#917 『玄そば寒流浸し』(22/2/13 放送)

福島県 喜多方市

喜多方市山都町の冬の味覚「寒晒しそば」に使うソバの実の「寒流浸し」が毎年1月、町内の「一ノ戸川」で行われます。冷水に浸し、寒風にさらしたソバは雑味が取れ、うま味が増すとされています。神事で身を清めた白装束姿の 「会津山都そば協会」の会員が、アミ袋に入れたソバの実を冷たい水に耐えながら清流に沈めます。大寒の季節に毎年恒例の音が聞こえてきます。

#917

■ DIRECTOR'S COMMENT

外気温が数度の中、寒流浸しを撮影させて頂きました。水温は2度ほど。胴長を着用して入っても川の冷たさを実感している私たちでしたが、足袋と草鞋だけでザブザブと川に入る姿は想像を絶します。「冷たい」より「痛い」という声が漏れ聞こえて来るほどでした。さて今回のロケで初めて知ったのですが、蕎麦の実を寒晒しにする(寒流に浸した後、外気で乾燥させる)と、蕎麦の実自体が不凍液を出し、それがアミノ酸を作って旨味成分となるのだそうです。江戸時代から始まった寒晒しだそうですが、科学の無い時代に冷たい川に入って歯を食いしばって、よくぞ美味しくなる事に気づいてくれました、と蕎麦好きのディレクターは思ったわけです。考えてみると、蕎麦の実は生きているのだから科学変化も起きて当然です。寒流浸しが自然に敬意を払いその力を借りて紡いできた食文化だったと知るとちょっと感慨深いものがあります。今年山都町では3月12日から寒晒し蕎麦を提供するそうなので、昔からその味がつむがれて来た事を想像しながら、ぜひ食べて欲しい。蕎麦の味もきっと増すはずです。喜多方はラーメンだけでは無い、強く言わせて頂きます。(村上宗義)

■ ACCESS

山都駅から「山都公民館」まで徒歩で約10分

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