STORY

#202022.3.13 放送

凌介(西島秀俊)は日野(迫田孝也)とともに、対峙する瑞穂(芳根京子)と河村(田中哲司)を見つめていた。河村は瑞穂に、事件との関わりを話すようにと迫る。

瑞穂は、真帆(宮沢りえ)に接近した理由を話し始める。姉が林(深水元基)に裏切られて死んだことや、真帆と3年前から知り合いだったことをなぜ黙っていたのかと瑞穂を問い詰める河村。彼女は確かに、林に殺意を抱いていた。なぜ林を殺したのかと聞かれた瑞穂は――!?

拘留中の一星(佐野勇斗)は阿久津(渋川清彦)と落合(吉田健悟)から、SNSに投稿された例の小説について聞かれる。それは自分の“切り札”だと答える一星。小説には真犯人しか知り得ない事実も書かれているが、妄想なのか真実なのか…。

ついに“真犯人”が明らかに!!それは、信頼した部下なのか、支えてくれた友なのか、愛する妻なのか?それとも…!?
すべての謎が明かされ、最後に凌介が打つ、終止符とはーー!?

以下ネタバレを含みます

河村から、真帆との関係、林殺害について問い詰められた瑞穂は、2人に復讐するつもりだったと告白。去年の7月、林の婚約話を知り、すべてを婚約者に暴露し縁談を壊そうと尾行していた瑞穂。しかし、ホテルで林と一緒にいたのは真帆だった。瑞穂はその場で、2人の写真を撮る。林を破滅させるため、この写真をビラだけではなく、ネットに流したのは瑞穂だった。長年、復讐の機会をうかがっていた瑞穂だが、なかなか実行に移せなかったのには、訳があった。真帆に接近した矢先、凌介が上司として職場に異動してきたのだ。何も知らず幸せそうな上司。凌介に毎日笑顔を向けられることで、決心が揺らいでいく。凌介のおかげで、一線を越えずにすんだという瑞穂。そして、河村になぜここに来たのかと問い詰める。というのも、瑞穂はあの小説を一星から託されていたのだ。

真犯人から罪をかぶるよう指示された一星は、最後の悪あがきで、凌介、瑞穂、河村、日野のパソコンからデータを抜き取って調べた結果、炊飯器失踪事件の小説のデータを、河村のパソコンから発見した。一星は、瑞穂にそれらのデータが入ったUSBを託した。瑞穂は小説を原稿用紙に書き写してネットに投稿することで、作者であろう河村に揺さぶりをかけたのだった。

瑞穂に問い詰められた河村は、小説は真犯人を名乗る人物が「週刊追求で連載してくれ」と送ってきたと否定。一緒に真犯人を突き止めよう、と瑞穂に近づく河村…。その時、凌介が2人の前に姿を見せる。「これを書いたのは、お前だろ」と河村に告げる凌介。彼は小説の“第一幕”を読んだ時、“黝い(あおぐろい)”という色の表現に難読漢字を使う河村の文章の癖が出ていることに気付いていた。河村は観念して、自分がしたことを語り始める。

学生時代から真帆が好きだった河村は、彼女を手に入れたいと願っていた。プリペイド携帯を事前に送り、誰にもバレないように準備をして真帆を呼び出した河村は、事件当日、彼女を“眠らせて隠れ家に連れていった”。それから至上の時に行き、酒に睡眠薬を入れて凌介を眠らせ、証拠隠滅作業を行った。その日、光莉(原菜乃華)と篤斗(小林優仁)も失踪。それを知った河村は、3人一緒に失踪したと思われていた方が好都合だと考えた。

そんな中、3人が何者かに誘拐されたと主張する一星が現れる。一星の周辺を調査し、光莉が彼のもとにいると察した河村は、一星に脅迫状を送り、操っていったのだ。一星が勝手に光莉を解放した際には、強羅(上島竜兵)にすみれ(須藤理彩)を襲わせ、再び支配下に置いた。

一方、篤斗の失踪に関しても調べていた河村。サッカー教室の飛び出し注意看板から、篤斗を誘拐したのがバタコ(香里奈)だと突き止め、かがやきの世界の教祖(相築あきこ)と接触。教祖から、バタコの情報や洗脳の手口を聞き出し、バタコに篤斗を帰させるように取引した。その後、解放された篤斗の病室に行き、バタコの洗脳を強め、凌介が犯人と思い込むように「お父さんがやったの見た?」とささやいたのだ。それと同時に、朋子(桜井ユキ)も脅迫。不倫の相談をするなど、想像以上に真帆に信頼されている朋子。河村は、真帆が彼女に自分とのことも話しているかもしれないと思い、清明(桑名愛斗)を人質にして口止めをした。

