
「タンポポとチンパンジーに大切なこと」
2026.01.24
仕事も恋もどん底の編集者・柴田一葉(上白石萌歌)。幼い頃から神と仰ぐ憧れのカリスマモデル・アリア(シシド・カフカ)のゴーストライターとして恋愛相談コラムを書く一葉のもとに、30代女性からの悩み相談が舞い込む。『12歳年下の男性から告白されました。彼のことは好きですが周りの目が気になります。彼がずっと私のことを好きでいてくれるかも不安です。どうすればよいか教えてください』。一葉は頼りの変人動物学者・椎堂司(生田斗真)にアドバイスを求めるものの、司は学会の研究発表の準備に大忙しで、話を聞いてくれず…。好きなことを仕事にしている司のことがうらやましい一葉は、自分が何のために興味のない生活情報誌『リクラ』の編集者をやっているのか分からなくなり…。
そんな中、『リクラ』の最新号でコスメ特集ページの倍増が決定。鬼の編集長・藤崎美玲(小雪)が自らクライアントの光絹堂と交渉し、新商品の特集を組む約束で予算の倍出を取り付けたらしい。「どなたかに特集記事を担当していただきたいのですが」と藤崎。しかし、荷が重い仕事に一葉たち若手は及び腰。業を煮やした藤崎は「やる気がない人間に任せてもいいものにはなりませんので私がやります。ただし柴田さん。あなた、私のアシスタントにつきなさい」。なんで私が!?藤崎のムチャぶりに、嫌な予感しかない一葉…。
思った通り藤崎にこき使われてヘロヘロの一葉に、今度はアリアから緊急招集が!何かと思えば、マネージャー・宮田真悟(柄本時生)にテレビの動物番組の出演を勝手に決められ、毒舌で動物のうんちくを語らなければならなくなったというのだ。断りたくても、宮田は若いモデルと写真集の撮影でパラオに行ってしまって音信不通。「あんたのせいだからな」と毒舌コラムを書いた一葉を責めるアリアは「動物のうんちく、責任もって考えろ」。コラムとコスメ特集で手いっぱいの一葉はパンク寸前に…!
一方、学会の準備で忙しい司のもとに、謎の女性(草刈民代)が現れる。驚き慌てる司に、「いつまで逃げてるつもり?」と詰め寄って…。彼女は一体誰なのか?
そんな中、一葉の姉・柴田一花(筧美和子)が東京に遊びにやってくる。結婚間近だというのに1人で東京に来た一花は、何やら事情を抱えているようで――。
若さって何?恋愛の基準はどこにあるの?その答えは……チンパンジーのみぞ知る!?
姉・一花が急に東京に来ると言い出し、胸騒ぎを覚えた一葉は福島の実家に電話。父・柴田吾郎(尾美としのり)と母・柴田真紀(美保純)が言うには、事情は分からないが結婚が破談になりかけているらしい。現在32歳、地元で図書館司書をしている一花は、昔から誰とでも仲良くできて、タンポポの綿毛のように周囲をふんわり包む優しい人。一葉の上京を両親が猛反対した時も、一花だけは賛成してくれた。そんな一花に、こういう時こそ力になってあげたいと思う一葉だが…。
アリアから『動物のうんちく』を催促された一葉は、忙しいのを承知で司に相談。「コラムを担当している灰沢アリアさんがバラエティー番組で動物のうんちくを披露しなきゃいけなくなって…」と正直に打ち明けると、司は作業をピタリと止め、「ちょっと待ってろ」と、番組の構成台本にうんちくを書き込み始める。急にやる気になってくれたことに驚く一葉に、助手の村上野乃花(片岡凜)は「柴田さんのお願いだからですよ。椎堂先生、絶対柴田さんに好意持ってますよ」。それを聞いてまんざらでもない一葉で…。
そんな中、藤崎が特集ページのためにブッキングした韓国の超人気俳優ナム・セリが、撮影カメラマンにベテランの喜多島正臣(小手伸也)を指名。一葉は藤崎に頼まれ、撮影を依頼するため喜多島のもとへ。ところが、喜多島はとんでもなく気難しい男で…。一葉が今回のテーマを伝えると、喜多島は「そのテーマの意味って何?この商品を紹介する意味は?光絹堂を選んだ意味は?ナム・セリを選んだ意味は?君が今日着てきた服の意味は?なぜ手土産をシュークリームにしたの?その意味を教えてくれ」と怒涛の質問攻め。何も答えられず本題に入れなった一葉は編集部に戻って藤崎に報告するが、藤崎は「すべて答えられるように準備して臨めばいいだけです、以上」と言って助けてくれず…。
後日、一葉は“意味”を準備して喜多島に会いに行くものの、喜多島はまたも「一生懸命考えてきたの?若いねー。服の意味なんてどうでもいいのに、若いねー」と、バカにしたような言葉を繰り返すばかりで…。
やってられない一葉は、アリアの前でつい愚痴をこぼしてしまう。アリアは喜多島のことを知っていて、「あいつ、売れてからめちゃくちゃ偉そうになった。完全に若い子、見下してる。次ナメたこと言ってきたらブチ切れてやりゃいいじゃん」。簡単に言うけど、そんなこと一葉にできるはずもなく…。
週末、一花が東京にやって来る。駅で出迎える一葉は、「動物園に行きたい」という一花の提案で、一緒に動物園へ。動物たちを見ながら無理に明るく振る舞う一花。一葉は我慢できずに「何があったのか話して。お姉ちゃんが私の味方してくれたように、私だってお姉ちゃんの味方だよ」。すると一花は「……結婚、反対されたんだよね、向こうの両親に」。相手はまだ21歳。年が離れすぎていることが、彼の両親はどうしても気になるのだという。彼は両親と絶縁してでも結婚すると言ってくれているが、本当にそれでいいのか…。今は好きでいてくれても、何十年もたって、先に老いていく一花を見て嫌になるのではないか。「彼がずっと好きでい続けてくれるか、自信がないの。ねぇ、一葉、どうすればいいと思う?」と一花は涙を浮かべ…。
