intro

現在、平和なはずの日本では、
毎年、8万5千人以上もの
行方不明者が出ている。
その中で、緊急性・事件性があると判断され、
警察が捜索に乗り出すケースは、ごくわずかだ。

警察の判断を覆すのに必要なこと―――それは、
世間に注目されることかもしれない。

しかし。

ひとたび世の注目を集めると、別の“不幸”が生まれる。

不可解な事件が起こった時、
世の中の人々はこぞって、
手に入る限られた情報をもとに、
名探偵のごとく“推理”し、
その背景の“物語”を想像する。

国民の多くが発信するツールを手にした2021年。
まさに、一億総“推理作家”時代。

数多の人々の口と指とペンによって
あらゆる“物語”が生まれ、
その“物語”はまた別の“物語”を食らい
増殖し肥大化していく…。

一体、何が本当で何がなのか…?

この物語の主人公は、図らずも、
そんな無数の“物語”の“主人公”になってしまった男。
ある日、忽然と消えた妻と子供たち―――。
必死で行方を捜すが、手がかりすら見つからない。

そして。
集まった同情は、一夜にして方向転換される。

真犯人フラグが立ったが最後、
疑惑の目を向けられ、追い詰められていく主人公。
愛する家族を無事取り戻すことはできるのか・・・!?
果たして、真実はどこにあるのか!?
半年間の壮絶な戦いが始まる―――!!