そして、林を殺害したのも、河村だった。2010年、偶然にも張り込み中に真帆と林の不倫の現場に居合わせた河村は、部屋へ入る2人の写真を撮影。その写真をネタに、林を真帆の財布を入れたコインロッカーに誘導。罪を着せようと追い詰めた。河村の罠とは知らず、林は河村に無実を訴えてきた。河村は、林を助けるフリをしてロッジに連れて行った後、取材依頼メールを送らせ、洗車機に誘導して刺殺した。

動機を聞く凌介に、「お前だよ」と答える河村。作家としての才能があったにもかかわらず小説を書くことをやめ、さらには真帆と結婚した凌介。自分が欲しいものを、なんの苦労も代償もなく手に入れていく凌介が妬ましく、圧倒的な敗北感を味わってきたのだ。この事件が発生し、最高のノンフィクション小説を書いてやろうと思い立った河村。物語をドラマチックなものにするため、主人公である凌介を痛めつけては、折れないように自ら助けていたという。「真帆に会わせろ」と言う凌介に、ミスリードに気づいたかと問う河村。悪い予感がよぎる凌介は、真帆との思い出の席へ向かう。河村は真帆とのやりとりを録音したボイスレコーダーを再生する。

事件当日。週刊追求の資料室に真帆を呼び出した河村は、林との不倫が続いていたのかと問い詰める。真帆は、林との関係は一度きりだと弁明、DNA鑑定をお願いしただけだと言う。河村は黙っている代わりに「今だけ俺のものになってほしい」と迫った。しかし真帆は拒絶し、凌介と子供たちにすべてを打ち明けると告げる。強く家族を愛し、信じている真帆の姿に殺意が込み上げ、彼女の首を力一杯絞めた――。

凌介の目の前には、棺。ゆっくりと開けると…真帆は棺の中で、美しいまま永遠の眠りについていた…。河村は、強羅のつてで真帆の遺体にエンバーミング加工を施していたのだ。

日野が河村にアイスピックを突きつける。真帆が生きていた痕跡について問いただすと、流星群の写真や美容室の予約は真帆の手帳からの情報で行い、電話の声は、朋子が盗んだビデオテープから合成して作ったと話す河村。生きていると希望を持たせた方が、絶望が際立つからだ。凌介を痛めつけては助けてきた河村は、自分の存在価値と、自分の小説を認めてほしいだけで、結局凌介のことが大好きなんだと言い当てる日野。しかし河村は、日野からアイスピックを奪い、事もなげに日野の足を刺すと、そのアイスピックを凌介の方へ投げ、挑発する。

しかし、凌介は河村を意にも介さず、真帆に語りかける。光莉と篤斗とのなんでもない日常を小説に書いて真帆に捧げる、と。凌介と真帆の間に自分が入る余地がないと悟った河村は、アイスピックで凌介に襲いかかる。が、凌介はその手を掴み、「子供たちを守り、小説を書き上げるまで、絶対に折れない」と宣言。その強い眼差しに、河村は崩れ落ちる。

阿久津と落合が駆け付け、河村を逮捕。実は、それまでの一部始終を、太田黒(正名僕蔵)から情報を得、凌介を追っていたぷろびん(柄本時生)が生配信。警察は、河村の自白を確認していたのだ。

炊飯器失踪事件の顛末はSNSで騒がれるものの、やがて沈静化していく。情状酌量で保釈された一星は、裁判で陽香(生駒里奈)を呪縛から解き、光莉とプロキシマの社員たちに迎えられる。瑞穂は、やっと「好きです」と告白した鼓太朗(坂東龍汰)をあっさり振るが、あの小説を貼り、投稿するなど協力してくれたことに感謝する。

一方、至上の時では、たまる(椿鬼奴)が日野の妻だということに驚く瑞穂。たまるに促され、雫石(小松利昌)が凌介に謝罪。高校時代の彼女がバイトの先輩だった凌介を好きになり、逆恨みしていたのだ。その帰り道。大阪の本社に異動し、実家に帰ることにした瑞穂は、凌介への思いを断ち切り、去っていく…。

凌介は、子供たちと新居での生活を始める。書斎の机の上には、小説の原稿用紙。

―――僕たちは、これからの未来を…。
   真帆と共に生きてゆく。