#828 『銀閣寺 銀沙灘(ぎんしゃだん)を作る音』(20/5/17 放送)

京都府 左京区

銀閣寺本堂の前には、波紋を表現した銀沙灘(ぎんしゃだん)と、高く盛り上げられた向月台(こうげつだい)の二つの砂盛りがあります。銀沙灘は、白砂を盛り上げて造られることで、月の光を反射させる役目をもつといわれており、その高さは66cmあります。また江戸時代に考案されたと言われ、年に10回程、雨や風などによって形が崩れると作り直します。銀閣寺の庭からは、そんな銀沙灘を作る伝統的な音が聞こえてきます。

#828

■ DIRECTOR'S COMMENT

ご存知の通り銀閣寺が創建されたのは室町時代、足利義政の時代です。しかし「銀沙灘」自体は江戸時代の書物に残されていた事で「江戸時代以前に作られた」とされています。さて、いつ作られたのかも分からないこの銀沙灘ですが、芸術に秀でた東山文化のイメージを作る一端を担ったのだろうことは想像がつきます。砂だけで作られたなんとも面白い形。壊れては作り、壊れては作りを繰り返し、現代まで残されて来た不思議なオブジェ。もしかしたら形だけを残し、わざと意味を残して来なかったのかもしれません。糊やセメントで固めずに、時の流れに沿って軽微な変化を加えながら保たれて来た独創的な形は、まさに「わび・さび」だと思いました。「変わりゆくものを肯定し楽しむ」世界中の視線が注がれる意味がこの年になって漸く分かりました。(村上宗義)

■ ACCESS

京都駅から東山慈照寺(銀閣寺)まで車で約30分

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