#882 『縁付金箔作り』(21/5/30 放送)

石川県 金沢市

日本の金箔はおよそ99%が金沢で作られ、主産地として有名です。金沢で金箔作りが始まったのは、文禄2年(1593年)に加賀藩祖・前田利家が豊臣秀吉の朝鮮の役の陣中から、国元に金・銀箔の製造を命じる書を寄せていることから、と言われています。金は金属の中でも延性・展性という薄く長く延びる性質に優れ、10円玉程の金が畳一畳分まで延び、薄さはおよそ1万分の1㎜にもなるため、その性質を使い金箔を作ることができます。縁付金箔は、半年ほどの長い時間をかけ加工した特殊な和紙(箔打紙)の間に一枚一枚金を挟み、箔打機で打ち延ばしていきます。打ち延ばされた金は熱を持ち、冷ましながら、再度打ち延ばし、これを何度も繰り返します。縁付金箔作りは何よりも箔打紙が肝で、箔の良し悪しを左右するため、箔打師は箔打紙の仕込みに大半の時間を割きます。そんな箔打紙を使い、最終的に1万分の1mmといった極限の薄さに仕上げます。この地には、そんな金箔作りの音があります。

#882

■ DIRECTOR'S COMMENT

今回は、熱野製箔所、松村製作所、石川県箔商工業協同組合さんなど、たくさんの方々のご協力を得て撮影をさせて頂きました。金箔作りは、事前に勉強していったつもりでしたが、やはり職人さんの現場ではネットやパンフレットなどには書き表せない段階や状態、作業があるのだなと肌身に感じました。箔屋の熱野さんは、理解力が乏しい私にも、わかるように細かくご説明して下さり、撮影後にはお土産にと「ふるや紙」を頂いてしまいました。ふるや紙は、使い古した、いわば引退した箔打紙で、その滑らかさから高級あぶらとり紙になるそうです。昔はよく、金沢の芸妓さんなどに職人さんがあげていたそうで、金沢の文化の繋がりを感じました。(森野好)

■ ACCESS

東京駅から金沢駅まで電車で約3時間

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