STORY

#8

「言葉ではなく、ラクダのように口蓋をさらせ」

2026.2.28

「なんであそこまでやってくれたんですか?」――。
柴田一葉(上白石萌歌)は、離婚寸前だった福島の両親を説得してくれた変人動物学者・椎堂司(生田斗真)の気持ちを確かめようとするものの、司は「分からん」と相変わらず煮え切らない態度。「先生は、ズルいです」とガッカリする一葉。人間の恋に疎い司は言葉の意味がさっぱり分からず、「私のどこがズルいんだ?」と頭を抱え…。

一方、一葉の憧れのカリスマモデル・灰沢アリア(シシド・カフカ)に不倫疑惑が!妻子ある男性とのツーショット写真を週刊誌に撮られてしまって動揺するアリアは、マネージャー・宮田真悟(柄本時生)に「あのこと、バレてないよな?」――。

恋愛コラムを書く一葉のもとに、親友の元カレを好きになってしまった女性の悩み相談が舞い込む。『彼とはずっと友人で、元カノの友達としか思っていなそうです。もし告白したら2人から嫌われるような気がします。自分が傷つかないためにも気持ちは伝えない方がいいのでしょうか?』。一葉は司とアリアの顔を思い浮かべ、相談者の境遇に共感してしまう…。

そんな中、次号の『リクラ』で、バレンタインにちなんだ10ページの占い特集を組むことが決定。最近SNSでバズりまくりの占い師・鉄観音珍念(みなみかわ)のウワサを聞いた一葉は、カメラマン・橘環希(仁村紗和)と2人で鉄観音に会いに行き、半信半疑で占ってもらうと……名前と生年月日を言っただけで近況や悩みをズバズバ当てられ、すっかり鉄観音のとりこに!編集長・藤崎美玲(小雪)から初めて特集の担当を任された一葉は、鉄観音に監修を頼み、「一緒に読者を笑顔にできるページを作りましょう!」と大張り切りで仕事に臨むが…。まさかのトラブルに巻き込まれ、大ピンチに――!

さらに、週刊誌に追われるアリアを一葉がかくまうことになり…。アリアがモデル界から姿を消した本当のワケをついに告白!そして一葉が司の部屋にお泊り!?もどかしい2人の恋が動き出す!!

以下、ネタバレを含みます。

占い特集につきっきりの一葉に代わり、編集長・藤崎が恋愛コラムをサポート。司に相談内容を伝え、悩みにちなんだ動物の話を聞かせてほしいとお願いするが…。一葉の姿が見当たらないことにイラ立つ司は「くだらん。動物には好き嫌いに伴う葛藤は存在しない。そんなことも知らずに、よく編集長など名乗れるな」と毒づき、藤崎とバチバチに!ムッとする藤崎は「それより私、どうしてももう一度会いたかったんです椎堂先生。いや、モデルのツカサさん」。当時ファッション誌にいた藤崎は、司のことを覚えていたのだ。若手ナンバーワンの逸材だった司が、なぜわずか数年でモデルの世界から姿を消し、動物の求愛行動の研究者になったのか。「一体、あなたに何があったんです?」。藤崎が追及すると、司は「あなたには関係のないことだ」と口を閉ざしてしまう…。

特集ページで大忙しの一葉は、家に帰っても夜遅くまで仕事。そんな一葉の部屋に、アリアが「しばらくかくまって」と転がり込んでくる。不倫疑惑で週刊誌に追われていると知って仰天する一葉。アリアは「あたしは、そんなダセえことは死んでもしない」と不倫を否定するが、身を隠さなればならない事情が他にあるようで…。

一葉の先輩・紺野幸子(宮澤エマ)は、交際中の和菓子職人との結婚に不安を感じ始める。彼はデートのお店選びも予約も全部紺野に任せ、会計も収入の多い紺野に払わせようとするのだ。挙げ句には紺野の誕生日でさえ、「お店決めといて」と丸投げしてくる始末。「この感じで結婚生活やっていけるのか不安」とため息をつく紺野に、藤崎が「その気持ち、分かります」。駆け出しの若い舞台役者と交際している藤崎も、かい性がない彼との格差恋愛にイライラして、「あいつら、プライドだけは高いのよ。でもプライドなんかより、もっと大事なもんあるはず。夢かなえて、売れたいなら、目から血ぃ出るくらい努力しろっつーの!」。珍しく意気投合した紺野と藤崎は、「今夜はとことん飲みましょう!」とヤケ酒をあおり…。

「椎堂先生が風邪ひいたみたいです」。司の助手・村上野乃花(片岡凜)からお見舞いに行ってほしいと頼まれた一葉は、断り切れずに食材を持って司のマンションへ。40度の高熱を出してフラフラの司のために、おかゆと生姜はちみつ湯を作って帰ろうとすると、熱にうなされている司に腕をつかまれ、「……もう少しだけ……ここにいてくれ……私のそばに……いてくれ……」。ドキドキが止まらない一葉は司のそばから離れることができずに、腕をつかまれたまま司の隣で一夜を明かすことに…。
翌朝、一葉が目覚めると、司はすでに起きていて、「おかゆ、おいしかった、ごちそうさま」。だいぶ回復した様子の司は、昨夜のことをまったく覚えていないようで、「一人暮らしの男の家に泊まるとは、なかなか良識を疑う行動だな」。司の言葉で魔法が解けたように我に返った一葉は、急に照れくさくなって、そそくさと司の部屋を後にする…。

