#973
『無名異焼』(23/3/26 放送)
新潟県 佐渡市
佐渡に伝わる伝統の陶器。1819年(文政2年)に、伊藤甚平が佐渡金山の坑内で産出される「無名異」を用いて楽焼を製造したことが始まりとされています。「無名異」は酸化鉄を多く含む希少な赤土で、島外への持ち出しが禁止。成形し、乾燥後、厚さを均一に整えるために削り、燃成前には表面を磨いて艶を出す特有の作業を行います。無名異焼は土の粒子が細かく、焼成後は約30%縮み(通常の陶器の収縮率は約10~15%)、強度が高く、叩くと金属音がします。使い込むほど艶が増し、日常使いすることで、鉄分のイオン層を自然と摂取するため、身体に良いと言われています。現在は、技術の進歩や陶工たちの工夫により、窯元ごとに特徴の異なる製品が作られています。
■ DIRECTOR'S COMMENT
今回は、「北沢窯」さんに取材の協力をして頂きました。無名異焼ができるまでの一連の工程は、陶器初心者の私にとってはとても複雑でしたが、大変細かく丁寧に教えて下さり、複数の工程が撮れるように、事前に準備もしてくださいました。材料となる陶土を作る作業も、実はたくさんの工程を経ており、ろくろを回している陶芸家のイメージというのは、陶芸家のほんの一部分にしか過ぎないということも学びました。また、撮影時の夕食で訪れた焼き鳥屋さんでも、北沢窯さんの無名異焼が使われていました!普段、無名異焼の陶芸体験も行われていますので、佐渡に訪れた際は、是非足を運んでみてください。(森野好)
■ ACCESS
「新潟港」から「両津港」まで船で約1時間
