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【3問目】
秋の夜長。読書には持って来いの季節です。「国境の長いトンネルを抜けるとそこは雪国であった。」とかですね、「吾輩は猫である。名前はまだない。」名作は出だしから印象的ですよね。そこで今回皆さんはね、文豪になって小説の出だしを読み上げてください。あたくしが編集者になって『いいですねぇ。』って感心しますから更に続けて頂きたい。 |
| 好 楽 |
私は落語家である。 |
| 歌 丸 |
いいですねぇ。 |
| 好 楽 |
まだ仕事はない。 |
| たい平 |
雨にも負けず。風にも負けず。 |
| 歌 丸 |
いいですねぇ。 |
| たい平 |
でも嫁には勝てない。 |
| 小遊三 |
見るべきか。見ざるべきか。 |
| 歌 丸 |
いいですねぇ。 |
| 小遊三 |
そこが番台だ。 |
| 木久扇 |
白衣の天使、ナイチンゲールはその病人に言った。 |
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| 歌 丸 |
いいですねぇ。 |
| 木久扇 |
お大事に。 |
| 歌 丸 |
馬鹿馬鹿しいけどおかしいよ。 |
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| 昇 太 |
おなご先生は自転車に乗ってやってきた。 |
| 歌 丸 |
いいですねぇ。 |
| 昇 太 |
でもその自転車は駅前で盗んだものなので警察にしょっ引かれた。 |
| 好 楽 |
古池や。 |
| 歌 丸 |
いいですねぇ。 |
| 好 楽 |
早く飛び込め古女房…と。 |
| 歌 丸 |
それ前にもやったよ、そりゃ!山田君!一枚取んなさい! |
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| 木久扇 |
いつものように幕が開き。 |
| 歌 丸 |
いいですねぇ。 |
| 木久扇 |
客は誰もいなかった。 |
| 歌 丸 |
じゃあ喝采になんないじゃないの。 |
| 楽太郎 |
国境の長いトンネルを抜けるとそこは韓国であった。 |
| 歌 丸 |
いいですねぇ。 |
| 楽太郎 |
やっと脱北したスミダー! |
| 歌 丸 |
山田君!二枚持って行きなさい! |
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| 小遊三 |
浦島太郎が玉手箱を開けると、なんと! |
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| 歌 丸 |
いいですねぇ。 |
| 小遊三 |
こんなおじいさんになっちゃいました。 |
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| 楽太郎 |
主役のスカーレット・オハラは歌丸と駆け落ちをした。 |
| 歌 丸 |
いいですねぇ。 |
| 楽太郎 |
ハゲと共に去りぬ。 |
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| たい平 |
おじいさん、決して中は覗かないで下さいと娘は言った。 |
| 歌 丸 |
いいですねぇ。 |
| たい平 |
その後、小遊三おじいさんはのぞきで逮捕された。 |
| 歌 丸 |
小遊三さん、あれだけはやめなよ。 |
| 小遊三 |
この頃目が悪くなっちゃって… |
| 好 楽 |
弁静粛祝。夜河を渡った。 |
| 歌 丸 |
いいですねぇ。 |
| 好 楽 |
そこに河童が現れた。 |
| 木久扇 |
あべべべべべべべ! |
| 歌 丸 |
山田君。好楽さんの一枚持って行きなさい。向こうに振るなよ! |
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| 昇 太 |
先生の赤シャツは嫌味な男だった。 |
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| 歌 丸 |
いいですねぇ。 |
| 昇 太 |
隣の黄色い着物はバカだった。 |
| 歌 丸 |
失礼だよ、そんな。山田君、昇太さんに一枚やって。 |
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| 木久扇 |
賽は投げられた。 |
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| 歌 丸 |
いいですねぇ。 |
| 木久扇 |
上手投げでゾウの勝ち。 |
| 楽太郎 |
くだらねぇー! |
| 歌 丸 |
馬鹿馬鹿しいけど一枚やろうよ。 |
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| 楽太郎 |
吾輩の辞書に不可能はない。 |
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| 歌 丸 |
いいですねぇ。 |
| 楽太郎 |
安物だから間違いだらけだ。 |
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| 小遊三 |
大月の駅に降り立って我が目を疑った。 |
| 歌 丸 |
いいですねぇ。 |
| 小遊三 |
そこは正に、原宿をも凌ぐ、若者の街と化していた。 |
| 好 楽 |
ならない、ならない。 |
| 歌 丸 |
化すわけがないじゃないの! |
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