番組制作委託取引に関する指針細則

2003年4月14日制定
2005年3月15日改訂
日本テレビ放送網株式会社

日本テレビは、憲法に裏づけされた表現の自由の下で、報道、娯楽、教養、教育などを目的とする番組を通じて、多様な意見を取り上げ、国民の知る権利に応えることで健全な民主主義の発達に資すると共に、国民大衆の暮らしを豊かにする映像文化をつくり出すことを目指しています。

この目的の遂行には、多くの制作会社の協力が必要不可欠です。両者が、対等なパートナーとして相互理解を深め、緊密な協力関係を維持発展させていくことこそが、放送番組の編集の自由を確保し、延いては言論・表現の自由を守ることに繋がると考えます。

日本テレビは、制作会社と公正性、透明性が確保された番組制作委託取引を行うべく、社団法人日本民間放送連盟の「番組制作委託取引に関する指針」に基づき、「放送番組制作委託取引に関する自主基準」を以下のとおり定めます。

制作委託に際しての基本姿勢

制作会社との番組制作委託取引にあたっては、委託取引の諸条件について、制作会社とあらかじめ十分に協議し合意のうえ、契約を締結します。

契約書(案)は、原則として当社が用意している定型契約書の中から、制作会社との協議に基づいて、契約実態に合った適切なものを選択して用いることとし、契約の締結は、制作着手前までに行うよう努力します。定型契約書の内容は、後述「契約書で定める事項」にしたがって作成します。

制作委託に際しては、「日本テレビコンプライアンス憲章」に則り、「独占禁止法」「下請代金支払遅延等防止法」等の関係法令を遵守するとともに、制作会社のスタッフへの十分な安全対策を講じます。

契約書で定める事項

契約の目的
テレビ放送番組の制作に関し、番組全体、あるいは番組の一部の制作業務を委託することを明記。
番組の概要
タイトル、放送予定期間、放送時間、出演者、スタッフなどの情報によって番組概要を特定。
委託の概要
具体的な委託内容を明記。番組の一部の制作業務の委託の場合は、プロデュース、演出、編集仕上げ等の委託内容を具体的に明記。
著作権
制作実態に応じた著作権の帰属を明記。なお、制作会社に著作権が帰属する場合、日本テレビが取得する放送権の地域、期間、回数を明記。
納入物件
VTR等納入媒体の規格、および台本、使用楽曲報告書他、納入する物件を明記、および各種納入物件の納入場所、日時を明記。
納入物の改変
編成・放送上必要な編集が出来ることを明記。
二次利用
商品化、海外番販等の二次利用に際しては、各項目毎に窓口の担当をどこにするかにつき制作会社とよく協議して決定する。また、二次利用の配分については、制作寄与度に応じた配分を行うと明記。
クレジット
製作の主体・責任と著作権の帰属が制作会社の場合は、「製作著作 ○○制作会社」、日本テレビの場合は「製作著作 日本テレビ」というように、制作実態と著作権の帰属が一致するように明記。
権利処理
制作会社が行わなければならない権利処理の範囲を明記。
制作基準等
日本テレビ番組基準、技術基準、および、日本民間放送連盟放送基準にしたがって制作を行うことを明記。
対価の支払い
金額、支払日、支払方法を明記。対価の支払いが下請代金支払遅延等防止法に違背しないよう定める。
制作の中止
制作中止となった場合の扱いを明記。
契約解除条項
契約違反があった場合の扱いを明記。
以上

参考:日本民間放送連盟 番組制作委託取引に関する指針

民間放送事業者は、放送の社会的責任と公共的使命を重んじ、公共の福祉の増進、文化の向上、社会・経済の発展のため、豊かでより良い放送番組の提供に努める。

そのため、放送事業の根幹をなすとともに、いまやあらゆる伝送路を通じての提供が期待されている放送番組に関し、制作環境の一層の整備・充実を図り、流通システムの構築・円滑化等を進めることは極めて重要である。その実現にあたっては、放送番組の価値の最大化を目指し、対等なパートナーとしての番組制作事業者と放送事業者とが、さらに相互理解を深め、緊密な協力関係を維持発展させていくことが望まれる。

その一環として、テレビの番組制作委託取引にあたっては、言論・表現および放送番組編集の自由の確保を前提にしつつ、独占禁止法等の関係法令を遵守するとともに、以下の基本的な指針により、さらなる公正性・透明性の確保を行い、良質な番組の創造と活用を推進する。

なお、細目および各社ごとの具体的な取扱いについては、必要に応じ、各民間放送事業者が自主的に定めるものとする。

制作委託に関する基本事項

  • 1.番組制作事業者との番組制作委託取引にあたっては、委託取引の諸条件について双方十分に協議し合意のうえ、契約書などの文書化を行う。
  • 2.委託取引の契約書等には、番組制作の委託内容(制作本数、納入期日、放送予定日を含む)、代金支払いに関する事項、権利の取扱い、利用条件等について、合意した内容を明確に記載する。
  • 3.委託取引にかかわる代金については、委託内容、権利の取扱い、利用条件等に応じて、対価、支払時期、支払方法等の諸条件を適正に取り決める。
  • 4.当初の契約目的外の利用については、制作実態、代金等の契約条件に応じて、利用にあたっての手続きや相手方との交渉・契約の仕方(いわゆる窓口業務等)、利益配分その他の諸条件を十分協議のうえ、適正に取り決め、流通の円滑化と効率化に努める。
  • 5.当該契約の内容や履行に関して、想定外の事情や疑義等が生じた場合は、双方誠意をもって解決を図り、必要に応じて誤解のないよう文書により確認を行う。

取引に関する基本姿勢(関係法令等にもとづく例示)

  • 1.正当な理由がないにもかかわらず、委託した番組の受領を拒むことはしない。
  • 2.制作委託の目的および取引条件に照らし、一方的で不当なやり直しを要請することはしない。
  • 3.当該制作取引と併せて、関わりのない他の取引や役務の提供を強要することはしない。
  • 4.番組制作に関わる物品や役務の指定にあたっては、十分に協議のうえ合理的な範囲で取り扱うこととし、購入や利用を一方的に強制することはしない。
  • 5.取引にあたっては、やむを得ない事情により編成変更などが生じた場合の措置方法や不測の事態に備えた双方の役割と義務等も必要に応じて協議し明確化する。
以上