2日後、占い特集のめどが付いた一葉は、コラムの相談をしに司の研究所へ。手土産のクマちゃん焼きを渡す時に司の手に触れてしまい、ドキドキする一葉。「あの、本当に覚えてないんですか?あの時の言葉」。司は「何のことだ?それより早く質問しろ」と、やっぱり覚えていない様子で…。気を取り直して本題に入る一葉は、親友の元カレを好きになってしまった相談者の気持ちを思い、「この相談者さんは、きっかけが欲しいんだと思います。だって、好きになった気持ちは、もう止められないから」。自分のことを言ってしまった気がして顔かカーッと熱くなる一葉。「とにかくこの方は背中を押してほしいんだと思います。だからリスクを恐れず、本当の自分を真っすぐ相手にぶつける。そんな求愛行動はありますか?」。しばし思案する司は「ならば、ラクダがいいだろう」――。

ラクダの口の奥には軟口蓋と呼ばれる器官がある。口の上側にある器官で、普段は食べ物を固定するために使うが、オスは気に入ったメスを見つけると、軟口蓋に唾液を入れて風船のように膨らませ、メスにアピールする。これが大きければ大きいほど、メスに高く評価されるのだ。しかし、この求愛行動は非常に高いリスクを伴う。軟口蓋が何かの弾みで傷つくようなことがあれば、食事がうまく取れなくなり、最悪の場合は衰弱死してしまうからだ。さらに、オス同士がメスへ求愛する権利を求めて戦う時、ライバルに対して軟口蓋を出して威嚇したりもするが、その時、相手に軟口蓋をかまれて死亡するケースもある…。ラクダにとって求愛行動は、まさに命懸けなのだ。「パートナーに選ばれるために、自らの重要な器官が傷つくリスクもいとわない。本当にそれが手に入れたいものならば、それくらいの覚悟を持つべきだ」――。

自分の弱いところをさらけ出すのを恐れ、言い訳をしていたら何も変わらない…。司の言葉にヒントを得た一葉はさっそくコラムを書き上げ、ひと段落。……と思っていたら、とんでもないニュースが飛び込んでくる。占い師・鉄観音珍念が、詐欺の疑いで仲間と共に警察に逮捕されたのだ!鉄観音ら詐欺グループは不正に入手した個人情報をもとに客の出身地や家族構成を言い当て、被害者を信じ込ませていた。鉄観音がかけていたメガネが骨伝導のイヤホンマイクになっていて、そのマイクを通じて客の名前と生年月日を把握した仲間が個人情報を検索し、鉄観音に教えていたのだ。
占い特集をすべて差し替える羽目になったリクラ編集部は大慌て!校了まであと3日、今からどうやって10ページを埋めればいいのか…。みんなで意見を出し合う中、紺野が「柴田が書いたコラム、特集にできませんか?」。今回のコラムのテーマは『本当の気持ちを伝える』。それは恋愛に限ったことではなく、家庭や職場でも同じ。相手を傷つけたくなくて本音を言えなかったり、照れくさくて感謝の気持ちを伝えられなかったり。「だからいろんな世代の人に『本当の気持ちを伝えたい人はいますか?』みたいなアンケートを集めてみたらどうでしょう」。紺野の提案に、みんなも大賛成。「それで行きましょう」とゴーサインを出す藤崎は、鉄観音にダマされてしまった一葉に、「謝る必要はありません。ただこの特集は柴田さんの担当です。あなたが最後まで責任を持って仕上げなさい」。一葉は顔を上げて、「はい!」――。
校了まで3日、編集部は一丸となってアンケート集めに奔走!限られた時間の中で少しでもいい記事にするために、寝る間を惜しんで作業を進めるみんなの顔は、生き生きと輝いて――!休刊目前だというのに、リクラにかつての活気が戻ってきた!そして校了当日、「できたあああ!編集長、確認お願いします!」。一葉のレイアウトを見た藤崎は、「うん、いいでしょう。柴田さん、お疲れさまでした」。やりきった一葉の顔!充実感でいっぱいのみんなに、藤崎が声をかける。「皆さん、本当にお疲れさまでした。校了に間に合わせるためだけの記事ではなく、心のこもった素晴らしい特集になりました……あと2号、最後まで心を込めて作りましょう。以上」――。

一葉のコラムに目を通すアリア。『生きるか死ぬかのプロポーズなんて、ラクダってちょっと抜けた顔してるのに、かっこいいだろ?だからあんたも、ラクダのように、傷つくことを恐れずに気持ちをぶつけてみな。結果は誰にも分からない。でもあんたが自分を信じて一歩踏み出したことで、確実に未来は変わると、私は思う』――。コラムを読んだアリアは、すべてをさらけ出す覚悟を決め、一葉に告げる。「もう隠れるのやめた。誰よりも信頼しているあんたに聞いてほしい。週刊誌に写真を撮られたのは、担当医と一緒にいる時だった」。アリアと一緒に写っていた人物は、不倫相手ではなく、お世話になっている医師だという。「どこか悪いんですか?」と尋ねる一葉に、アリアが衝撃の告白――「私、乳ガンだったんだ」――。