北海道 白糠町
ハネナガフキバッタは直翅目(バッタやコオロギなど、後ろ脚が発達してよく跳ねる昆虫のグループ)バッタ科に分類されるバッタの一種です。北海道から本州にかけて分布し、明るい林縁や草地環境に生息しており、北海道留萌市などでも生息が確認されています。成虫はフキやイタドリなどの葉を食べ、夏から秋にかけて姿を見せます。バッタの仲間らしく、卵からかえった幼虫が脱皮を繰り返しながら成虫へと育つ「不完全変態」(さなぎの時期を経ずに、幼虫から直接成虫へと育つ成長のしかた)をとります。今回の映像に写っているのは2齢から3齢(「齢」は幼虫が脱皮するたびに数える成長段階の単位で、卵からかえった直後が1齢、1回脱皮すると2齢になります)ほどの幼虫で、これから何度か脱皮を重ねて大きくなっていきます。バッタの仲間は一般に5〜6齢ほどで成虫になるとされており、今回の個体もこの先さらに脱皮を重ねて成虫へと育っていきます。群れているように見えるのは、ふ化したばかりの幼虫はまだ翅(はね)が十分に育っておらず、飛んで移動できないため、その場にとどまって集団になっているためです。北海道立総合研究機構によると、ハネナガフキバッタは通常、農作物への被害はほとんど見られない種です。過去に個体数が一時的に増えた際、水稲やフキの葉を食べた例はあるものの、大きな被害には至らなかったとされています。
■ DIRECTOR'S COMMENT
ハネナガフキバッタ、と聞いても、最初はどんなバッタなのか、ほとんど想像がつきませんでした。今回は九州大学の立田晴記教授にご教授いただきながら、編集を進めました。まず勘違いしていたのが翅(はね)のこと。フキバッタの仲間には翅が退化し、限られた地域にしか生息しない種もいると聞いていたので、映像の黒っぽい翅も退化しかけたものだと思い込んでいましたが、実はこの種は成長とともに翅が伸び、やがて体そのものより長くなるようです。もうひとつ気になったのが、幼虫たちが一か所に集まっている理由でした。トノサマバッタのように群れで移動するタイプではないと聞き、それならなぜあれほど集まっていたのか考えてみると、思い当たったのが、まだ翅が育っていない幼虫は飛んで移動することができず、まとまって産みつけられた場所の近くにとどまっているのではないか、ということでした。そして何より驚いたのが、バッタが脱皮を繰り返しながら大きくなっていくという事実。草むらで見かけても、その成長を意識したことは一度もありませんでした。今回も、身近な生きものほど、知らないまま通り過ぎていることを思い知りました。(村上宗義)
■ ACCESS
北海道白糠郡白糠町 庶路ダム付近
