#739 『播州握り鋏つくりの音』(18/8/26 放送)
兵庫県 小野市
現在の兵庫県南西部「播州」には、金物産業が根付いており、播州刃物として有名。播州握り鋏は、一本の鉄の棒から手打ち鍛造で鋏の形を作っていきます。切れ味の決め手となる持ち柄を何度も叩くことで粘りと弾力を出し、最後の仕上げは刃同士のすり合せを瞬時に決める熟練の技が必要です。この場所からは、そんな職人技の音が聞こえます。

■ DIRECTOR'S COMMENT
今回取材でお世話になった水池鋏製作所の水池さんはこの道60年の職人さん。取材した日は、かなりの猛暑日。工房には冷房がないので、水池さんも私も汗びっしょり。それでも、炎に向かって鋏を作り続ける水池さんの姿は圧巻でした。完成した鋏で生地を切らせてもらうと、その切れ味のよさに驚いたのと「チョッキン」という何とも言えない心地よい音が印象的でした。播州握り鋏最後の職人といわれていた水池さんでしたが、4年前にお弟子さんをとられたそうです。この伝統が次世代に続いていくことに感慨深い気持ちになりました。(高森有希)
■ ACCESS
新神戸駅から小野市まで車で約1時間
