奈良県 平城宮跡歴史公園
ツバメはスズメ目ツバメ科に分類される鳥です。日本には夏鳥として飛来し、人家の軒先などで繁殖します。繁殖を終えると、日中は単独や小さな群れで行動する一方、夜は巣に戻らずヨシ原などに集まって眠る「集団ねぐら」を形成するようになります。猛禽類から身を守るため、あるいは、なんとなく他の個体に付いていくことで結果的に良い餌場にたどり着けるためではないかと言われています。今回の映像は奈良市の平城宮跡歴史公園で撮影したもので、日没後に上空を乱舞していたツバメが次第にヨシ原へ吸い込まれるように降りていく「ねぐら入り」と、夜明け前に「チィチィチュチュッ」と鳴き交わしながら一斉に飛び立つ「ねぐら立ち」の様子をとらえています。平城宮跡は最盛期に約6万羽が集まる日本最大級の集団ねぐらとして知られ、渡り(南方への移動)を控えた時期に規模が大きくなります。ねぐら入りは約30分かけて行われるのに対し、ねぐら立ちは15分ほどで一気に飛び去ってしまうのが特徴です。
■ DIRECTOR'S COMMENT
今回の撮影場所は、世界遺産である平城宮跡の、何もない跡地に広がる葦原でした。あんなに開けた場所に数万羽ものツバメがどう集まるのか、現場に立つまで想像がつきませんでした。いつの間にか、南東の空にポツポツと見えだした突然の大群。あっという間に、数万の群れになっていきました。多い時には6万羽ほどになるといいます(私が撮影した時は4万羽)。一体どこから増えたのでしょう。当日は数十人ほどの観客も駆けつけ、群れが舞い降りる瞬間には歓声があがりました。多い日には数百人が訪れるといい、平城宮跡では夏のイベントとしてすっかり定着しています。ねぐら入りは上空を何度も旋回しながら低空飛行を繰り返し、一気に葦原へ入っていきました。翌朝のねぐら立ちは、夜明け前の静まり返った葦原から鳴き声が少しずつ大きくなり、聞こえてきたなと思う間もなく、一斉に飛び立っていきました。今回、撮影に良いポイントをご指導いただいた日本野鳥の会・奈良支部の中元市郎さんには大変お世話になりました。また、ツバメ写真家の佐藤信敏さんにもご協力いただきました。あわせて感謝申し上げます。(村上宗義)
■ ACCESS
「近鉄 大和西大寺駅」から「平城宮跡歴史公園」まで徒歩で約20分
