
「ランウェイを歩く美しい獣」
2026.3.14
「先生は恋愛から逃げてるだけじゃない!人間から逃げてるんです!」――。柴田一葉(上白石萌歌)は、人と向き合おうとしない変人動物学者・椎堂司(生田斗真)と大ゲンカ!怒った司から「何も知らないくせに、知ったような口利くな!もう二度と顔を見せるな!」と絶縁を告げられ、それっきり…。
もうすぐ『リクラ』も休刊し、恋愛コラムも終了。今までコラムを助けてくれた司に、最後にきちんとお礼を言ってケジメをつけたいと思うものの、連絡すらできないままで…。このままサヨナラしてしまって本当にいいの?素直になれない一葉と司の恋の行方は!?
一方、モデル復帰を目指すカリスマモデル・灰沢アリア(シシド・カフカ)は、東京デザイナーズコレクションで3年ぶりにランウェイを歩く……はずが、本番当日、ネットニュースに暴露記事が掲載!『灰沢アリア、乳がんからの奇跡の復活』『3年前に左乳房を摘出。極秘闘病生活の裏側』――。今まで秘密にしてきたプライバシーを暴かれ、さらに病床の隠し撮り写真まで出回ってしまい…。
SNSには「かわいそう」「負けないで」などとアリアへの同情コメントが殺到。それを見た一葉は「こんなの違う!アリアさんは同情されることなんて望んでない。ただ一人のモデルとして舞台に戻りたかっただけなのに…」。悔しがる一葉はアリアの力になろうとするが、その矢先、アリアはこつぜんと姿を消してしまう…!果たしてアリアはランウェイを歩けるのか!?
『人間の恋には、人間の恋にしかない意味がある』。その答えを探して野生の恋を学んできた一葉!人間が恋する意味って何!?一葉が見つけ出した答えとは…!?恋に不器用なすべての人間に届け――。
今すぐ恋がしたくなる、奇跡の最終話!!
東京デザイナーズコレクションの数日前、一葉はアリアに、司とケンカしたことを明かしていた。「珍しいね、あいつが怒鳴るなんて」と司が感情を表に出したことに驚くアリア。司と付き合っていた時もケンカはしょっちゅうだったが、いつもアリアの方が一方的にキレていたという。「お二人は、何がきっかけで付き合うようになったんですか?」と興味津々の一葉に、アリアは「あたしがあいつを好きになったから」。初めは遊び半分でモデルの仕事をしていたアリアは、撮影現場で司に会って、意識が変わったという。その頃の司は独特の存在感を放ち、美しさを磨くための努力を惜しまないストイックな男だった。そんな司に自分のことを知ってほしくて、アリアは本気で美しさを磨き始め、自ら司に告白。しかし、そのちょうど1年後、司から、動物の求愛行動を研究するために別れてほしいと告げられてしまった。別れ際、アリアは「絶対トップモデルになってやる。どこで何してたっていい。あたしのこと見てろ。動物よりも、あたしのそばにいた方がよかったって、後悔させてやる」と宣言。司も「分かった。ずっと君を見てる。約束だ」と応えたのだった。アリアは一葉を勇気づけ、「あいつは、きちんと話せば分かるやつだ。だからウジウジ悩んでねえで、とりあえず話してこい」。
アリアに背中を押された一葉は、大学に向かう途中で司とバッタリ鉢合わせ。ちょうど司も一葉に謝ろうとしていて…。「先生のことを何も知らないくせに、あんな失礼なこと言ってしまって、本当に反省しています」と謝る一葉に、司は「いや、君の言葉は正しかった。人間から逃げている、と言っただろう。その通りだ」。有名デザイナーの息子として生まれた司は、子どもの頃から周囲にねたまれ、友達ができなかった。それがモデルになった途端、チヤホヤされたり、そうかと思えば陰湿な嫌がらせを受けたり、大人たちの金もうけや権力争いの道具にされたり…。さらに、自分と付き合っていることでアリアまで嫌がらせを受けるようになってしまった。「そのすべてが、人間を嫌いになった理由だ」。人の心に踏み込むことも、踏み込まれることも怖くなった司は、傷つかないように心に壁をつくり、人と距離を置くことにしたのだ。「でもそれは、君が言った通り、人間から逃げていたんだろう」。今まで傷つけてきた一葉に「本当にすまなかった」と謝る司。そんな司に、人間嫌いなままでいてほしくない一葉は「せめて、私のことだけは、信じてもらえませんか?」と、揺るぎない表情で司の心に訴える…。
