナミシジミ」という、はねの裏の波模様が特徴のシジミチョウ。マメ科の植物を好む性質があり、里で育てていた四角豆に誘われ、やってきたのでしょうか。
 続いては、里に豊富にいる水生昆虫を探します。するとどじょうが!かがくの里にどじょうを放流したのは2015年。エサも与えず自然のまま、7年繁殖を続けています。
 続いて、ガムシを発見。養老さんにとって、少年時代、誘蛾灯の電球に誘われ飛んでくるガムシは、とても身近な虫だったそうです。
 その後、ゆったりと裏山でも虫探しをした養老さん。冬になると里の昆虫の数がめっきり減ってしまいます。その前に、養老さんは里でいろんな昆虫たちに出会い、静かに満足していたようです。

実体顕微鏡でゾウムシ観察

 採集したゾウムシを、生きたまま観察できる実体顕微鏡で、拡大して観察することに。先程、捕まえたゾウムシを拡大。カシワクチブトゾウムシは、カシワの葉などを好み、ゾウムシにしては口が短く太いのでその名が付きました。その特徴は、鱗片が口先まで無いのが、似た種と見分けるポイント。

 さらに、ゾウムシの仲間の中には面白い生態をもつものがいるそう。それが、メスしかいない単為生殖。単為生殖とは、オスと交尾しなくてもメスだけで卵を産み、次世代をつくること。その子供は、いわばメスのクローンで同じ遺伝子。なぜオスが生まれないのか?未だその謎は解けていないそうです。
 実態顕微鏡での観察を終えると、平井さんから尊敬する養老さんを喜ばせたいと、スペシャル映像が!
 それが、コウスバカゲロウの幼虫、アリジゴクの捕食シーン。成虫とは姿かたちが全く違うアリジゴクのハンティングです。雨の降りこまない乾いた砂地にすり鉢状の巣を作り、その中心に潜って姿を隠し、獲物を待つアリジゴク。そうとは知らず通りかかったアリ!まんまと巣の中に滑り落ちてしまいました。

 平井さんが撮影したのは、アリをとらえるまでのアリジゴクの動き。アリジゴクの大迫力の生態に、養老さんも静かに興奮したようです。この日、ゆったり虫探しを楽しんだ養老さんでした。

町おこしイベントを取材!

 阿部さんがやってきたのは、かがくの里にほど近い所で開かれた町おこしイベント。

 この地方で、里山の恵みを使ってどんなものが作られているのか、見てみることに。
 初めに伺ったのは、根本さんといって、茨城県笠間市周辺で作られている陶磁器、笠間焼の伝統工芸士。地元常陸太田に工房を構え、講師として大学校で陶芸を教えているそうです。
 里では今年、村田先生の提案で里の土を使って陶芸ができないか試行錯誤中。里の土の試し焼きを行い、およそ1180℃の高温で焼いても割れなかったため里の土は陶芸に使える土であることがわかりました!今後、根本さんには陶芸プロジェクトで、相談に乗って頂くかも。

 そして、茨城県の北部、常陸太田市、里美地区にあるひたちおおたチーズ工房。里美地区は酪農が盛んな地域、夏でも比較的涼しく、牛が暮らしやすい環境で、ストレスがかからないそうです。今後、牛乳やチーズが必要な時は相談に乗ってくれるかも!
 実行委員長、池田さんにはイベントに賭けるある思いが。このあたりは、元々宿場町で活気がありましたが、時代の流れで人が減り、商店街も失われたそうです。里山だけを再生してもダメで、周辺の地域全体が活性化することが大事なんです。
 さらに11月。かがくの里の近く、国の有形文化財になっている旧町屋変電所。ここ4年ぶりに開催されたのは、500個のあんどんを灯す、幻想的なイベント。

 あんどんには地元の小学生が絵付けを行っていました!