千葉県 九十九里浜
『揚げ雲雀(あげひばり)』は、春の田畑や河川敷などで見られるヒバリの繁殖行動で、雄が上空高く舞い上がりながら長時間さえずる様子を指しています。古くから春の季語として知られ、俳句や文学では「空から声だけが降ってくる音」として表現されてきました。ヒバリは地上に巣を作る野鳥として知られ、周囲に遮るものの少ない環境で生活するため、上空へ舞い上がるさえずり行動が発達したとも言われています。また、日本では古来より「春を告げる鳥」として親しまれ、『万葉集』にもヒバリを詠んだ歌が残されています。三好達治『揚げ雲雀』の「雲雀の井戸は天にある」という一節でも、この“空そのものが鳴る感覚”が象徴的に表現されています。
■ DIRECTOR'S COMMENT
今回の撮影場所は、どこまでも続く広い砂浜と海、そして青空だけに包まれた環境でした。その中で、わずか17cmほどしかないヒバリを見つけ出すのは想像以上に難しく、撮影は終始苦戦の連続でした。野鳥の会の方が「あそこで鳴いています」と空を指差してくださっても、私にはどこにいるのかまったく見えないことも多く、ようやく姿を捉えたと思った瞬間には、カメラが追いきれないこともしばしばありました。ヒバリは空高く舞い上がりながらさえずる鳥で、高い時には100m近くまで上昇するそうです。そうなるともはや空の中の一点でしかなく、ピントを合わせ続けるのは至難の業でした。まさに“空から声だけが降ってくる”ような感覚で、声は聞こえるのに姿が見えない--そんな不思議な時間でもありました。今回なんとか形にできたのは、現地で支えてくださった野鳥の会の方の力があってこそです。一方で、自分の技術不足を痛感する場面も多く、自然相手の撮影の難しさを改めて思い知らされました。それでも、広大な風景の中で懸命にさえずり続けるヒバリの姿は強く印象に残っています。(村上宗義)
■ ACCESS
非公開
