#881 『カイツブリの子育て』(21/5/23 放送)

東京都 武蔵野市

井の頭恩賜公園は、 1917(大正6)年5月1日に日本で最初の郊外公園として開園し、 2017年に開園100周年を迎えました。園内にある井の頭池では、豊富な水量と優れた水質から一年を通して様々な鳥を見ることができ、留鳥や渡り鳥など15種類以上の鳥を観察することができます。その中でも春から夏にかけて繁殖のピーク時期を迎えるカイツブリ。全長は約26cmほどで潜水が得意で各指にみずかきがあり、足だけで泳ぐ留鳥です。主食は小魚、ザリガニ、エビ類、大きな水生昆虫などを食べており、水草を積み重ねて水面に浮巣を作ります。池の辺りから春の声が聞こえてきます。

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■ DIRECTOR'S COMMENT

井の頭公園にはカイツブリ親子の写真を撮っている方がたくさんいました。それは雛が可愛くて撮影をしているのだろうと思っていたのですが、撮影中に偶然すれ違った公園の調査員に声をかけたことで、少し事情が違う事を知りました。聞けば、井の頭公園はここ数年でかいぼり(水抜き)を3回も行い、外来生物を駆除し、浅場を作り微生物が住める環境を整え直したのだそう。それにより見かけなくなっていたカイツブリが、子育てに必要な小魚やエビ(餌)が増えたということで繁殖に戻って来たという話でした。この時、私にはカキの養殖で有名な畠山さんの話「森は海の恋人」という言葉が思い出されました。少し言葉とはズレるかもしれませんが、地上に顔を出す植物が水中のものを育て、水中のものが地上にあるものを育てているというサイクル、一見“目に見えない循環の中で生命は育まれている”というビオトープがそこにあったのです。そういえば、カイツブリの巣には地上の木の枯葉も多く使われていたはず。本当に色々な事を実感できた撮影でした。(亀井清行)

■ ACCESS

吉祥寺駅から井の頭恩賜公園まで徒歩で約2分

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