それから数日後、東京デザイナーズコレクション当日――。モデル復帰を目前に、病気の暴露記事が掲載されたことで姿を消してしまったアリア。行方を捜す一葉は司に連絡し、「アリアさんが行きそうな場所に心当たり、ありませんか?」。すると司は「1つだけ心当たりがある」。それは、モデル・灰沢アリアの原点ともいえる場所。アリアが初めて司と一緒に表紙の撮影をした教会だった。一葉が駆け付けると、アリアはそこで一人、不安と闘っていた…。みんなに同情され、好奇の目を向けられることにおびえるアリア。必死に言葉を探す一葉は「コクホウジャクって知ってますか?」。何のことか分からずキョトンとするアリアに、一葉は意を決し、「私がアリアさんに、野生の恋について、話をします」――。
コクホウジャクという鳥のオスは、真っ黒な体で、長い尾羽を持っている。その尾羽が長いほどメスにモテるといわれているが、それを証明するため、ある研究者がオスの尾羽を切って観察した。するとモテモテだったコクホウジャクのオスは、メスに見向きもされなくなってしまったという。「今のあなたは、まるで尾羽を切られたコクホウジャクです」。アリアの鋭い視線にビビりながらも、勇気を出して講義を続ける一葉。尾羽を切られ、モテなくなったコクホウジャクは、その後どうしたか?「がんばって求愛行動を続けたんです。自分が不利な尾羽になったからって、諦めたりせず、必死に」。それはコクホウジャクだけに限らない。ペンギンも、パンダも、チンパンジーも…。動物たちは生まれつきモテない容姿でも、ケガをしても、病気になっても、決して諦めたりしない、みんな必死に恋をしようとする…。「アリアさんにとってのモデルという仕事は、動物たちの恋と同じじゃないですか。尾羽を切られても、あなたは灰沢アリアです。灰沢アリアであることに胸を張ってください」。一葉の言葉に、胸がアツくなるアリア。さらに、遅れて駆け付けた司が、アリアに本心を打ち明ける――「私は君の生き方を基準にしたんだ」。司がモデルを辞めたのは、人間から逃げたかったからだけじゃなく、アリアの生き方に刺激を受けたからでもあった。モデルの仕事を心底愛しているアリアのように、自分も迷いなく好きだと言える仕事をしてみたい…そう思ったから、好きな動物の道を選んだのだ。「君には、周りからどんな目で見られようとも、それをはねつけ、実力でねじ伏せるだけの魅力がある。君が歩けば、すべての空気が変わる、それを私は、誰より知っている。だから行け。灰沢アリアを信じろ」。その言葉で、アリアの気持ちが吹っ切れ――。
出番ギリギリでファッションショーの会場に到着したアリア。取り囲む記者たちを、マネージャー・宮田真悟(柄本時生)が「うるさい!」と一喝!その隙に会場内に入ると、デザイナー・椎堂ケイカ(草刈民代)が待っていた。「すみません、遅くなりました」と謝るアリアに、ケイカは「もう謝罪は聞き飽きた。あなたの美しさで、すべてをねじ伏せてきなさい。You are The beast!(あなたは獣よ!)」――。
一葉と司、リクラのメンバーも見守る中、アリアがランウェイに登場!まさに威風堂々、圧倒的なオーラを放ちながら颯爽と歩くアリア!その堂々たる姿に会場のすべての視線がクギ付けとなり、客席はスタンディングオベーション!一葉も、リクラのメンバーも、今まで好奇の目を向けていた記者たちも、そして司も…!
