#932 『温水路の水音』(22/5/29 放送)

秋田県 にかほ市

秋田県由利郡象潟町の上郷地区では昔から鳥海山の冷たい雪どけ水をかけて米づくりをしており、長い間その冷たい水に悩まされていました。今のように重機が無い時代に、全て人の力で、スコップ、クワ等を使った大変な仕事でしたが水路の幅を広く、水深を浅くし、多くの落差を設けて空気と混ぜる構造で、昭和2年に日本で初めての温水路が完成。温水の効果により、以前は10アール当たり300kgだった収量は倍の600kgも収穫できるようになったと言われています

#932

■ DIRECTOR'S COMMENT

にかほ市は秋田県の沿岸南部、標高2236mの鳥海山の麓に位置する自然豊かな街です。その自然をうまく利用しながら、共生する事にも力を入れており、市内の高原には風力発電の風車が立ち並び、観光名所にもなっています。鳥海山からの豊富な雪解け水があり、稲作も盛んなのですが、かつてはその水の冷たさから生育障害に悩まされていました。大正時代の終わり頃、この水を温められないかと地域住民で話し合い、地元の農家の方の発案でこの温水路が造られました。特にこのために研究していたわけではなく、川の流れを見ていて、この温水路の仕組みを思いついたというのに驚かされます。温水路は今も現役で地域の稲作を支えている他、水辺として、子供たちの遊び場、勉強の場にもなっているそうです。(鈴木和宣)

■ ACCESS

JR「象潟駅」から車で約10分

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