一葉は居ても立ってもいられず、一花を連れて司のもとへ。単刀直入に「やっぱり動物でも若い子がモテますか?動物たちにとっても若さって重要ですか?」。司は「何だそのくだらん質問は」と言いつつ、真剣なまなざしで聞く一葉の思いを感じ取り、「若さと求愛行動について話をすればいいわけだな?いいだろう。それでは野生の恋について話をしようか」――。
生き物が求愛行動をする。その最終目的は、自分と同じ遺伝子を次の世代へ残すこと。そのために若い個体が選ばれる傾向にあることは事実。司は「若さは強力な資源だ。それを否定するのは難しい。ただ、年齢を重ねたメスの方が選ばれる動物ならいる」。一葉は前のめりになり、「その、年上好きの動物ってなんですか!?」。司は「代表として挙げられるのがチンパンジーだな」。オスのチンパンジーは、交尾が可能な若いメスと老いたメスが目の前にいたら、多くが老いたメスを選ぶという。理由は明らかになっていないが、仮説の一つとして、チンパンジーは人間と違い、閉経と寿命がほとんど同時に進むからだといわれている。それはすなわち、おばあちゃんになっても子どもが産めるということ。年齢を重ねたチンパンジーは当然、子どもを産んで育てた経験を持つ個体が多い。チンパンジーにとっては若さよりも、子育てをした実績や経験の方が重要な資源なのではないかと考えられているのだ。「野生の求愛行動とは、突き詰めれば、持っている資源の比べ合いだ」。若さは強力な資源だが、それが全てではない。何が最も重要な資源になるかは種によって違う。求愛行動の基準に、そもそも年齢など関係のない動物もいる。「それに比べて人間は若さを唯一無二のものとして、必要以上に特別扱いしすぎているように私には見えるが」――。
彼との年齢差に悩むより、彼が必要としてくれる資源に目を向けろ――。司の言葉をそう受け取った一花は「なんとなく気が楽になった」。一葉も「お姉ちゃんは若さなんかより、ずっとずっと魅力的な資源をたくさん持ってると、私は思う。だから本当にその人のことが好きなら、年なんて気にしないで自信を持ってほしい」。一葉の言葉で、一花は笑顔になって――。
数日後、一葉の毒舌コラムが完成する。『多くの男は若い女が好きだ。若さってのは、若いってだけでどんなにバカでも許されるくらい強力な資源だ。モデルの仕事も同じだ。現場によってはキャリアなんてものは若さの前ではゴミ同然の価値しかなかったりする。でも特別なモノを持っている人はいくつになってもトップを飾れる。あんたがまずすべきことは、周りの目を気にすることでも、彼の心変わりを心配することでもない。自分の持っている資源を知ることだ。あんたが持ってる資源が年の差なんて覆せる自信があるなら、前に進みな』――。コラムを読んだアリアは「これってあたしに言ってる?コラムやってんのも今のあたしの資源、だからバラエティーに出ろって言いたいの?」と、ふてくされつつも動物番組に出演。司の文字がびっしり書き込まれた台本をもとに動物のうんちくを語り、スタジオは大ウケに。
一方、一葉は憎っくきカメラマン・喜多島のもとへ。言われた通りに今回の特集の意義やテーマをまとめた資料を持参し、改めて撮影を依頼するが、またも喜多島は「君は面白いと思う?この特集。どこがどう面白いのか説明してよ」とメンドクサイことを言い始め…。一葉はついにブチ切れ、「いい加減にしてください、若者ナメんな!どうせあなたの時代なんて、あと10年もしたら終わってますよ!」とタンカを切ってしまい…。
喜多島に歯向かったことで編集部は大騒ぎ!もしかしたら業界ではもう生きていけないかも…。落ち込む一葉に、藤崎が「喜多島さんなら、撮影を受けてくれることになりました。あなたのことが気に入ったようです」。思わぬ展開に一葉はびっくり!藤崎が言うには、喜多島は久々にズバッと痛いことを言われて目が覚めたらしい。「柴田さんに彼の説得を頼んだのは、あなたのコミュニケーション能力に期待したからです」と藤崎。「たとえ失敗しても、私が頭を下げればいいと思っていました。あなたたちの尻拭いなんて簡単です。だから失敗なんて恐れず、存分にやりなさい。それは若い人にしかない貴重な資源です」。藤崎の激励を受けた一葉たち若手は、生き生きと仕事に取り掛かり――。
数日後、ナム・セリが表紙を飾ったリクラ最新号は久々に完売御礼。一花も彼氏の両親と話し合い、結婚はまだ先になるものの、交際は認めてくれたという。「姉がお礼を言ってました」と司に伝える一葉。すると司は、「そんな大事な話だったのなら、先に言いたまえ」と珍しく動物以外の恋愛に興味を示す。「最近、時々考えるようになった。人間の恋愛について。君のせいだな」と、一葉を見つめる司。一葉はドキドキして――。
一方その頃、海外にいるはずのアリアのマネージャー・宮田は、謎の女と一緒で…。「それで計画は進んでるの?宮田」「ええ、順調に進んでいます」「頼むわよ。必ず成功させるの」。何かをたくらみ、不敵にほほ笑む謎の女で――。