#1140 『トキの鳴き声』(26/7/5 放送)

新潟県 佐渡島

トキ(学名:Nipponia nippon)は、国の特別天然記念物に指定されている鳥です。学名の「Nipponia nippon」は日本に由来する名称で、日本を代表する鳥として知られています。かつては日本各地の里山や水田周辺に生息していましたが、明治時代以降の乱獲や生息環境の変化などにより個体数が減少し、日本産の野生個体は2003年に絶滅したとされています。その後、中国で保護されていた同種の個体をもとに人工繁殖が進められ、2008年から佐渡島で放鳥が開始されました。環境省によると、佐渡島では現在500羽を超える野生個体が確認されており、野生復帰事業は大きく前進しています。一方で、生息域の分散も課題となっており、2026年5月には石川県能登地域で本州初となる放鳥が実施されました。8羽がハードリリース方式で放鳥され、その後は順化施設を活用したソフトリリースも進められています。佐渡島で培われた保全活動の成果は新たな地域へと広がりつつあります。

#1140

■ DIRECTOR'S COMMENT

かつて「トキが絶滅した」という話を聞いたとき、正直なところ「そうなんだ」と思う程度でした。しかし、この番組を通じて多くの鳥や動物を撮影する中で、種を未来へ残していくことの大切さについて考える機会が増えました。トキは一度、日本の野生から姿を消しました。しかし現在は、中国や韓国のトキと遺伝的につながりを持つ個体をもとに、日本の空へ再び羽ばたこうとしています。その背景には、多くの人たちの長い努力があります。一方で、野鳥や野生動物の撮影を続けている方々に話を聞くと、「昔に比べて野生動物は確実に減っている」と皆さんおっしゃいます。トキの復活は希望を感じさせてくれますが、それは決して当たり前のことではありません。今回、佐渡の空を舞うトキを見ながら感じたのは、一つの種を守ることは、その生きものだけを守ることではないということです。トキが暮らす里山や水辺、そしてそこに関わる人々の営みも含めて未来へつないでいくことなのだと思います。かつて絶滅した鳥としてしか知らなかったトキ。その姿を見上げながら、生きものたちと共に生きる未来について、改めて考えさせられました。(村上宗義)

■ ACCESS

佐渡島「両津港」から「野生復帰ステーション」まで車で約15分

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