#898 『江戸指物を作る音』(21/9/26 放送)

東京都 荒川区

「指物」は、板材や棒材にほぞと呼ばれる凹凸を彫り込み、それを組み合わせながら作っていきます。外側に組み手を見せず、金釘も使わずに組み立てられた木工品のことです。指物の名の由来は、木と木を「さし合わせる」からとも、「物さし」を駆使するからともいわれています。今も多くの職人が江戸時代から続く伝統の音を響かせています。

#898

■ DIRECTOR'S COMMENT

江戸指物は、その昔徳川幕府が京から職人を呼んだ事で、始まった手工業の一つです。指物は京指物以外にも、駿河や大阪などにもあります。そんな中で“江戸”指物として発展した理由は、細密さを売りしているというよりも、一瞥してその細かさが解らないように作っている事にあるのかもしれないと思いました。所謂「粋(いき)」という心です。羽織りの裏地が素敵な生地でも、あからさまに見せないチラリズムの格好良さに似ています。もしかしたら指物がこの江戸っ子の気質を作るのに、少し影響を与えたのかもしれません。気候に合わせて薄皮一枚を削るその妙(素材が湿気を吸って伸縮してもヒビなどが入らないなど)は言葉では表せない繊細さがあります。東京では十数軒しか残っていない江戸指物ですが、是非その音が聞こえたら覗いてみて欲しいです。(村上宗義)

■ ACCESS

三ノ輪駅(日比谷線)から根本工房まで車で約5分

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