司法試験を優秀な成績で合格し、将来を嘱望される検事だったが、ある日突然職を辞し、ピアニストへの道を歩み始めた男・岬洋介(東出昌大)

そんな岬が、鎌倉の閑静な高台に建つ、地元の名士にして大富豪・香月玄太郎(北大路欣也)が家政婦の綴喜みち子(キムラ緑子)と暮らす屋敷に下宿するべく門を叩くことから、物語は始まる。
岬のアーティスト気質で偏屈な性格に手を焼きつつも、内に秘めている岬の才能、人柄を玄太郎はいち早く認め、屋敷に岬を迎え入れることを決める。

香月家の近所に、玄太郎が古くから、家族ぐるみの付き合いをしている、真田という家がある。家具業を生業にして富を築いた、香月家と肩を並べる富豪だ。
玄太郎の幼馴染で、長年秘かに恋心を抱いていた、真田恭子(木の実ナナ)という当主を筆頭に、銀行員の長男・徹也(正名僕蔵)、いい歳をして定職にも就かず漫画家を志望する次男・研三(武田真治)、徹也の嫁・悦子(菊池桃子)、徹也と悦子の娘で、ピアニストを目指している遥(黒島結菜)、遥の従姉妹であり両親を災害で亡くした片桐ルシア(上白石萌歌)、真田家に長年仕える家政婦の三上紀美(宍戸美和公)が一つ屋根の下で暮らしている。

ある夜、真田家を悲劇が襲う。遥とルシア、恭子が火事に巻き込まれたのだ。
なんとか一命を取り留めたのは、遥だけだった。
火事の起きた夜、遥とルシアの交わした最後の約束。

「いつか遥が、コンサート開いたら、私のために、ドビュッシーの『月の光』、演奏してくれる?」

最愛の従姉妹との約束を叶えるため、火事で大火傷を負った身体を奮い立たせ、遥は、再びピアニストへの道を歩き始める。
そして、遥の傍らには常に、岬の姿があった……。

亡くなった恭子の遺言が発表され、遥は6億円もの遺産を相続する権利を得る。
すると、遥の身の回りで不可解な事件が次々と起こり始める……。