会場内に、割れんばかりの拍手が鳴り響き――。
ショーを見届け帰ろうとする司に、ケイカが歩み寄る。「いい顔してるじゃない。そうさせたのは、あの柴田って子ね。あなたはもう気付いてるはずよ。自分の気持ちに」――。
リクラの最終号発売日。その表紙は、ランウェイを歩くアリア。いい写真を撮ってくれたカメラマン・橘環希(仁村紗和)や、特集を手伝ってくれた先輩・紺野幸子(宮澤エマ)に、「ありがとう」と感謝の気持ちを伝える一葉。この数カ月、恋愛コラムや特集ページに真剣に取り組んできたことで、ようやく仕事との向き合い方が分かった気がする一葉は、「楽になったって感じです。前みたいな息苦しさはもうなくて。私は私なりに、そこそこ、ある程度、それなりに仕事を好きになれた気がします」。そんな一葉の成長を、編集長・藤崎美玲(小雪)は「あなたは逃げずに向き合い、悩んで、もがいて、その中で自分なりの答えを見つけた」と褒めたたえると、休刊を惜しむ編集部一同に、「これからも皆さん、悩みながら、自分なりの仕事との向き合い方を見つけていってください。短い間でしたが、一緒に働けて、とても誇りに思います。本当にお疲れさまでした」。深く頭を下げる藤崎に、一同も「お疲れさまでした!」と応える。これで編集部は解散……と思いきや、藤崎は「とはいえ、これは雑誌としての終わりであって、メディアとしての終わりではありません。リクラはウェブマガジンとして継続することになりました」。思いがけない発表に、編集部は歓喜に包まれ――。
「話があるので来週、研究室まで来なさい」。司に呼び出された一葉は期待して研究室へ行くものの、司はまごまごしてなかなか本題に入らず…。がっかりする一葉は「あ、そうだ。先生、私がここに通い始めたばかりの頃、人間の求愛行動、つまり人間の恋には、人間の恋にしかない意味があるって話をしたの覚えてます?」。司も覚えていて、「あぁ。分かったら教えてくれと答えたな」。その意味をずっと考えてきた一葉は「先に、恋があったとは考えられないですか?」。それは、人間の脳が発達したり、社会性を持ったりしたことで、求愛行動が複雑になったかもしれないという司の仮説とは真逆。「先にたまたま、何かの拍子で、人類の祖先が、恋に落ちた。そう考えた方が、すっきりしませんか?」。恋をした人間は、相手を喜ばすために道具を発明し、思いを伝えるために言葉を生んだ。「つまり、恋が、人間を進化させた」。だから人間は、不器用なほど求愛行動に労力を割く…。「私は、人類は永遠に恋愛から逃れられないと思うんです」。一葉の仮説にうなずく司は「……逃れられないか。なら、仕方ないわけだ」と、ついに観念。「私は、人間の恋愛には興味はない。そう思っていた」。踏み込めば裏切られ、関われば傷つく、そう決めつけ、人と向き合うことからずっと逃げてきた司。しかし、一葉は逆だった。傷つくことを恐れず、人の弱さや痛みを受け止め、自分なりのやり方で、誰かの背中をそっと押し続けてきた。「それが、私にはとてもまぶしく見えた。気付けば、君を思い出すたびに、嫌悪でも警戒でもない、別の何かが波のように押し寄せる。尊敬とも、好意とも……もう、そのどれでも説明がつかない。この気持ちに、恋と名付けていいだろうか?」。司の精一杯の愛の告白!その思いを受け止めた一葉は「はい。それが恋だと思います」。見つめ合う、一葉と司。ハグしてくれるのを今か今かと待ち続ける一葉と、棒立ちの司。「先生。人間には、野生が足りないんじゃないですか!」。しびれを切らした一葉が、思い切って司に抱き着く!
人間よ、もっと自分の本能を信じて、もっとあるがままに生きろ――。そう胸に刻んで、大好きな司を力いっぱい抱き締める一葉で――。